Nintendo Switch Lite搭載のファイルシステムを開発したイーソルによる自社製のスケーラブルリアルタイムOS「eMCOS(エムコス)」の新たな仮想化機能「eMCOS Hypervisor」が凄い
前述した「PrFILE2 exFAT」に加え、自分の身近なところでひそかに使われているかもしれない組み込みOSが「eMCOS(エムコス)」というわけだ。
その「eMCOS(エムコス)」をベースに仮想化機能を組込んだ「eMCOS Hypervisor」が正式にリリースされた。その「eMCOS Hypervisor」が切り開くであろう大きな可能性について紹介しよう。
■eMCOS Hypervisorでできることが広がる
eMCOS Hypervisorを使うと1台のハードウェアプラットフォーム上でリアルタイムOS上の堅牢なリアルタイムアプリケーションと、汎用OS上のリッチアプリケーションを同時に実行し、両者の統合を図ることができる。
ミックスド・クリティカル(※1)な各システムにおいて、それぞれを空間/時間的に完全に分離できるので、eMCOS Hypervisorは、eMCOSに仮想化機能を組み込むことにより、RTOSとしての高いリアルタイム性や安全性を確保しながら、LinuxやAndroidなどの汎用OSも組み合わせた、より柔軟なミックスド・クリティカルシステムの構築が可能となる。
※1:求められる信頼度および安全性能が異なる機能が混在することを指す
■eMCOS Hypervisorの主なメリット
eMCOS Hypervisorの導入には様々なメリットがあるが、大きく見ると以下の4つとなる。
1)eMCOSの高度なスケジューリング機能を利用可能
eMCOS Hypervisorは、同社の商用フルPOSIX OS「eMCOS POSIX」に仮想化機能を組み込む形で実現されており、ロードバランシングや時間分離などといったスケジューリング機能を、同一ハードウェアプラットフォーム上のゲストOSでも活用することができる。
2)汎用OSのブートシーケンスを容易にカスタマイズ可能
ゲストOSはeMCOS POSIXプロセスとして起動されるため、ゲストOSのブートシーケンスを単なるプロセスの起動処理として記述できる。したがって、時間差によるシーケンシャルな起動、マルチコアを用いた並行起動などを容易にカスタマイズできる。しかも、確実なリアルタイム性や安全性の確保を犠牲にすることなく複数のゲストOSを協調させ、かつ必要に応じて負荷分散を行いながら実行することが可能。
3)ドライバを容易に移植可能
Linuxで標準対応されているVirtIOドライバがサポートされており、Linuxゲストを容易に移植できる。さらに、仮想マシンモニターがハードウェアアクセスをフィルタ処理またはパススルーすることが可能なため、SoCに密接に結合されているような固有のドライバも容易に移植できる。
4)誤動作および悪意のあるソフトウェアに対する堅牢性
eMCOS Hypervisorのシステムは、権限の大きいハイパーバイザーおよびカーネル空間に組み込む仮想化のための機構を最小限とし、ユーザー空間に配置される仮想マシンモニター上で大部分の処理を実行するように設計されている。これによりゲストOSおよび仮想マシンの異常によってシステム全体のクラッシュにつながるような致命的な故障が起こることがない。