前回大会(2016年)はチリが連覇を飾った

 南米王者を決めるコパ・アメリカ2019(ブラジル)が、現地時間6月14日(日本時間6月15日)に開幕する。今大会は1999年大会以来、20年ぶりに日本代表も出場するとあって、一段と注目を集めている。

 前身の南米選手権を含めて、46度目の開催となるコパ・アメリカ。その開幕を前にして、主な出場国のちょっとした豆知識や、同大会にかかわるジンクスを紹介したい。

◆地元ブラジルの優勝が濃厚。驚異のV確率!

 コパ・アメリカがブラジルで開催されるのは、今回で5度目。過去4大会は、すべて開催国ブラジルが制している。

 ちなみに、ブラジル開催の2013年コンフェデレーションズカップ(以下、コンフェデ杯)、2016年リオデジャネイロ五輪でもブラジルが優勝。ブラジルは自国開催で圧倒的な強さを誇っている。

 自国開催で優勝を逃したのは、1950年と2014年のW杯のみ。それでも、準優勝、4位という好成績を残しており、今大会も順当なら地元ブラジルの優勝が濃厚だろう。

【ブラジルの自国開催における国際大会の成績】
1919年=優勝(南米選手権)
1922年=優勝(南米選手権)
1949年=優勝(南米選手権)
1950年=準優勝(W杯)
1989年=優勝(コパ・アメリカ
2013年=優勝(コンフェデ杯)
2014年=4位(W杯)
2016年=優勝(五輪)
※( )内は大会名

◆大一番で7連敗中。詰め甘いアルゼンチン

 ブラジルの対抗馬となるのは、コパ・アメリカ14度の優勝を誇るアルゼンチンだろう。PK負けを引き分け扱いにすれば、同大会においては16試合連続負けなし。さらに、五輪や年代別の国際大会でも輝かしい結果を残していることを考えれば、なおさらである。

 しかし、A代表に限って言えば、1993年のコパ・アメリカ優勝を最後に、26年も国際大会のタイトルから見放されている。とくに決勝戦での勝負弱さが目立っており、決勝まで駒を進めた近年の国際大会では7連敗中という悲惨な状況にある。

【アルゼンチン(A代表)の国際大会決勝連敗記録】
1995年=アルゼンチン0●2デンマーク(コンフェデ杯/サウジアラビア)
2004年=アルゼンチン2▲2〈PK2−4〉ブラジル(コパ・アメリカ/ペルー)
2005年=アルゼンチン1●4ブラジル(コンフェデ杯/ドイツ)
2007年=アルゼンチン0●3ブラジル(コパ・アメリカ/ベネズエラ)
2014年=アルゼンチン0●1ドイツ(W杯/ブラジル)
2015年=アルゼンチン0▲0〈PK1−4〉チリ(コパ・アメリカ/チリ)
2016年=アルゼンチン0▲0〈PK2−4〉チリ(コパ・アメリカ/アメリカ)
※▲はPK戦負け。( )内は大会名/開催国

◆日本にとって、南米の地は「鬼門」

 20年ぶり2度目の出場となる注目の日本。その躍進を多くのファンが期待しているだろうが、残念ながらデータ的には苦戦必至の状況だ。

 というのも、南米という地が日本にとっては”鬼門”だからだ。南米で開催された国際大会においては、A代表に限らず、世代別の代表も、日本は常にグループリーグで敗退している。

 A代表は、前回出場した1999年コパ・アメリカ(パラグアイ)で、ペルー、パラグアイ、ボリビア相手に1勝もできず、グループリーグ敗退(1分2敗)。ブラジルで開催された2013年のコンフェデ杯(3敗)、2014年のW杯(1分2敗)も、未勝利でグループリーグ敗退を喫している。

 こうした状況を踏まえると、日本にとっての今大会の目標は「まずは1勝」ということになりそうだ。

【日本の南米開催での国際大会の結果】
1995年U−17世界選手権(エクアドル)=グループリーグ敗退〈1勝1分1敗〉
1999年コパ・アメリカ(パラグアイ)=グループリーグ敗退〈1分2敗〉
2001年ワールドユース(アルゼンチン)=グループリーグ敗退〈1勝2敗〉
2013年コンフェデ杯(ブラジル)=グループリーグ敗退〈3敗〉
2014年W杯(ブラジル)=グループリーグ敗退〈1分2敗〉
2016年五輪(ブラジル)=グループリーグ敗退〈1勝1分1敗〉
※( )内は開催国

◆南米の地はアジア勢にとって「鬼門」

 南米の地が”鬼門”なのは、日本だけではない。アジア勢は、南米で行なわれたA代表の公式戦で勝利を収めたことが一度もないのだ。今回、日本とともに招待された2022年W杯開催国のカタールも、厳しい戦いを強いられそうだ。

【アジア勢の南米での公式戦未勝利記録】
1978年=イラン0●3オランダ(W杯/アルゼンチン)
1978年=イラン1△1スコットランド(W杯/アルゼンチン)
1978年=イラン1●4ペルー(W杯/アルゼンチン)
1999年=日本2●3ペルー(コパ・アメリカ/パラグアイ)
1999年=日本0●4パラグアイ(コパ・アメリカ/パラグアイ)
1999年=日本1△1ボリビア(コパ・アメリカ/パラグアイ)
2013年=日本0●3ブラジル(コンフェデ杯/ブラジル)
2013年=日本3●4イタリア(コンフェデ杯/ブラジル)
2013年=日本1●2メキシコ(コンフェデ杯/ブラジル)
2013年=ヨルダン0△0ウルグアイ(W杯予選/ウルグアイ)
2014年=オーストラリア1●3チリ(W杯/ブラジル)
2014年=日本1●2コートジボワール(W杯/ブラジル)
2014年=イラン0△0ナイジェリア(W杯/ブラジル)
2014年=韓国1△1ロシア(W杯/ブラジル)
2014年=オーストラリア2●3オランダ(W杯/ブラジル)
2014年=日本0△0ギリシャ(W杯/ブラジル)
2014年=イラン0●1アルゼンチン(W杯/ブラジル)
2014年=韓国2●4アルジェリア(W杯/ブラジル)
2014年=オーストラリア0●3スペイン(W杯/ブラジル)
2014年=日本1●4コロンビア(W杯/ブラジル)
2014年=イラン1●3ボスニア・ヘルツェゴビナ(W杯/ブラジル)
2014年=韓国0●1ベルギー(W杯/ブラジル)
※(  )内は大会名/開催国

◆大陸選手権で招待国は優勝できない

 実は、大陸選手権において招待国が栄冠を手にした例は皆無である。最高成績は準優勝で、メキシコがコパ・アメリカで2回、ブラジルが北中米カリブ海連盟主催のゴールドカップで2回、コロンビアが同大会で1回ある。ということは、今回招待された日本やカタールが優勝を果たせば、歴史的な快挙となる。