007作品に登場する「影が薄い」クルマたち14選
アルファ・ロメオ159（慰めの報酬、2008年公開）
慰めの報酬は前作のカジノ・ロワイヤルが終わった時点から始まり、オープニングではDBSに乗ったボンドが2台のアルファ・ロメオ159に追われている様子を描く。ミスター・ホワイトの手下がH&K G36CやFNミニミなどの銃火器でボンドを狙いながら繰り広げられるシーンは圧巻だ。
1台の159は途中で対向車線のトラックに衝突。のちに騒ぎを聞きつけたカラビニエリ（イタリアの国家憲兵）のランドローバーが両車を追跡するが、もう1台の159から銃撃され、採石場の崖から落下。残った159もオープニングの終盤にボンドから攻撃され、崖から落下し大破する。
アストン マーティンDB5（ワールド・イズ・ノット・イナフ、1999年公開）
このクルマが007シリーズに最初に登場したのは1964年公開のゴールドフィンガーだ。それ以来、DB5は007が乗るクルマの象徴的存在として多数の007作品に登場してきた。
1970年代や1980年代の作品からは一時姿を消すも、1990年代に公開された3つの作品すべてには登場した。ワールド・イズ・ノット・イナフにも出演したにはしたのだが、カメオ出演程度の小さなもので、多くの人はその登場すら覚えていないだろう。
作品内での唯一の出演シーンはそのエンディング。Mとその部下がボンドの居場所を特定するためにサーマルカメラを使用するシーンでDB5のシルエットが映り込んでいる程度である。
もちろんDB5の走行シーンも撮影されたが、公開時にはカットされてしまい、お蔵入りとなった。
アウディ200クワトロ（リビング・デイライツ、1987年公開）
コスコフ将軍がオーストリアへ逃亡するシーンで数秒の間スクリーンに登場したこの200クワトロは、16インチのBBS RSホイールを装備したり、フェンダーが拡大されている特別モデルだ。
特別なカスタムが施されているにも関わらず、多くの観客はこの1台の存在を忘れているだろう。なんとも残念なことだ。
ベントレー・パークワード・ドロップヘッド・クーぺ（ロシアより愛をこめて、1963年公開）
原作者のイアン・フレミングは007の小説にて、ジェームズ・ボンドは4.5ℓエンジンを搭載した1933年型ベントレーのコンバーチブルに乗っているとしている。だがそのクルマはこれまで公開されたどの映画にも登場していない。
だが似ている1台は登場したことがある。このベントレーの3.5ℓクーペはロシアより愛をこめての冒頭数シーンに登場する。
BMW 518i（オクトパシー、1963年公開）
13番目に映画化された007作品であるオクトパシー。ロジャー・ムーア演じるジェームズ・ボンドが公衆電話で通話している女性のアルファロメオ・GTV6を盗み、市街地でスライドしたり警察のBMW 518iとアウトバーンでカーチェイスするシーンはクルマ好きなら惚れ惚れするシーンだろう。
この作品では上記のシーンで2台の518iが登場し、1台がスピンしてバック走行を繰り広げたのちにJターンで復帰するなど、カーアクション満載のシーンの役を担っている。カーチェイスは米空軍基地の中まで続き、GTV6が基地内に停めてあったキャンピングカーに衝突するところで終わる。イタリアンスポーツカーとジャーマンセダンが繰り広げる争いはいつの時代も良い画を作り上げる。
フォード・スコーピオ（トゥモロー・ネバー・ダイ、1997年公開）
トゥモロー・ネバー・ダイといえば、ボンドがエリクソン製の携帯電話で遠隔操作し最後は立体駐車場の屋上の壁を突き破って落下するBMW 750iLが有名だろう。スモーク発生装置やミサイル、追ってくるクルマをパンクさせるためのスパイクなどを装備した750iLに対してフォード・スコーピオが戦いを挑むのは少々無理があったように思われる。
スコーピオがスクリーンに登場したのもそう長くはなく、タイヤがパンクしたのちに750iLのミサイルによって木っ端微塵に破壊されている。
リンカーン・コンチネンタル（ゴールドフィンガー、1964年公開）
ゴールドフィンガーに登場するクルマにおいてはフォードがすべてを独占している。3台のリンカーン・コンチネンタル、カントリー・スクワイア、ランチェロ、そして忘れ難き白いサンダーバードなどがスクリーンを飾る。
このコンチネンタルは劇中でCIAエージェントのライターが乗るサンダーバードに追跡され、そのコンチネンタルの車内でミスター・ソロはオッドジョブに暗殺される。コンチネンタルはその後、金塊とミスター・ソロの死体を乗せたままスクラップヤードに運ばれ、車体ごとスクラップにされる。
マセラティ・ビトゥルボ（消されたライセンス、1989年公開）
2.5ℓV型6気筒エンジンを搭載するビトゥルボは麻薬王のフランツ・サンチェスのクルマとして劇中に登場する。
ビトゥルボはボンドが乗るトラックに対して銃撃するなどのカーチェイスを繰り広げるが、ボンドを見失ってしまう。もしもビトゥルボの相手がボンドのこれまで乗ってきたクルマだったら良い戦いになっただろう。
マーキュリー・クーガーXR-7（女王陛下の007、1969年公開）
実はこの赤いクーガーXR-7は作品内でボンドのアストン マーティンDBSよりも長い間登場している。ポルトガルのビーチで入水自殺を試みるトレーシーによって、そのビーチの場所まで運転された。
のちのシーンでも登場し、今度は雪積もる道路でスライドしながらクーガーXR-7でボンドの救助に向かうトレーシーが描かれている。
メルセデス・ベンツ450SEL（ユア・アイズ・オンリー、1981年公開）
ユア・アイズ・オンリーはロジャー・ムーアが出演する007シリーズの中でもかなり人気な作品だ。商業的に成功したが評論家に酷評されたムーンレイカーの続編として原点回帰を目指した点が評価された。この作品はブロンズ色のロータス・エスプリターボが登場するが、その後のシトロエン2CVの方が印象的である。
450SELは映画の大部分でロックの逃走用車両として活躍する。ボンドは自らの足でロックを追い、フロントガラス越しにロックを殺害する。その後、450SELは崖の一歩手前で停止し、ボンドの蹴りによって下に落とされる。
ルノー・フエゴ（美しき獲物たち、1985年公開）
作品内のパリのカーチェイスシーンで真っふたつに切られるルノー11は有名だが、実はもう1台のルノーが登場する。ルノー・フエゴのターボモデルがボンドの同僚、ティベット卿の殺害に関与した女性暗殺者によって運転されている。ティベット卿は洗車中の1962年型ロールスロイス・シルバー・クラウドIIの車内で殺害された。
実は劇中に登場するロールスロイスは本作のプロデューサー、アルバート・R・ブロッコリの所有物。だが流石に水没するシーンはレプリカが使用されている。
ロールスロイス・シルバーレイス（スペクター、2015年公開）
「48年のシルバー・レイスだ」とボンドがマドレーヌ・スワンにいう言葉に次いで砂埃を巻き上げながら向かって来るシーンが印象的だ。
電車を降りてすぐのボンドとスワンをブロフェルド所有のロールスロイスが砂漠を走り、ブロフェルドの施設へふたりを連れていく。
トライアンフ・スタッグ（ダイヤモンドは永遠に、1971年公開）
多くの視聴者は007作品内のボンドが多用するジョークや安っぽい誘い文句に身がすくむだろう。だが彼がドーバーの税関でトラインフ・スタッグに乗り込む姿は、マニーペニーとのいちゃつきを忘れさせてくれるだろう。
ダイアモンドの運び屋ピーター・フランクスになりすまし、ボンドはスタッグでオランダ行きのホバークラフトに乗船する。そのあとのアムステルダムの市街地をスタッグが駆け抜けるシーンは圧巻だ。
