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SNSをはじめとするソーシャルメディア利用者の中には、いわゆる自撮り写真など自分自身の写真を画像編集アプリで加工して公開するユーザーも多い。SNSや写真加工アプリの利用状況がそのようなユーザーの美容整形に対する許容度の高さや自尊心の低さにどう関係するかという興味深い研究が米国で行われた。

研究を行ったのは米ジョンズ・ホプキンズ大学医学部の研究チーム。ソーシャルメディアや写真加工アプリの利用と美容整形に対する許容度や自尊心との関連性に着目した研究チームは、2018年7月から9月にかけてオンラインによるアンケート調査を実施。その分析結果が「JAMA Facial Plastic Surgery」オンライン版(2019年6月27日付)に掲載された。

研究ではFacebookなどのSNSを利用して行ったオンライン調査の回答者252人の回答結果を分析した。 18歳から55歳までの回答者の平均年齢は24.7歳で、その内訳は女性が73%、白人は53%。美容整形に対する許容度は、ACSS(Acceptance of Cosmetic Surgery Scale/美容外科手術受容尺度)と呼ばれる7段階の評価方法を、また自尊心は、自尊感情を測定する際に多く用いられるRSES(Rosenberg Self Esteem Scale/ローゼンバーグ自尊感情尺度)という31段階の評価方法を用いてそれぞれ評価した。

集計データを分析した結果、出会い系アプリ「Tinder」および写真共有アプリ「Snapchat」とその写真加工用フィルターのユーザーでは美容整形に対する許容度が高いことが明らかになった一方、画像編集アプリの「Photoshop」や「VSCO」、メッセージアプリ「WhatsApp」、動画共有サイト「YouTube」で自身の画像や映像を送信・配信するユーザーでは自尊心スコアの低さが認められたという。

この研究では個々のアプリやサービスの特性・仕様にまで踏み込んだ分析は行われておらず、人気のあるアプリ・SNSや美容整形を巡る意識など、米国と日本では市場も事情も異なる。だが自分の顔や全身をより良く見せたいという本質的な願望は全世界共通だ。ソーシャルメディアやアプリ業界、美容医療業界も多分に漏れずガラパゴス的に独自の進化を遂げた日本。今後、国内でも同様の研究が行われることに期待しよう。

【参考文献】
Association Between the Use of Social Media and Photograph Editing Applications, Self-esteem, and Cosmetic Surgery Acceptance
PMID: 31246236
DOI: 10.1001/jamafacial.2019.0328

医師・専門家が監修「Aging Style」