あなたは“凶暴なジャイアントパンダ”を想像できるか?

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動物園の人気者といえば、ジャイアントパンダ。上野動物園にいるシャンシャンは誕生前から注目の的で、一般公開が始まった後も人気はさらに過熱するばかりだ。

のんびりと笹を食べているイメージが強いジャイアントパンダだが、実はその外見からは想像できない狂暴な一面も秘めているという。

『人を喰う生き物』(斎藤沙千恵著、パンク町田監修、ビジネス社刊)は、タイトルの通り人を食べる動物にまつわるエピソードばかりを集めた本だ。ライオンや虎などの猛獣や、サメ、ワニなどは勿論、なんと豚やチンパンジー、ロバなども人を食べる事があるというから驚きだ。

また、本書に掲載されている事からも分るように、パンダも人を襲う。2013年2月には、四川省で野生のパンダが家畜の子羊を喰い殺し、逃げる際にも獲物を離さずに持ち去る姿が激写されたそうだ。

日本ではあまり知られていないが、中国ではわりと頻繁に動物園の飼育員や来園者がパンダに襲われて、ケガを負う事件が起きているそうだ。

北京の動物園では酔っ払いの男性がパンダ舎に侵入した事件があった。抱きしめようとしたところ、驚いたパンダのグーグーが、とっさに男性の右ふくらはぎにかみついた。すると、それに逆ギレした男性は負けじとグーグーの背中にかみついて反撃、乱闘騒ぎになってしまった。

事件後、男性は「まさかパンダがかみついてくるとは思わなかった。皮膚は意外と硬かった」と話したが、男の軽率な行動に避難が殺到する事態になったそうだ。

その他の野生のパンダが人を襲った事例も含めて、ほとんどの場合人間側の軽率な行動に問題があるという。著者の斎藤さんは本のなかで、「中国ではパンダのことを『大熊猫』と呼んでいるが、その名のとおり“熊”であることを、私たち人間は忘れてはならない」と述べた。

動物が人を食べてしまうエピソードはグロテスクで恐ろしい。しかし、人間は動物の餌になりうるということをよく知っておくことで、不用意な行動を避けることもできる。人類への警告とも呼べる一冊だ。

(新刊JP編集部/ハチマル)

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