悪気があるのかないのか……。たしかに簡単に会えるなら会ってみたい。(時事通信フォト=写真)

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■「日本」を語ればすぐに打ち解ける

2018年3月12日、森友学園建設予定地への国有地売却をめぐって、財務省が決裁文書の書き換えがあったことを正式に認めた。削除されていた箇所には、森友学園の籠池泰典前理事長とのやりとりが書かれ、安倍昭恵総理夫人を含む複数の政治家の名前があった。野党からは昭恵夫人に事実関係を明らかにせよという批判の声があがっている。

昭恵夫人と言えば、日本全国津々浦々に1人で足を運び、有権者と交流を重ねていることが知られている。その様子は頻繁に更新される彼女のフェースブックを見ても明らかだ。

だが、籠池前理事長をはじめ、後に問題となる人物と簡単に知り合い、さらには彼らと協力的な関係を示してしまう彼女の行動はしばしばトラブルを巻き起こすリスク要因とも言える。

とはいえ、昭恵夫人とはそんなに簡単に会える存在なのだろうか。たとえば、一国の総理夫人と一緒に食事するとなると、それはかなりの信頼感がなければ実現しないのでは。

「昭恵さんとは何度か食事をしたことがあります。彼女は会ってみると本当にSNSやメディアのイメージのまま。天真爛漫でいつもニコニコしています。特に仲がよいのは女性の起業家や全国各地の伝統産業従事者や農家の方々。元気でポジティブ、日本を担う存在とは積極的に交流していますね」

これは、過去に昭恵夫人と食事をしたことがあるという20代女性の証言だ。彼女が昭恵夫人と知り合ったのは今から3年前。顔が広い、知人のとあるクリエーターの紹介がきっかけだった。

「私は大学生のころから、世代や立場の違う人が集まる場に足を運ぶのが好きでした。具体的には中央省庁主催の講演会や、起業家や政治家などが集まるイベントです。昭恵さんと知り合ったのはたまたま。彼女は食への関心が高く、日本の農家や漁業に携わっている方と国産食材を食べる会を頻繁に開いています。私も食に関心があったので、クリエーターが“きっと気が合うと思う”とつないでくれたのです」

■昭恵夫人は地方の農業体験のイベントが大好き

特に、昭恵夫人と一気に距離を縮めたかったら、中央よりも地方に目を向けるとよいのだとか。

「昭恵夫人は地方の有力者が集まる政府主催のワークショップや、農業体験のイベントによく参加しています。地方のイベントは参加者が少なく、数十人規模のケースも少なくありません。こうした場所では主催者やその地の有力者の方とすぐに仲良くなれます」

また、そうしたイベントでの自身の立場も重要になってくる。コミュニティで珍しがられる存在になれば、主催者との距離はかなり縮まりやすい。

「たとえば、高齢者が多いイベントにあえて20〜30代の若者が参加すると珍しがってくれ、距離を縮めてくれます。いつだって『若者の意見を聞きたい』という年配の人は多いですから。同様に昭恵夫人もおもしろがってくれます」

とはいえ、こうした場所で単に「はじめまして」と名刺交換しても、関係はその日だけで終わってしまう。いかに自分は日本に関心があり、日本のこれからのことを考えているかを語ることで「おもしろい人」になれる。

「たとえば、日本の伝統工芸や和食に興味関心があることを話したり、たとえ自分が1人の会社員でも、どんな社会になってほしいか、どれだけ国のことを思っているのか、そのために自分はどんなことをしたいのかを熱く語る。そうするとイベントの代表者や昭恵さんは興味深く聞いてくださいます」

最後に昭恵夫人と手っ取り早く仲良くなるコツを教えてもらった。

「とにかくいろいろな場所に顔を出し、イベントが終わったら代表の方への挨拶を忘れないこと。代表は、ほかの代表とつながっています。そこで素直に相手の話を聞き、勧められた本を読み、会うべしと言われた人のイベントに足を運ぶんです。その感想を伝える名目でつながりを維持できます」

SNSで自分自身を発信し、相手に自分がどんな人物か知らせることも重要だ。まるで「ビジネスに役立つ人脈構築術」のようなコラムになったが、これが昭恵夫人とメシを食べられる、とてもシンプルな方法なのだ。

(鈴木 俊之 写真=時事通信フォト)