ハッセルブラッドが新中判デジカメ発表。iPad Proに連動、外出先でRAW現像も手軽に
高級カメラメーカー、ハッセルブラッド(Hasselblad)が、中判デジタルカメラとiPad Pro/Airが連携するシステム「Phocus Mobile 2」と、価格を大幅に引き下げた新型の中判デジタルカメラ「X1D II 50C」、デジタルバック(フイルムカメラをカメラ化するユニット)の「CFVII 50C 907X」を発表しました。

ハッセルブラッドはスウェーデンで1941年に創業した名門カメラメーカー。1960年代には"宇宙用カメラ"を製造したことでも知られ、史上初めて月に降り立ったアポロ11号の乗組員も、ハッセルブラッドのカメラで月面の記録を残しています。

そんなハッセルブラッドですが、現在ではスマートデバイスへの対応を積極的に進めています。

今回発表された「Phocus Mobile 2」は、同時に発表された「X1D II 50C」と「CFVII 50C 907X」に対応する編集・テザー撮影アプリです。iPad ProまたはiPad Airの2019年モデルを持っていれば無料で利用できます。なお、カメラ側の対応製品2モデルは、それぞれ現行機種の2代目という位置づけとなりますが、現行モデルでは利用できません。




Phocus Mobile 2では、デジタルカメラとiPadとを接続して、RAWファイルやフルサイズJPEG写真の編集、テザー撮影などを行えます。画像編集ではカメラのメモリーカード内の写真をiPadに移さずに編集でき、JPEG形式やAdobe Lightroomで扱えるRAWファイル形式で出力できるなど、RAW現像に必要な機能を一通り揃えています。

テザー撮影はiPadと対応カメラをWi-Fi、または有線(USB Type-C)で繋いで撮影する機能。iPad上に現在の撮影設定が表示され、本体のモードダイヤルを回さなくても設定を変更できます。ハッセルブラッド・ジャパンの発表会に登壇した写真家の上田晃司氏は「多くの人のワークフローを変える機能だと感じた」とその使用感を紹介しました。


■Xシステムの新モデル「X1D II 50C」



「X1D II 50C」は、ハッセルブラッドの中判デジタルカメラ「Xシステム」の第2世代モデル。35mmフルサイズより大きないわゆる中判サイズのセンサーを搭載しながら(同クラスのセンサー搭載機では)コンパクトという特徴はそのままに、起動速度やシャッター性能を改善しています。センサーは5000万画素(センサーサイズ43.8×32.9mm)で、一画素ごとのカラーマネジメントにより、精細な写真を撮影できるとしています。




また、現行機種のX1D-50cに比べると、モニターを大型化し、電子ビューファインダー(EVF)も有機ELに刷新。タッチフォーカスに対応するなど、操作性も向上させています。USB Type-C端子は継続して搭載し、先述したようにiPad Proとの接続もサポートします。




そして最大の特徴とも呼べるのが、価格です。実売予想価格は65万円(税抜、以下同)で、7月発売。「X1D-50c」(予想価格102万8000円)から約36%という、大幅なプライスダウンを遂げています。

同時にXシステム9本目にして初のズームレンズXCD 3,5-4,5/35-75mmも発表。35mm換算で28mm〜62mm相当のズームに対応します。価格は58万5000円です。

■50年前のカメラもデジタル化できる

「デジタルバック」新モデル



同時に発表された「CFV II 50Cデジタルバック」は、ハッセルブラッドの歴史あるカメラシステム「Vシステム」のオールドカメラをデジタル化できる製品。Vシステムのデジタルバックとしては第2世代となり、iPad対応やチルト液晶の採用など、操作性の改善が図られています。また、CFV II 50CをXシステムのレンズで使える「907Xカメラボディ」も用意されます。

ただし今回は、詳細はまだ公開されない状態。製品詳細、価格、発売日などは2019年後半に案内するとしています。







特に気になる価格ですが、5年前に発売された前世代モデル「CFV 50C」がおよそ150万円で登場し、2019年も中古品が100万円弱で取り扱われています。

ハッセルブラッド・ジャパンの関係者は「中判カメラを使っている方なら『お買い得』と思える価格になるだろう」とコメントしており、少なくとも前モデルよりは安価な設定になるものと見込まれます。