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まれに見る、外車=輸入車のタクシー

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

愛車を所有している人でも、仕事や飲み会帰りなどお世話になることも多いタクシー。

そんなタクシーの車種と言えば、やはり小型のセダンというイメージが強いだろう。

個人タクシーの中には、メルセデス・ベンツやBMW、アウディといった輸入車をタクシーにしているものを見かけることがある。    AUTOCAR JAPAN編集部

最近ではトヨタのその名も「JPNタクシー」が都心部を中心に増えてきた。

いっぽう未だに圧倒的なシェアを誇るのはその一世代前のトヨタ・コンフォート/クラウンコンフォートや、日産セドリック/クルーなど、ほぼタクシー(及び業務用車両)として開発、生産されてきた車種が多くを締めている印象だ。

しかし、個人タクシーの中にはそういった定番車種ではなく、メルセデス・ベンツやBMW、アウディといった輸入車をタクシーにしているものを見かけることがある。

定番ではない車種のタクシーに興味をもつひともいるかもしれない。しかし多くの一般のユーザーからしてみれば、輸入車だからとってわざわざ選んで乗るようなことは少ないだろう。

また、国産車の同クラスの車種に比べてどう考えても車両価格が高いと思われる。それでもタクシーの乗車料金を高めに設定するということができない現状を考えると、輸入車をタクシーにするメリットはあまりないように感じられる。

果たしてどんな理由があるのだろうか?

輸入車タクシー デメリットが多い?

今回は実際にタクシー車両の取り扱いをしている業者に話を聞いてみた。

それによると、やはり輸入車をタクシーにするにあたってはなかなか高いハードルがあるようだ。

都心部を中心に増えてきたトヨタ「JPNタクシー」    トヨタ

そもそも車両価格が高いというのはもちろんのこと、タクシーとして使用することを念頭において開発された車種ではない。

タクシー用の架装(自動ドアやタクシーメーターなど)も割高になることがほとんど。

国産車であれば、タクシーとして利用する法人向けの営業部など、専門の窓口が存在していることがほとんどだが、輸入車それもない。

購入から架装、登録まで自らで動かなければならない範囲が広いとのこと。

そして当然ながら、なにか車両トラブルがあったときに国産車のように「翌日に部品が入荷する」ということはほとんどない。場合によっては数週間から1か月近く待つことも少なくない。

当然、クルマの修理が完了しなければタクシーとしての営業もできない。よって売り上げが自分の懐に直結する個人タクシーユーザーからしたら頭の痛い問題と言えるだろう。

また、タクシーとしての役割を果たして次のクルマに乗り換えようとしたときでも、輸入車はほとんど査定がつかないというのも悩みどころだそうだ。

個人タクシーに人気のクラウン(非コンフォート)などであれば、過走行でもいくらかは値段が付くが、何十万kmも走行した輸入車はそうもいかないというのが現状のようである。

輸入車タクシー 実は手厚い保証魅力

ここまでの話を聞くと、輸入車タクシーはデメリットばかりの自己満足というイメージになってしまいそうだが、もちろんメリットも存在する。

そもそもタクシー運転手を稼業にするような人は根っからのクルマ好きもいる。それであれば自分の好きなクルマで仕事をすればモチベーションも向上するというのがまず1つ。

また、やはり国産車に比べて高級感のある内装や乗り味はリピーターの獲得にも一役買ってくれるそうだ。

また、タクシーのベースとするのは完全な新車ではなく、試乗車や展示車アップの個体が中心で、場合によっては新車よりも100万円以上安く買えることも少なくないとのこと。

そして非常に現実的なメリットとなると、メーカー保証の手厚さになる。

実は輸入車メーカーによっては保証期間が3年、または5年で、走行距離が無制限となるところが存在しているのである。

国産メーカーは3年6万kmや5年10万kmが一般的ではあるが、タクシーは年間で平均5〜6万kmを走破するので、あっという間に保証が切れてしまうのだ。

そのため、走行距離に制限のない輸入車をタクシーにするということは、修理に時間がかかっても修理代が発生することがないため、余計な出費のリスクを低減できるという大きなメリットが存在しているのである。

現在はメーカー側にとっても、クルマに厳しいと言われる日本の道路状況で数十万kmも走ってくれるタクシーは良いデータになるらしく、ウィンウィンの関係となっているようだ。