なぜ、SIGMAには熱いファンがいるのか? ファン企画の撮り歩きに参加してみた
栃木県足利市にて、「写真家と一緒に撮り歩き 足利ブラブラ写真教室」が開催されました。東の小京都とも称される古い街なみが残る歴史ある街です。有名なところとしては日本最古の学校といわれる「足利学校」があるのもこちらです。Engadgetでもスマホカメラレビューをしていただいている三井公一さんが講師をつとめるということでお誘いいただき、参加してきました。

今回のフォトウォークは、足利在住のSIGMAユーザーが企画、SIGMAユーザーでもあるプロカメラマンの三井さんに講師を依頼したことで実現となりました。三井さんの取り計らいで、SIGMAからもデモ機やレンズなどの協力も得ることができました。「シグマで撮る黒川アートサンポ2017」にてSIGMAの「dp0 Quattro」を体験し、結果dp0 Quattroを購入した筆者ですが、今回は持参したdp0 Quattroに加えて、光学50mm(35mm換算75mm相当)の「dp3 Quattro」を借りることにしました。その他、「Nikon D850」に「SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary」を装着、「OLYMPUS OM-D E-M1 MKII」に「SIGMA 60mm F2.8 DN | Art」を装着した4機種でフォトウォークに臨みました。



今回は、普段は入れない古民家(私邸)の見学、撮影が行えるなど、フォトジェニックなロケーションの手配もあり、参加者のテンションも高まります。

錆びた格子や蔦の這った壁など「フォビオン物件」(SIGMAファンはSIGMAのFOVEONセンサーで撮りたくなる風景をこう呼びます)が多いのも古い街なみならでは。そういった被写体に巡り会うたびに「これはフォビオン物件ですね!」と口々に言い合いながらフォトウォークは進んで行きます。



基本的には、主催者が時間配分を確認しながら、撮影ポイントを案内。途中よい被写体があったら思い思いに撮影するという感じで進みますが、良い撮影ポイントだったり、ここぞというポイントでは三井さんがお手本を示したり、モデルにポーズを取ってもらうなどアドバイスやセッティングをしてくれました。



今回の参加者は近所の方だけでなく、都内など遠方からはるばるやってきた人もいました。フォトウォークの道すがらに、参加の動機やSIGMA製品を使うことについてお伺いしました。SIGMAのミラーレス一眼sd Quattroなどを使うヘビーユーザーの方々は、一様にFOVEONセンサーの写りの良さを挙げます。暗所に弱いとか、撮影技術を求められるなど、手軽にそれなりの写真が撮れるカメラではないものの、設定を追い込んで渾身の一枚が撮れた時の喜びは、他のカメラでは味わえないものだということです。

他のメーカーのエントリー機種で参加した方は、SIGMAの単焦点レンズなどを試してその写りに驚いていました。キットレンズだけで撮っていて、もっと背景のボケた写真を撮りたいと参加した人は、レンズのF値や被写体とカメラの位置関係など、背景をボカす撮り方のアドバイスをもらいながらレンズを交換して撮りたい写真を撮るというイメージをつかんだようです。

ニコンD850+SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporaryの作例

150-600mmという超望遠レンズは、街歩きにはやや大きくて重いのが難点でした。しかし、その長さを活かして屋根の上など高い場所をクローズアップして撮影したり、背景をぼかして撮影するなどの効果もえられました。

OLYMPUS OM-D E-M1 MKII+SIGMAA 60mm F2.8 DN | Artの作例

マイクロフォーサーズなので、35mm判換算120mmの中望遠として使えるレンズです。マイクロフォーサーズゆえ、120mmとしてはコンパクトなのでカメラバッグからサッと取り出して撮影する、別のカメラで撮影したあとで、抑え的に撮影するなどにも活躍しました。

SIGMA dp0 Quattroの作例

入手してからいろいろな撮影現場で使用してきたdp0 Quattroですが、ようやく馴染んできた感じです。光学14mm(35mm判換算21mm)という超広角レンズは、標準ズームを使用していてちょっと広角が欲しいというワンショットに最適な画角です。レンズを交換する時間も惜しい時にパッと取り出して使うなどで重宝しています。そんなdp0 Quattroは、足利の街でも活躍しました。道幅が狭い場所で広く取りたい場所において、引きジリが取れない場合においてもなんとか収めることができました。

SIGMA dp3 Quattroの作例

今回初めて使ったのがdp3 Quattroです。光学50mm f2.8のレンズは、35mm換算で75mmとポートレート向きなレンズです。マクロモードも搭載し、接写にも威力を発揮します。dp0 Quattroが解放F値F4なのに対して、f2.8と明るいレンズですので夕方になってdp0 Quattroだと厳しい明るさでもまだまだ撮影できました。f2.8を活かしたボケの表現もよかったです。惜しむらくは4台のカメラを携行しての撮影でしたので、dp3 Quattroでじっくり撮影することができなかった点でしょうか。もっとじっくりと撮ってみたいと思わせるカメラでした。



フォトウォーク自体は日が暮れたところで終了。そのあとの打ち上げではフォトスポットの感想や、撮れた写真の出来栄えなどについても熱い語らいが持たれました。このようなフォトウォークを個人の情熱で実現させてしまうのは、かつてのアップルや、今ならIoTなどのミートアップを行う人々にも通じるものを感じます。そんな熱量を一カメラメーカーとその製品が巻き起こしていることにあらためて驚きました。

モデル:マリノ