テッド・ネルソン氏はハイパーテキストの生みの親として知られています。現在の「インターネット」として利用されるハイパーテキストを扱うシステムとしてWorld Wide Web(ウェブ)が主流ですが、その構想はテッド・ネルソン氏の「ザナドゥ計画」がベースになっており、ウェブの歴史を語る上で外すことのできない重要な人物です。IEEEが公開している以下のムービーでは、テッド・ネルソン氏がパーソナルコンピューティングの歴史を語っています。

Ted Nelson on What Modern Programmers Can Learn From the Past - IEEE Spectrum



◆これまでのパーソナルコンピューティングの歴史

「コンピューターの歴史を見てみると、この50年でとてつもない進歩をしています」



「若い世代の人たちは聞いたことないかもしれませんが、1960年代〜1970年代、当時の若者たちは『コミューン』と呼ばれるヒッピー共同体を作りました。そして、彼らは自由恋愛主義、LSDを使った精神解放に理想主義、さらに新しい経済を望んでいました。この精神が当時のコンピューター界にも影響したのです」



「以前のコンピューターは高価で、『コンピューティング』は複数人で行うのが一般的でしたが、ムーアの法則で、コンピューターの価格がとてつもないスピードで安価になり、個人でも購入できるレベルになりました」これにより、個人によるコンピューティング、つまり「パーソナルコンピューティング」が生まれるというわけです。



「私は、いずれ一人のプログラマーが後のリーダーになると考えていました。なぜならば、個人が作成するソフトウェアの表現が自由だったので、芸術分野など何かしらの分野で、飛躍的な成長を遂げる可能性があると考えていたからです」



「そして私は、未来の文書の在り方を考え始め、抽象化することにしました。これが『ザナドゥ計画』の誕生です」



「『ザナドゥ』では複数の文章を相互に接続することができ、例えば、原文に対して、その引用元となる文章が目に見える形で表示されます」



「しかし、当時はそこまで開発できておらず、1960年代〜1970年代のハイパーテキストシステムでは、リンクによる参照が普及しました。その後、ティム・バーナーズ=リー氏とCERNの力でWorld Wide Web(ウェブ)が誕生します」



◆若いプログラマーたちへのアドバイス

「身の回りにはとても多くの物であふれていると思います。その中から1つの可能性を見つけ出すことは、とてつもなく難しく、今の私でもわかりません。そして、未来は誰にもわからないですし、1つの選択が命取りになるかもしれません」



「これは私が最初のソフトウェアを作るときに行っていたことです。まず、目を閉じ、このキーを押したら何が動いて、別のキーを押したら、こんな動きをするということを考えていました」



「つまり想像することが大事なのです」