ナッツにフルーツ。「実り」が開くお茶の新たな扉
まだ夏の暑さが残る9月の昼下がり。中目黒駅で下車した彼女は、とあるお店を目指していた。
目的地は、2019年8月にオープンしたばかりの『Groovyな、お茶』。台湾茶や中国茶などを扱うお茶の専門店だ。
おいしいお茶に思いを馳せつつ、あの有名なコーヒーショップに背を向けて、彼女は歩き出す。
お茶とナッツ、そしてフルーツが交わる場所
山手通りから1本入った路地を少し行くと、鮮やかなフルーツとナッツのイラストが印象的な店構えが見えてくる。店先には氷旗がぶら下がり、「東方美人茶」「凍頂烏龍茶」などお茶の名前が書かれた看板が掲げられていた。
店内に足を踏み入れると、涼やかに鳴る葉擦れの音や、鳥のさえずりが聞こえてくる。鼻先をくすぐる微かな甘酸っぱい香りが気になって店内を見回すと、奥のカウンターに数種類のフルーツが置かれているのが見えた。
また、店内の左手奥には柿やぶどうといった木の実や果実の絵付けが印象的な茶器が並んでいる。この『Groovyな、お茶』は「お茶と、ナッツと、フルーツと。」というコンセプトを掲げており、お茶とナッツ、そしてフルーツのペアリングを提案しているお店なのだ。
彼女が訪れているこの『Groovyな、お茶』は、同じ中目黒にあるナッツ専門店『Groovy Nust』の姉妹店。もともとGroovy Nutsによく足を運んでいた彼女は、この姉妹店のオープンを知り、こうして訪ねる日を楽しみにしていた。
自由な発想で楽しむお茶の新しいスタイル
台湾で出会った「東方美人茶」のおいしさに感動したことがきっかけで、こうしてお茶のお店を開くに至ったという店主の佐川さん。現在提供されているのは「東方美人茶」「凍頂烏龍茶」といった台湾茶や中国茶など7種類で、こだわりのお茶は店内で楽しむほか、テイクアウトも可能だ。
「今のところ、お昼はお茶とかき氷を、夜はバーとしてお茶を使ったカクテルとフルーツをお出ししています。昼も夜も、季節に合わせて実験をするみたいに自由な発想でお茶とのペアリングを楽しんでいただきたいですね」
彼女にそう話してくれた佐川さん。お店で提供しているお茶は、茶葉の仕入れから淹れる時の水の最適な温度の研究まで、全て佐川さんがおこなっているのだという。
オープンしたばかりということもあり、お店は今後も佐川さんのインスピレーションによってどんどん変化していく可能性もあるのだとか。「来る度に新しい出会いのあるお店なんですね」と笑う彼女に、佐川さんが頷く。
口の中で広がる、はじめてのマリアージュ
この日彼女がオーダーしたのは、東方美人茶と「完熟南高梅クリームチーズ」のかき氷。涼やかに澄んだ東方美人茶は、紅茶を思わせるようなふくよかな香りで、口当たりがさらりとしていて爽やかな味わいだ。
果肉たっぷりの梅ジャムにクリームチーズとピスタチオソースを合わせるという珍しい組み合わせに胸を踊らせつつ、今度はふわふわの天然氷のかき氷をスプーンですくって、ひとくち。
「クリームチーズと梅って、こんなに合うんだ……!」
彼女の口から、思わず驚嘆の声が漏れる。果肉感を感じられる甘酸っぱい梅ジャムにクリームチーズの濃厚な風味、そしてピスタチオの香ばしさが掛け合わさり、口の中にこれまで味わったことのない新たなおいしさが広がる。
そして、再び東方美人茶のグラスに口をつけ、彼女はまた驚いた。東方美人のすっきりとした味わいと、梅とピスタチオの絶妙な風味の相性は抜群だ。これこそが、この『Groovyな、お茶』でしか体験できないお茶とナッツ、そしてフルーツのマリアージュなのだ。
とびきりのお茶とフルーツとナッツのかき氷をいただきながら、彼女は既に「また来よう」と心を決めているのだった。
店舗情報
Groovyな、お茶
住所:東京都目黒区東山2-3-6 有澤ビル 1F
アクセス:中目黒駅 徒歩10分
電話番号:03-6303-3807
営業時間:14:00〜23:00
定休日:不定休