iPhone Xの売れすぎで新iPhoneは伸び悩む? というアナリスト分析が公開
iPhone Xが大成功を収めているとの理由から、今後のiPhone買い替え需要に「エアポケット」が生じ、アップル株が下落するとして「売り」を勧める海外アナリストの予測が報じられています。

当初は従来シリーズよりも高めの価格やノッチの存在により、売上不振が予想されていたiPhone X。今度は「売れすぎているから」マイナス材料だとする見方が飛び出していることなどから、今なお専門家にとっても読みきれない要因なのかもしれません。イギリスの調査会社New Street ResearchのアナリストPierre Ferragu氏は、iPhone Xに関して「これまで大成功を収めており、消費者にも歓迎されている。今後もいっそうのニーズがあるだろう」と高い評価を述べています。

なのに、なぜ「2019年には大きな失望が予想される」のかと言えば、iPhoneユーザーが早期にアップグレードしたことで「(買い替えの)エアポケット」が生じるから。「低価格のプレミアムOLEDモデルの発売でも不足分は十分に埋め合わせられない」とFerragu氏は分析しています。

つまり、iPhone Xはアップグレードサイクルを崩壊させるほど売れすぎているから、新iPhoneの売上は厳しくなると予想しているわけです。

実際、New Streetは2019年のiPhoneの収益がウォールストリートの予想よりも10%低くなると予想し、Ferragu氏もアップルの2019年および2020年の1株当たり利益は、アナリスト平均予想をそれぞれ9%および6%下回ると考えているとのこと。

さらにFerragu氏はアップルの目標株価を以前の170ドルから165ドルへと引き下げており、自信を持ってアップル株の「売り」を勧めているようです。ちなみに、多くのアナリストは今後のiPhoneおよびアップルの売上が記録的な成長をすると見込んでおり、Ferragu氏の予測は主流とは言えません。

発売から数ヶ月、様々なメディアやアナリストは「iPhone Xは高価な価格設定のために売上不振」との観測でほぼ一致していました。が、2018年度第2四半期の業績発表では、ティム・クックCEO自らが「今3月期は毎週、どのiPhoneよりもiPhone Xを選ばれるお客様のほうが多く」と述べて、真っ向から否定した格好となっています。

もっとも、アップル製品関連の予想で有名なアナリストMing-Chi Kuo氏でさえ、中国でのノッチ不人気を理由として「iPhone Xは2018年夏に生産を終了する」と予測したほど、iPhone Xは動向が読みにくい製品です。

iPhone Xが売上不振だと予測されても、売れすぎていると考えられても、アップルの業績下落見込みと結びついてしまうこともあるアナリストの分析。それほどiPhone Xが依然として謎多き存在とも、アナリストも人の子で個人的な感情が入ってしまう可能性があるとも言えそうです。