Internet Explorer・Microsoft Edge・Mozilla Firefox・Google Chromeなど、数多くのウェブブラウザには「about:」から始まる文字列を入力することで、設定画面やさまざまなステータスを閲覧できる機能が実装されています。この「about:」がどういう経緯でブラウザに導入されたのかを、かつてインターネット黎明期にウェブブラウザの開発に携わっていたルー・モントゥリ氏が自身のサイトで明らかにしています。

The short history of the "about:" URL - www

http://www.montulli.org/lou/about_urls

1990年代前半、モントゥリ氏はNetscape Navigatorのバージョン1.0の開発に携わっていました。Netscape Navigatorで扱えるURLのフォーマットには任意のプレフィックスを加えることができたため、モントゥリ氏はちょっとした出来心から「about」という新しいプレフィックスをこっそり設定し、「about:」から始まるURLでHTMLブロックを読み込めるようなフレームワークを作りました。

モントゥリ氏がNetscape Navigatorのバージョン1.0に仕込んだオリジナルの「about:」機能の一部は、Firefoxに受け継がれています。例えば、Firefoxのアドレスバーに「about:mozilla」と入力すると、以下のような画面が現れます。これは、マスコットキャラクターであるMozillaをご神体とする架空の宗教で使われる聖典の一節です。



もともと、Firefoxを開発するMozilla Foundationは、Netscape Communicationsから分かれる形でできた組織であり、MozillaはNetscape Communicationsから受け継いだマスコットキャラクターです。そうした経緯から、この「疑似宗教ジョーク」のイースターエッグがそのままFirefoxに引き継がれています。



by Fred​

また、Netscape Navigatorのバージョン1.0では、「about:」から始まるURLが開発スタッフ全員分に用意されていたそうです。例えば、モントゥリ氏のコマンド「about:montulli」は、入力すると履歴からランダムにページを表示するものだったそうです。ただし、モントゥリ氏は、当時の自分がその機能の何を面白いと思ったのか全くわからないと述べています。なお、「about:montulli」はFirefoxに引き継がれていないため、今は使うことができません。

空白ページで表示される「about:blank」は、それまではブラウザに空のページを表示させる方法がなく、ブラウザにURLをロードさせないような方法としてNetscape 2.0から追加されたコマンドです。以降も「about:config」「abaout:cache」「about:history」など、アドレスバーに入力することでブラウザの設定画面・メモリキャッシュ・履歴を表示できるようにするといった実用的な「about:」から始まるURLが実装されました。



「about:」機能はもともとは開発スタッフのちょっとしたいたずら心で追加されたものでしたが、今では「なくてはならない実用的な機能」となっていて、Firefoxだけではなく、Internet ExplorerやGoogle Chromeなど他のブラウザにも「about:」機能は搭載されています。