JALのCA制服の歴史を振り返ると、注目度の高かったもののひとつに、ひと際短いミニスカートが特徴の5代目制服があります。これは当時の流行を取り入れたものという説が濃厚ですが、それまでの歴史を見ると別の背景もありそうです。

きっかけはB747「ジャンボ」就航のミニスカ制服

 JAL(日本航空)のCA(客室乗務員)制服の歴史を振り返ると、注目度の高かったもののひとつに、「高度経済成長時代」の1970(昭和45)年から約7年使用された、5代目制服があります。

 この制服は、JALのCAを主人公とするテレビドラマ『アテンションプリーズ』で登場し、人気を博したものです。なお、『アテンションプリーズ』は、2006(平成18年)に、リメイク版も放送されています。しかし、この制服が人気を持つ理由はそれだけではありません。

 この制服でひと際目立つのは、そのスカートの短さでしょう。JALの制服のなかでも、ひと際短いミニスカートが採用されています。日本の航空会社では2014(平成26)年、スカイマークがひざ上15cmの超ミニスカート制服を採用したことで話題となりましたが、JALの5代目制服もかなりの短さで、ひざ上8cmです。


ミニスカートが特徴のJAL5代目CA制服(2019年7月、乗りものニュース編集部撮影)。

 日本では1967(昭和42)年、来日したイギリス人モデル、ツィギーがミニスカートを着用していたことをきっかけに、第1次ミニスカブームが到来します。この流行を取り入れたのが前述の、「ジャンボ」ことボーイング747型機就航を記念し新調されたミニスカートの5代目制服、ということだそうです。

 ただし、このミニスカ制服が採用された背景は、どうやらこれだけではなく、この時代の飛行機の搭乗方法も関わっているようです。

かつてのJAL制服のスカート事情とは 2020年には新制服

 JALがミニスカ制服を採用した当時、飛行機の搭乗方法は、現在一般的に見られる搭乗橋(ボーディングブリッジ)を使ったものではなく、機体のドアまで備えつけられた階段(タラップ)やタラップ車を上る方法が大多数でした。ちなみに、日本で初めて搭乗橋が採用されたのは、ミニスカ制服登場の前年となる1969(昭和44)年で、福岡空港でのことです。

 JALが設立された1951(昭和26)年、当時「エアガール」と呼ばれたCAの初代制服は、膝下15cmのロング丈スカートでした。しかしこの初代制服は、飛行機を乗り降りする際、階段にひっかかってしまうこともあり、機能性が高いとは言えなかったそうです。

 そこで1954(昭和29)年に、JAL初の国際線就航を機に登場した2代目から、スカートの丈は少しずつ短くなります。1967(昭和42)年、JALが世界一周線を開設したことを機に、スカイブルーのデザインが特徴的な4代目制服が登場しました。このとき、膝が見える高さまでスカート丈があがり、そののちもっと短い、5代目のミニスカ制服が登場したのです。


JALで2020年4月から採用される、11代目制服。左の2人が着用しているのがCA用制服で、パンツスタイルが導入されている(2019年7月、伊藤真悟撮影)。

 この“攻めた”デザインのミニスカ制服は、2020年現在も高い人気があるものの、着用されていた期間は、ほかの代の制服と比べそう長くはありませんでした。

 1977(昭和52)年、ボーダー柄のシャツを組み合わせた6代目制服が登場し、2代目と同じ程度までスカートの長さが戻っています。これはミニスカブームが終焉したほか、短すぎて一部CA側からも、機内サービスの際支障が出るという声が上がったことも理由であると、週刊ポスト(2017年3月17日号)は伝えています。

 なおJALは2020年4月から、11代目となる新制服を採用します。新制服の大きな特徴として挙げられるのは、同社初となるパンツスタイルです。デザイン選定は一般から意見を募りつつ、実際に制服を着るJALグループスタッフのプロジェクトチームが中心となり進められたといいます。パンツスタイルも、実際のスタッフの意見を採用したものだそうです。

※一部修正しました(3月6日11時40分)。