飲食店全体の倒産件数

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 飲食店が厳しい状況に置かれている。節約志向の高まりに加え、今年10月に消費税率の引き上げとそれに伴う軽減税率が導入されたことで、消費者はテイクアウトやデリバリーなどの中食や、内食を選ぶ傾向が強まったと言われる。飲食店は他にも、人手不足、社長の高齢化、後継者問題、キャッシュレス化、改正健康増進法の施行が2020年に控えるなど今後も懸念が尽きない。

 今回、帝国データバンクでは、2000年〜2019年11月の飲食店事業者の倒産(※)動向について集計・分析した。

 ※ 飲食事業を主業とする事業者(法人・個人事業者)で、法的整理かつ負債1000 万円以上を対象としている

倒産件数、2019年は過去最多のペースで推移

 2019年の飲食店事業者の倒産は11月までに668件発生し、既に前年(653件)を上回った。過去最多となっているのは2017年の707件であるが、2019年はこのままのペースで推移すると通年の倒産件数は728件前後となり、過去最多を更新する可能性が高い。

「酒場・ビヤホール」と「西洋料理店」が過去最多を更新

 業態別(11業態)にみると、居酒屋やビヤホールのほか、焼き鳥店、おでん店、もつ焼き店などをメインとする「酒場・ビヤホール」(143件、構成比21.4%)、レストラン、フランス・イタリア料理店などの「西洋料理店」(110件、同16.5%)が11月時点で過去最多を更新し、業界全体の倒産件数を底上げしている。「中華・東洋料理店」や「喫茶店」は過去最多に迫る勢い。

 11月までの件数でみると、「酒場・ビヤホール」、「西洋料理店」、ラーメン店、カレー店、焼肉店、餃子店などを含む「中華・東洋料理店」(96件、構成比14.4%)の3業態で全体(668件)の52.2%を占めている。
「酒場・ビヤホール」は2009年以降、11年連続で最も倒産件数の多い業態となっているほか、「西洋料理店」は2017年(86件、前年比41.0%増)、2018年(92件、同7.0%増)、2019年(110件、同19.6%増)と3年連続増加し、ここ数年で件数が2倍近くに急増している。

 一方で、てんぷら店、うなぎ店、とんかつ店、沖縄料理店などの「日本料理店」(46件、構成比6.9%)は、他業態に比べ件数は少なく、「すし店」(18件、同2.7%)や「そば・うどん店」(15件、同2.2%)、「料亭」(7件、同1.0%)も同様の結果となった。和食はその他の業態に比べ新規参入が少なく、消費者の嗜好やトレンドに左右されにくいことなどが要因とみられる。

負債総額5000万円未満が8割超、50億円以上は2013年以降ゼロ

 負債額別にみると、2019年(1月〜11月)は「5000万円未満」の小規模倒産が構成比84.4%(564件)、5000万円を超える倒産は同15.6%(104件)となった。「5000万円未満」の倒産は2015年から5年連続で8割超の構成比となっている。

 飲食業界はブームやトレンドの移り変わりが激しく、成長半ばにして事業継続が困難となる事業者が多いことが要因とみられる。実際、今年1月から11月に発生した全国(全業種)の倒産(7646件)を業歴別にみると「5年未満」が12.3%であるのに対し、飲食店は20.4%。また、全国(全業種)の「20年以上」が48.8%であるのに対し、飲食店は32.8%となっている。

 負債額5億円以上の倒産は11件発生し、そのうち10億円以上の倒産は2件となった。負債額最大となっているのは、「カルビ屋大福」のフランチャイズ事業を展開し今年4月に破産したシズカコーポレーション(株)。なお、負債50億円以上の倒産は2013年以降発生していない。

節約志向が高まるなか、外食を控える消費者が増加 今後も屋内原則禁煙化などで飲食店は厳しい状況が続く

 2019年(1月〜11月)の飲食店の倒産件数は11月時点で668件発生し、過去最多となるペースで推移している。

 消費者の節約志向は高まる一方で、外食を控えて中食や内食を選ぶ消費者が増加している。そのようななか今年10月には消費税率が10%に引き上げられ、それに伴い導入された軽減税率により、テイクアウトやデリバリーなどは消費税率が8%に据え置かれたのに対し、飲食店の店内で食事をすると消費税率が10%となったことなども客離れの要因となった。帝国データバンクが発表している景気動向調査によると、10月の飲食店の景気DIは前月比6.3ポイント減の37.3となり、その影響が伺える。

 また、「人手不足」が原因となり倒産するケースが増えつつあり、これからさらに増加する可能性もある。実際、帝国データバンクが2019年11月に発表した『人手不足に対する企業の動向調査』では、飲食店では非正社員について78.3%の事業者が人手不足を感じていると回答している。 12月に入っても、東京競馬場や中山競馬場でレストラン「メトロ」を運営していた太平洋興業(株)や、ハンバーグ&ステーキ店「听屋(POUND-YA)」などを運営していたデリシャス・リンクス(株)などが破産手続き開始決定を受けた。消費税率の引き上げにより景況感が悪化している飲食店においては、年末に向けてさらに倒産件数が増加することも考えられる。また、2020年から施行される予定の改正健康増進法により飲食店などの屋内では原則禁煙となるなど今後も飲食店は厳しい状況が続くと予想される。