人身事故による電車の停車中、ある乗客が自力でドアを開けて降りてしまった――

そんな驚きの報告が、ツイッターで話題を呼んでいる。


ドアコックが開いている(画像は@g268oさん提供)

一連の経緯を報告したのはツイッターユーザーの@g268oさん。2020年7月31日の8時半ごろ、JR京浜東北線(大宮方面行)での出来事だ。

投稿者によれば、運転見合わせでの停車中、車内にいたスーツ姿の男性が、扉の上に設置された「ドアコック」(緊急時に手動でドアを開ける装置)を使い、勝手にドアを開けて去っていったという。

いったい何があったというのだろうか。Jタウンネットは31日、投稿者の@g268oさんに詳しい状況を聞いた。

JR東「トラブル・悪質ということはありません」

@g268oさんによると、乗っていた電車は蒲田駅近くで停車。すると、座席にいたスーツ姿の男性が突然立ち上がり、車内を歩き回り始めた。

数分後、男性はドアコックを操作し線路に飛び降りた。その際に1人の乗客が腕を押さえたが、男性は、

「もう無理だ」

とつぶやき降車。ドアコックの操作は30秒ほどだったという。

線路に降りた男性の危険を伝えるため、ほかの乗客が車内の非常通報ボタンを探して乗務員へ連絡。数分後にやってきた乗務員はドアコックを点検し、降りた人の特徴を乗客に聞いていた。その後は「線路へ行かないように」といった車内アナウンスが流れたそうだ。

Jタウンネットは、JR東日本にも当時の状況を聞いた。

広報担当者よれば、そもそもの発端となった京浜東北線の人身事故は8時15分ごろ、日暮里駅で発生。京浜東北線全線が運転見合わせとなり、9時57分に全線で運転を再開した。

「大宮方面行きの車内から1人が線路に降りて、すぐ蒲田駅のホームに上がられました。その後は線路内に誰もいないことを確認したので、引き続き人身事故のため運転を見合わせました。特にトラブル等の情報も来ておりません」

男性が降車したのは8時38分ごろ。停車中の扉が開くと駅に知らせが届くため、蒲田駅の駅員が確認に向かった。

降りた理由について、JR側が男性に事情を聞いたそうだが、担当者は「分からない」としている。ただ「トラブルがあったり、悪質だということはありませんでした」といい、この出来事によって停車時間が延びるなどの影響はなかったと説明した。

また@g268oさんが聞いた「線路へ行かないように」といった車内アナウンスについては確認がとれなかったが、

「駅と駅の間で電車が停止した際は、車掌は必ず『線路内には降りないでください』と放送で促すことになっています」

とのこと。ドアコックの使用に関わらず流されているようだ。

ドアコックの使用は「ケースバイケースで」

@g268oさんの報告に対し、ツイッターでは、

「トイレすかね......こういうときの非常ドアコック操作は許してあげて欲しい......」
「もしかしたらその方パニック発作とか出てませんでした?」
「トイレ関係なら、自分もやってしまいそう!」

といった声が寄せられている。

JR東日本の広報担当者によればドアコックの操作自体は難しくなく、手が届けば操作は可能とのこと。これまでに乗客が使用した例も「なくはない」としている。「ドアコックを操作して線路に飛び降りること」について見解を聞くと、

「非常用のドアコックですので、その際はケースバイケースでご利用いただけます。そのため、この場合は使用してください・使用してはダメ、という決まりはありません。ただ、開けた事情をお聞きして、悪質だったりいたずらだったりした場合は、警察を呼んだり注意をすることもあります」

とのことだ。

扉が開いた場合は駅や乗務員に連絡が行き、周りの電車を止めるなどの対応がとられるとのこと。ドアコックを使うこと自体は悪いことではないが、使い時は慎重に見極める必要がありそうだ。