ブランドにとっての課題は、カテゴリーや規模によって異なる。

アリゾナ州スコッツデールで12月9日から11日まで開催されたDIGIDAYブランド・サミット(Digiday Brand Summit)で、ブランドマーケターは、Amazonとの取引やブランド創業者の期待のマネジメント、インフルエンサーとの取引といった、さまざまな悩みをチャタムハウスルール(発言者を伏せた形での情報公開)の下で共有した。

以下、その一部をご紹介する。

Amazonの戦略の把握は必須だ

「(Amazonでの)販売は避けられない類のものだ。非常に長期にわたり、Amazonで販売しないよう努めた。だが、そうしようと決めるか否かに関係なく、Amazonでは販売されてしまう。なぜなら、製品を購入する再販業者がいて、それをAmazonで転売するので、ブランド体験を管理できない。そのせいで多くの否定的なレビューが書き込まれる恐れがあり、ブランドに悪影響を及ぼす」。

「Amazonに関する戦略を練り直さなければならなかった。当社の製品の模造品が大量に出品されている。プライム(Prime)を利用していなかったり、スポンサード投稿になるように広告スペースに対して金を払わず、製品を最初に開発したと主張するパテントトロールがいたりすれば、Amazonでひどい目に遭う。Amazonへの出品物全体の見直しに多くの金を費やさなければならなかった。ブランドの地位上昇には役立ってきたが、Amazonでは、販売してはいけないはずの他の小売業者がオンラインで当社の製品を販売しているので、その管理にかかりきりになる」。

社内マーケティングの管理は難しい

「何かをインハウス化したい場合、多くの作業が必要で、結果的にエージェンシーにいる担当者と同じだけの人数が必要になるが、管理下に置ける。エージェンシーとの関係は、(すべてをインハウス化する)最終段階に向かってさらに難しいものになる」。

「(インハウス化することについて)非常にオープンでいる方が、エージェンシーに内緒で物事を行うよりはるかにいい。仕事を止めて、『ふざけるな!』という感じになるからだ」。

「(社内またはエージェンシーで)何をするにしても、否定したり、『良くないアイデアだ』と言ってくれたりするチームと仕事をしているときは、もっとも良い仕事ができる。比較的大手の企業はときどき、エージェンシーに介入してもらって、何かがまずいアイデアだとか、社風に躍動感がない、と言ってもらう必要がある」。

指定代理店への依頼料を払いたい者はいない

「指定代理店への依頼料はかなり高く、小規模なブランドであれば対応できない。誰かに戦略的ビジョンを示してもらったり、ルック&フィールを定めてもらったりしてから、その部下や社内の誰かに実行させるには、大きなプロジェクトを行う方がはるかに費用対効果が高い」。

「時間が経っていくにつれて支出が増える結果になっても、クリエイティブに支出しはじめたばかりの一部ブランドにとっては、依頼料ではなくプロジェクト単位の仕事をするほうが上手くいく」。

「依頼料を払っていると、エージェンシーの社員が次のことに取りかかり、事業開発部門は、依頼料を払う次の企業に目を向けているように感じられる。プロジェクトを明確に規定することで、社内チームは自分たちがどこに向かおうとしているのかよく考えざるをえなくなり、エージェンシーは当然のことだと思わなくなる。プロジェクト単位の仕事のほうが、処理時間がかなり短いことがわかった。依頼料を払うと、エージェンシーは依頼料のせいで何カ月も引き延ばす」。

社内の体制が依然として問題だ

「我々はチャネルを分割してきた。私はデジタルを扱う。当社には別のソーシャルチームがいるので、私はソーシャルにまったくタッチしない。自分たちがサイロ化されて、クロスプロモーションしていないとわかることがよくある。あるいは、皆が行うべきすべての仕事を倍にしている。社内にクリエイティブ担当チームがいるのに、エージェンシーにも外注して、その仕事が二重に行われている」。

「チームの規模が小さすぎるのに、マーケティングに何かを求める者の数が非常に多い。ブランドのために達成できることと、ほかの誰もが求めていることとの、バランスの取り方を把握しようと努めている。そして、社内の誰もが、自分はマーケティングについて知っていると思っている」。

「スタートアップの場合、創業者がブランドのマーケターではなく、ブランドのビジョナリーであることがよくある。ブランドを理解していても、マーケティング費用について理解していないので、彼らに頼ることにより激しい意見の相違が生じる。彼らは、ソーシャルに金を払いたくないが、露出を求めているというだろう。我々のほとんどが以前に採用したことがある、触覚に訴えるマーケティング戦略は、創業者やCEOが必要と見なすものと一致しない場合が多々ある」。

アトリビューションを理解している者がいない

「測定できないブランドのメディアがたくさんある。テレビのコマーシャルや屋外広告は測定できないが、だからといって重要でないわけではない」。

「協働相手には、(アトリビューションのために)ひとつのシステムの下で働くように常に強いている。誰もが独自の気に入ったシステムを利用していると、トラッキングがかなり困難になるからだ。自分にとって都合が良いアトリビューションシステムを選び、協働相手が皆、独自のシステムではなく、あなたのシステムを利用するようにしないといけない」

誰もがTikTok(ティックトック)に注目している

「TikTokを利用しはじめるタイミングを把握しようとしている。ブランドとソーシャルメディアチームは、TikTokを研究して没頭している。(だが、未成年のコミュニティは理解し難く、TikTokで人気がある人物の)多くは18歳未満だ」。

「TikTokはかなり近寄りがたい」。

「TikTokのスターは、請求すべきものをまだわかっていないので、インスタグラム(Instagram)よりかなり安上がりだ」。

「いいね!」の終了で、インフルエンサーの責任が重くなる

「当ブランドでは、協働したいコンテンツ制作者やインフルエンサーを見つけるために、かなり迅速に動いており、『いいね!』の数を大いに考慮に入れる。インスタグラムで『いいね!』がなくなると、協働する前に、ブランドとしてインフルエンサーともっと真摯に会話する必要が出てくる。インフルエンサーの投稿が共有または保存されている頻度を確認する必要が生じるだろう。いまのところ、そうしたものはすべて非公開の情報だ」。

「インフルエンサーはこれまで、多くのマーケターにとって輝く存在だった。多くのブランドが、(意味をなさないのに)インフルエンサーを利用してきた。『いいね!』がなくなると、インフルエンサーの責任が重くなる。報告を返し、支払い対象と支払うに値する理由を証明しなければならなくなる」。

「この3年間、会話のなかで、インフルエンサーマーケティングを利用したくないと誰かが言うことはなかった」。

「私はマーケティングを行うが、インフルエンサーでもある。もっと分析にアクセスする必要があると書かれたメールをブランドは送信している。『いいね!』が万能だと思ったことはなく、それは単にリーチであるだけだ。現在、ブランドはようやくそのことを理解しつつある」

「インフルエンサーのアトリビューションは、本当に難しい。ブランド構築に真に効果的なものを重視しすぎるのと、短期間でアトリビューションをもたらせるものを重視しすぎるのとで、ずれがある。我々は証明できることで、アトリビューション可能なものを選んでいる。私の経験では、そうするのは、マーケティングが最初のたたき台になり得るからだ。価値を証明するのは重要だが、そうしたブランド構築面はそれほど簡単に追跡できないので、長期戦略を無効にする」。

Kristina Monllos(原文 / 訳:ガリレオ)