高速道路のSAといえば、ガソリンスタンドを備え、レストランや商業施設も充実したにぎやかな印象があるかもしれません。しかし、なかには自販機とトイレだけしかないSAも存在します。そもそも何をもって「SA」なのでしょうか。

自販機とトイレだけで「SA」と呼べるワケ

 高速道路の休憩施設にはSAとPAがありますが、PAには規模が小さく、駐車場のほかにはトイレと自販機だけで、ふだんは無人というところも少なくありません。一方でSAは、PAに比べて規模が大きく、ガソリンスタンドやレストランなどの施設もある、というイメージを持っている人もいるでしょう。


日本海東北道の豊栄SA。自販機とトイレだけの無人運用(画像:photolibrary)。

 ところが、SAでも自販機とトイレだけの無人運用というところが存在します。そのひとつが、新潟市にある日本海東北道の豊栄SA。上下線とも駐車場は大型33台、小型32台、障がい者用小型1台とそれなりの規模があり、さらにスマートICも併設されていますが、ガソリンスタンドや売店などはありません。同エリアを管轄するNEXCO東日本新潟支社に話を聞きました。

――豊栄SAは、当初から自販機とトイレしかないのでしょうか?

 はい、2002(平成14)年に開業した当初から無人運用です(編集部注:同年5月、日本海東北道の新潟空港IC〜聖籠新発田IC間開通と同時に開業)。

――なぜ「SA」としたのでしょうか?

 SAの設置間隔を鑑みてのことです。というのは、道路の状況によって異なるものの、PAは15km間隔、SAは50km間隔という一応の基準があります。豊栄をPAにすると、周辺のSAとの間隔が離れすぎてしまうのです。一方で日本海東北道は現状でもご利用がそれほど多くなく、商業施設などは採算面から設置が難しい側面があります。

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 豊栄SAから周辺道路の最寄りSAまでは、磐越道の阿賀野川SA(新潟県阿賀野町)まで35km以上、関越道の越後川口SA(同・長岡市)まで90km以上、北陸道の米山SA(同・柏崎市)まで100km以上の距離があります。NEXCO東日本新潟支社によると、日本海東北道の延伸も考慮して豊栄をSAにしたとのことですが、日本海東北道は現在も新潟・山形県境と山形・秋田県境区間が未開通で、全通の見込みは立っていないといいます。

ドッグラン併設、でも無人のSA

 北海道芽室町の道東道 十勝平原SAは、トイレと自販機のほか、上下線ともに犬を遊ばせられるドッグランを併設、日によっては屋台が立つこともあるものの、基本は豊栄SAと同じく無人運用のSAです。NEXCO東日本 北海道支社によると、こちらもやはり豊栄SAと同様、SAの設置間隔を考慮してSAとしたものだといいます。

「北海道の場合、50〜100km間隔でSAを設けるという一応の基準がありますが、それは建設当初の話です。『SA』とはなっていますが、施設規模は関係ありません」(NEXCO東日本北海道支社)


道東道 十勝平原SAからの夕景(画像:NEXCO東日本)。

 NEXCO東日本北海道支社によると、道東道には現在、3つのPAとひとつのSA(十勝平原SA)がありますが、比較的規模が大きいのは由仁PA(由仁町)とのこと。北海道全体で見ると、14か所のPA、5か所のSAのうち最も大きいのは、「新千歳空港と札幌圏のあいだにあってご利用が多い」という北広島市の道央道 輪厚(わっつ)PAだそうです。

 国土交通省はウェブサイトで、高速道路の休憩施設は提供するサービスの内容、休憩施設相互の位置関係によりSAとPAに区分しているとし、一般的にSAには「休憩所、駐車場、トイレに加え売店、食堂、給油所など」が、PAには「駐車場、トイレ、必要に応じ売店」が備わっているとしています。しかしながら、SAとPAの区別はますますあいまいになっているのかもしれません。

 ちなみに北海道の場合、ガソリンスタンドを有するSA/PAは道央道の有珠山SA(伊達市)、輪厚PA、砂川SA(砂川市)、道東道の由仁PA、この4か所のみです。NEXCO3社では、150km以上のガソリンスタンド空白区間をゼロにする取り組みを行っており、道東道では由仁PAから有料区間の東端である足寄IC(足寄町/本別町)にかけて160km以上ガソリンスタンドがないことから、途中の十勝清水IC(清水町)で給油のために流出しても通行料金が変わらないようにしています。

※⼀部誤字を修正しました(7⽉2⽇16時40分)

【地図】ガス欠注意! 100km以上のGS空白区間、全国に


2016年4月時点における100km以上のガソリンスタンド空白区間。対象ICで流出して高速道路外での給油を認める路外給油サービスも行われている(画像:NEXCO東日本)。