クルマから白煙!? 車両火災は年間4000件も いざという時の対処方法とは

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新しいクルマは燃えにくい?古いクルマは燃えやすい?

 2020年8月22日、ロックバンド「SOPHIA」のボーカルである松岡充さんが所有しているスポーツカーが世田谷区の路上で燃え上がり、火事に発展するという事故が発生しました。炎上したのは、アメリカ製のシボレー「コルベットC3(1968年型)」です。

実際に車両のエンジン部分から火が発生した際の消火活動

 当時、ドライバーが運転をはじめた直後に異臭がしたため、住宅密集地を避けた場所へとクルマを停車させました。

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 エンジンを停止してエンジンルームを確認した段階で火が上がっていなかったものの、この時点で消防署へ連絡を入れたようです。その後、消防車が到着するまでの数分間の間に白煙が黒煙に変わり、クルマはあっという間に炎上したといいます。

 また、鎮火後のエンジンルームの状況についてはまったくの無傷であり、車内にはタバコをはじめとする火の原因になるものはない状態です。出火の原因については判明しておらず、現在も専門家を通して原因究明がおこなわれているようです。

 上記のような車両火災は、全国各地で多発しています。消防庁が発表するデータによると、2015年は4188件、2016年は4053件の車両火災が発生しているといいます。

 また、上記の出火件数を原因別に確認すると、排気管によるものが681件(全体の16.8%)、放火または放火の疑いを含むものが440件(全体の10.9%)、交通機関内配線が392件(全体の9.7%)、といった結果も出ています。

 今回のケースのように、年式の古いクルマは車両火災のリスクが高くなるのでしょうか。都内の中古車販売店スタッフは、次のように話します。

「年式の古いクルマになると、エンジン関係でトラブルを起こしやすくなる可能性が高いです。

 極端に古いクルマになれば、メンテナンス時の部品を用意するのが難しくなり、こうした事態が何度も起こり得ることで車両火災などのリスクも考えられます。

 一方、比較的新しい年式のクルマについては、技術も進化していることから、エンジン面をはじめとするあらゆる面で丈夫に作られているといるため、したがって、古いクルマと比較すると車両火災のリスクは低いといえるでしょう」

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 では、車両火災はどういったことが原因で起こってしまうのでしょうか。

 JAFによると、車両火災が起きる原因として、「燃料のオイル漏れ」、「エンジンルーム内へのウエス置き忘れ」、「バッテリーのターミナルが緩むことで発生するショート」などが起因して発火する危険性があると説明しています。

 さらに、駐車場でエンジンをかけたまま仮眠した際など、間違ってアクセルを踏み込んでエンジンが空ぶかしで高回転状態を続ける状況も車両火災を引き起こす原因になりかねません。とくに、枯れ草など燃えやすいものの付近でエンジンをかけたまま駐車すると発火の危険性が高くなります。

 直射日光の当たる場所にライターを放置すれば、発火や爆発を起こす可能性も考えられます。そのほか、ダッシュボードに水の入ったペットボトルなど、太陽光の光を集める作用を促すものを置くと部分的に高温箇所を作り出してしまうため危険です。

 こうした万が一の車両火災を防ぐためには、クルマから離れる際にライターやスプレー缶など、火災を引き起こすものを放置しないことです。

クルマから白煙が上がったときの原因や対処法は?

 冒頭で説明した事故のように、エンジンルームから白煙があがった場合はどうすればいいのでしょうか。

 エンジンルームからの白煙による原因は、おもに3つあげられます。1つ目は、先述した車両火災によるものです。燃料系、電気系、排気系などの不具合によって車両火災を起こしている可能性があります。

 2つ目は、エンジンオイルの漏れです。また、オイル交換の際にエキゾーストマニホールドなど高熱になる部分にオイルが付着すると、オイルが焦げて白煙を出すこともあります。

 3つ目は、オーバーヒートです。冷却水が漏れたり不足したりすると、エンジンがオーバーヒートを起こす原因になり、白煙が出ます。

 実際、エンジンルームから白煙が上がったら、すぐに安全な場所へクルマを移動させて停車させます。エンジンを切り、キーは付けたままの状態でクルマから離れ、安全な距離をとって様子を伺います。これらの行動をとったうえで、上記の3つに対する対処をおこないます。

 ここで車両火災だと疑われる場合は、炎が少しでも確認できた段階で消防に連絡を入れてください。消防がくるまでは、自らが危険にさらされない範囲で初期消火に努めます。

オイル漏れは車両火災の原因に! 日頃からオイルの量や汚れはチェックをしよう!

 また、車両火災でないことを確実に判断できない段階で、安易にボンネットを開けるのは危険です。開けた途端に空気が入り込み、炎が吹き出す恐れもあります。

 しばらく様子をうかがったうえで白煙が収まり、ボンネットの熱が下がってきたら、注意してボンネットを開けます。オイル量を確認し、極端に減っている場合は自分で対処せず、整備工場かロードサービスを呼んでけん引してもらいます。

 また、冷却水が減っていればオーバーヒートが考えられるので、予備の冷却水を継ぎ足し、なければ一時的に水道水を代用するなどで応用します。

 オイルや冷却水に問題がない場合は、エンジンを労りながら近くの整備工場までクルマを移動させ、ただちに点検することが大切です。

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 クルマの新しい・古いに関わらず、クルマの整備不良といった車両側のトラブルに加え、車内の発火性のある物の管理といった人的なミスにより、どんなクルマでも車両火災を引き起こす可能性は十分考えられます。

 カー用品店などではスプレー式のコンパクトな消化器も販売されているため、万が一に備えて常備しておくのもおすすめです。