案の定MWC 2018で大量発生した「ノッチフォン」は単なるモノマネでデザインに思想が感じられないのが残念
MWC 2018では今年も数多くの最新端末が発表されました。5G対応スマートフォンの市販モデルこそありませんでしたが、各メーカーとも意匠をこらした製品がたくさん......とはちょっと言いがたい状況になっています。どのメーカーも「ノッチに逃げすぎ」問題です。「EssentialPhone」に端を発し、「iPhone X」にも採用されたことで広く認知されたノッチ。スマートフォンのフロントにあるカメラやセンサーを活用しながら、ディスプレー占有面積を確保するための技術的手段ではありますが、これっていわば苦肉の策ですよね。できればないほうがいいわけで、もっと工夫しましょうよと思うわけです。

▲iPhone Xをまだ擁護できる点があるとすれば、ディスプレー下部もしっかり攻めて作っていること

しかもなんかちょっと「ノッチを採用するほうが最先端でカッコイイ」的な風潮にもなってます。いやそのデザインそもそもダサいですから。

その典型的とも言えるのがASUSの「ZenFone 5/5Z」です。iPhone Xタイプの台形型のノッチを採用していますが、発表会では「iPhone Xのノッチよりも26%も小さい!」って......五十歩百歩ということわざがここまでピッタリあてはまる用例をみたことがありません。


▲ぱっと見「そっくり」という感想が最初にでてしまう「ZenFone 5」


▲ノッチが26%も小さいことが製品のアピールポイントとのこと

それと「ZenFone 5/5Z」のディスプレー下部は上部ほど狭額縁化してないんですよね。上を攻めるなら下もキッチリ攻めて欲しいです。もちろん通知領域の見せ方など、ノッチを効果的に使った仕組みもありましたが、アプリや表示するコンテンツによっては無駄なスペースにしかなりませんので。


▲表示スペースを有効活用しようとする開発者の苦労は感じられます

これはWikoの「View2/View2 Pro」も同じです。View2/View2 ProはEssentialPhoneやAQUOS R compactのように、カメラ部分だけ円形にノッチがあるタイプ。台形タイプよりは目立ちませんが、やはり凹みが気になってしまうデザインです。


▲カメラ部分だけ最小限の切り欠きになっているView2 Pro

しかもView2/View2 ProもZenFone 5/5Zと同じで、画面下のベゼルはわりとスペースあるんですよ。こちらもノッチを採用して画面占有率を上げたいのなら、下部の処理にも力を入れて欲しい。素人目ですが下をギリギリに攻めれば、上はノッチにしなくてもカメラを配置できたのではと。どう考えても「始めにノッチありき」のデザイン設計にしか思えないんですよね。


▲ディスプレー下部に余裕があるので、ベゼルを狭くするならここをまずどうにかして欲しい

そのほかの中堅メーカーやODMメーカーもノッチを採用したモデルを展示していました。中には「次世代モデル!」ということで、ご大層にケースに入れて触れないように展示しているメーカーも。ノッチを採用したデザインって、そこまでして胸を張って展示するようなモデルですかね?


▲クロアチアのメーカーNOAの「N10」。ケース入りの展示でしたがよく見るとコーナーの丸みで時計表示が欠けている


▲中国メーカーの「Ulefone X」。これも下部のベゼルに相当スペースがある


▲こちらも中国メーカーHOTWAVの「Symbol X」。やはり角丸部分できっちり表示されていない


▲ODMメーカーのモックだが、画面の印刷はAndroidですらない

カメラレンズの出っ張りもそうですが、デザインは一度妥協してしまうと、あとはなぁなぁになってしまいがちです。流行っているからというだけでそのデザインを採用して、細部の詰めが甘いというのは「ダサい」としか言いようがありません。

この流れと逆を行くのがソニーモバイル。今回発表された「Xperia XZ2/XZ2 Compact」は18:9のアスペクト比にディスプレーを変更してきましたが、ほかのメーカーと比べるとナローベゼルではありません。前モデルよりは狭まっていますが、狭額縁とは到底言えないレベルです。


▲トレンドを追いかけない頑固さがXperia XZ2から感じられる

ソニーモバイルにそのあたりを確認したところ、アンテナ特性などを考えるとこれくらいのベゼル幅が必要とのこと。通信機器としての性能を犠牲にするくらいなら、今ふうではないベゼル幅のあるデザインを採用する。見た目のデザインは「ダサい」かもしれませんが、一本芯の通った開発姿勢はカッコイイです。

もちろんほかのメーカーが取り入れている最新技術をいち早く採用していくことは重要です。ただし単なるモノマネではなく、各メーカーとも自分たちがどんなスマートフォンを作りたいのか、それが端末をみただけでもわかるような製品を作り出して欲しいなと思います。