絶対的トップに君臨してきたゴーン容疑者の逮捕は関係見直しの議論に影響を与える

写真拡大

 日産自動車のカルロス・ゴーン代表取締役会長が、東京地検特捜部に逮捕された。ゴーン容疑者は仏ルノー、三菱自動車の会長も兼務し3社連合の絶対的トップに君臨してきた。そのカリスマの“蒸発”。ルノー株主の仏政府の対応や、3社連合の資本関係の見直し議論に影響を与えそうだ。ゴーン・ショックに揺れる日産・ルノー・三菱自の3社連合はどこに向かうのか。

[https://newswitch.jp/p/15329-2{※2018年11月24日追加「『1000万台クラブ』に異変」へ}]

 「ゴーン氏の天性とも言える多様性が成功の秘訣(ひけつ)の一つだ」―。日産に資本参加した99年、ルノー会長兼最高経営責任者(CEO)を務め、ゴーン容疑者を日産に送り込んだルイ・シュバイツァー氏(現ルノー名誉会長)。19日、日刊工業新聞の取材に応じ連合の歴史をこう振り返った。ゴーン容疑者逮捕が報じられたのは、この数時間後だった。

 日産とルノーの関係は自動車業界のグローバル提携の代表的な成功事例とされる。キーワードは「対等な関係」だ。ルノーは日産に43%出資し資本の論理では強い立場にあるが、両社が独立性を維持しシナジーを創出してきた。このウィン―ウィンの関係を実現できたのはゴーン容疑者個人の資質に依るところが大きい。

 ゴーン容疑者は現在、ルノー会長とCEOを兼務しているが、CEOの任期は22年まで。三菱自も加わり連合の運営は困難さを増しており、現体制のままでポスト・ゴーンに移行した場合、提携を維持できないリスクがある。そこで18年に入り、仏政府は“ゴーン後”の3社連合を「不可逆な関係」にするための新体制を求め、議論が活発化していた。

 こうした状況で起きたゴーン容疑者の逮捕。連合の関係見直しは日産、ルノーだけでなく、日仏政府の調整も必要な案件。にもかかわらず急転直下でポスト・ゴーンに陥った状況で、議論の行方は不透明さを増した。

 もともと仏政府は株主であるルノーの日産に対する影響力を高め、日産の経営に関与したい意向を持つ。一方、日産側は対等関係や独立性維持を堅持したい考えでスタンスが異なる。

 ゴーン容疑者逮捕は「日産にとってポジティブに働く」と中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ代表は指摘する。かつてゴーン容疑者は、日産に対して影響力を持とうとする仏政府の盾になっていたが、「最近は仏政府寄りのスタンスになり、日産を犠牲にすることにつながる言動が目立ってきた」(中西代表)と分析。そのゴーン容疑者がいなくなったことで、日産有利で関係見直し議論を進められる環境に近づいたという訳だ。