将来のiPhoneはレーザーで超高速AirDrop?アップルが特許取得
Engadget Japan

iPhone等スマートフォン同士でファイルや連絡先をやり取りする手段としては、Wi-FiやBluetoothといった無線ベースの技術が主流となっています。

アップルがこれをレーザー通信に置き換えて、iOSのAirDrop等でサイズの大きなファイルを高速で送受信可能とすることを検討していると思しき特許を取得したことが明らかとなりました。

米AppleInsiderによると、アップルは米特許商標庁(USPTO)に「ポータブル電子機器用指向自由空間光学通信システムの可動レンズを調整するためのシステムと方法」なる特許を承認されたとのことです。本特許ではレーザーダイオード(半導体レーザー。レーザーを発振する)とフォトダイオード(光検出器の1種。レーザー受信側)を組み合わせた通信方法が概説されています。

光ベースの通信方法は、現在のWi-Fiネットワークをはるかに凌ぐ高速接続を実現しやすい技術です。可視光を利用する無線通信「Li-Fi(Light Fidelity)」は2016年の時点でiOSのコード内に言及があり、アップルが何年にもわたり秘密裏に研究開発を進めていると推測されています。

そんな光通信の実現を阻む壁となっているのは、デバイスを(互いの光が受信できるよう)近くに保っておく面倒さや、レーザー送受信のエミッタとセンサーが並んでいるとハードウェア的に接続を確立しにくいこと。そして発光を第三者に検出される可能性(それにより通信の秘密が保てない)以上3点を、AppleInsiderは指摘しています。

アップルが取得した特許は、まずレーザーを使うことでブロードキャスト方向を非常に狭いフィールドに制限し、デバイス間の通信を特定の方向性の範囲内に保つことで、セキュリティを向上させるものです。

そしてデバイス同士を(光を適切に受け取れるよう)並べる問題については、レーザー発信器の前に可動レンズを置き、受け取り側のセンサーと完全に向き合えるように光の軌道を変更できるしくみ。これによりセンサーに当たる光量を最大限にできるとともに、最初に互いのデバイスを見失う可能性も減らせるわけです。ユーザーにとっては、漠然と光が行き来しやすい方向にいればよく、厳密な位置調整は必要なくなることを意味します。

かたや受信センサー側も複数の感光セグメントを持ち、レーザーがセンサーの中央に当たらなくても検出が可能とのこと。さらに光の着地点を検出したセンサーは送信側に偏差を知らせる機能があり、それにより発信側はレンズを移動させて補正。そうしてレーザーが完ぺきな位置に当たれば、レンズの補正を止めるようにメッセージを送信し、ベストな状態で送受信が確立できるといったところです。

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アップルのような大手IT企業は毎週のように多くの特許を申請および取得しており、そのうち実用化や製品化にいたるものはごく一部です。本特許もアイディアのまま終わる可能性もありますが、目の前にいる相手と大容量ファイルをやり取りするためにクラウドストレージを介した遠回りしたりせず、直ちにAirDropでダイレクトに送れる未来がくるよう望みたいところです。

Source:AppleInsider

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