「MYDC Plus」提供の狙いと今後の展望について、お金のデザイン代表取締役社長CEOの中村仁氏(写真:右)と、損害保険ジャパン日本興亜のビジネスデザイン戦略部課長の高井裕美子氏(写真:中央)、同社投融資部業務グループグループリーダーの殿村勝徳氏(写真:左)に聞いた。

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 お金のデザインが提供するiDeCo(個人型確定拠出年金)「MYDC」は、損害保険ジャパン日本興亜とSOMPOクレジットと協働で、iDeCo加入者向けのローンサービス「MYDC Plus(マイディーシープラス)」の取扱いを開始した。新サービス提供の狙いと今後の展望について、お金のデザイン代表取締役社長CEOの中村仁氏(写真:右)と、損害保険ジャパン日本興亜のビジネスデザイン戦略部課長の高井裕美子氏(写真:中央)、同社投融資部業務グループグループリーダーの殿村勝徳氏(写真:左)に聞いた。
 
 ――iDeCoにローンを組み合わせるサービスを提供する狙いは?
 
中村 iDeCoは資産形成の最強の手段といえるのに、その普及がなかなか進まないことに疑問を持っていました。その課題に対して、何らかの機能を付加することによって課題解決ができないかと考えました。
 
 iDeCoは、掛金の所得控除があり、かつ、運用益非課税のメリットを複利運用によって積み重ねていく効果を考えると、できるだけ若いうちに始める方がメリットが大きいのです。しかし、それほど大きくは加入が進んでいないのは、何があっても60歳までは引き出せないため、「急な出費に使えない」という心理的な壁があるのではないのでしょうか。それによってiDeCoの加入を諦めるのはもったいないと思います。
 
 人生でまとまった資金が必要になることは、ライフイベントに関わることが中心です。若い方でしたら、結婚、出産(子育て・教育費用)など、いつ起こるか事前に計画しにくいことに関わる出費もあります。このような突然の出費があるかもしれないということで、iDeCoの加入に踏み切れないのであれば、そのためらいを解消したい。もし、まとまった出費が必要になる場合は、その資金にはローンで一時的に借り入れることができるという新サービスを用意しました。それが「MYDC Plus」です。
 
 アメリカでは、401k(確定拠出年金)の加入者を対象としたローンは一般的に提供されています。これは若い人、給与所得が高くない人たちの加入促進策として、また、資産運用は途中で止めずに継続することにメリットがあるからです。日本では、この点でのサービスが足りていなかったと思います。
 
 損保ジャパン日本興亜さんには、当社に出資していただくとともに、業務提携を結んで協業できることについて活発にディスカッションを続けています。もともと確定拠出年金の分野では、「MYDC」の記録関連運営管理機関を損保ジャパン日本興亜DC証券さんにお願いしていて、関係もありました。今回のローンの付与は、提携の第1弾です。これからもiDeCoの普及や発展に役立つようなサービスをともに考えていきたいと思っています。
 
高井 「人生100年時代」という社会的課題に、損保ジャパン日本興亜として何ができるかということは大きなテーマとして常に意識しているところですが、iDeCoは、資産を形成する、そして、資産の寿命を延ばすという点でカギになる制度の一つと考えていました。
 
 グループのミッションである「お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスを提供する」という視点から、お金のデザインさんとの協業を検討していますが、そうした中から「iDeCo加入者向けローンを提供することでiDeCo普及の後押しができるのではないか」というアイディアが出てきました。
 
 ――「MYDC Plus」の内容は?
 
中村 「MYDC」の加入者の方を対象として、特定の職域に勤めている方を対象としたローンを案内します(※)。iDeCoはローンの担保にできないので、無担保ローンになります。ローンの金利が2ケタになるような商品では、資産形成をサポートするというiDeCoの目的には相応しくないため、適正な金利のローン商品をセレクトしました。