もっと可愛いものだと思ってた…「てるてる坊主」はまさかの妖怪が起源だった!?

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梅雨も本番となってきました。小さなお子さまがいるご家庭では、晴れの日を願って、てるてる坊主を作った方もいるのではないでしょうか?

実は、てるてる坊主は、妖怪が起源だという説があります。

前回の「雨を背負って現れる妖怪たち」と合わせてご覧ください!

禿頭で、茨城県の山の中に現れる?

日和坊(ひよりぼう)は、つやつやとした禿頭が特徴の妖怪です。江戸絵師、鳥山石燕の「今昔画図続百鬼」では、以下のように記されています。

常州の深山にあるよし。雨天の節は影見えず、日和なれば形あらはるゝと云。

今、婦人女子てるてる法師といふものを紙にてつくりて晴をいのるは、この霊を祭れるにや

出典:「今昔画図続百鬼」鳥山石燕 著

『日和坊』(鳥山石燕画)

石燕によると、日和坊は常陸の国(現・茨城県)の深い山中に住んでおり、晴れの日には姿を現し、雨が降ると姿を隠す妖怪とのことです。

また、今の女性や子どもが紙で作っているてるてる法師(てるてる坊主)は、日和坊の霊を祭っているのだろうか、と自説を述べています。

江戸時代のてるてる坊主は、紙で作った着物を着せられていたり、こよりの帯を巻いていたりなど、現代のてるてる坊主よりもより人間の見た目に近いものでした。

また、晴れの願いをかなえてくれたてるてる坊主には目を描き入れ、お酒をふるまったという記述が『嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)』という江戸時代後期の文献に残っています。

晴れは晴れでも…

一方で、てるてる坊主の起源は魃(ひでりがみ)という名の妖怪であるという説もあります。

魃は、もともとは中国の妖怪で、獣の体と人の顔を持ち、手と足がひとつずつしかありません。この妖怪が現れると雨が降らず、名前の通り大変な日照りとなったといわれています。

『魃』(鳥山石燕画)

現代でも、雨が降らないことによる水不足の状態を「干ばつ」と呼びますが、もともとは「旱魃」という字があてられていました。

この「魃」は「魃(ひでりがみ)」のことを表しています。

 

梅雨はまだまだ続きます。てるてる坊主を作るときは、日和坊や魃を祀る気持ちをこめてみると、晴れの願いが叶うかもしれませんね。

参考文献:鳥山石燕『画図百鬼夜行全画集』角川ソフィア文庫 平成17年7月25日刊