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●d払いとは?

NTTドコモがスマートフォンを使った新しい決済サービス「d払い」を4月から開始すると発表した。同サービスは、QRコードなどの2次元バーコードを利用して店頭で支払いを行うというもので、携帯電話料金と合算する「ドコモケータイ払い」を利用して支払いできる点が特徴だ。

ドコモでは、現金決済が多い日本市場でキャッシュレス決済の進展に向けてサービス拡大に取り組む考え。

今回発表したd払いは、レジで金額を入力し、スマートフォンでバーコードを表示して読み取るだけで支払いが完了するキャッシュレス決済方法。支払いはドコモケータイ払いを通じて行われ、ドコモユーザーであれば特別な設定をしなくてもすぐに利用できる点が特徴だ。ドコモユーザー以外でも、dアカウントとクレジットカードがあれば利用可能だという。

バーコードを使った決済手段は、日本ではLINE Payや楽天ペイといったサービスがあり、海外では特に中国のWeChat PayやAlipayが著名だ。基本的な仕組みとしてはこれらと変わらない。

対応店舗については、ローソンが全国13000店舗以上が夏以降に一斉対応。マツモトキヨシや郄島屋、タワーレコード、ユナイテッドアローズなどでも利用できるようになる予定。サービス開始当初は10社1万9,000店舗、早期に10万店規模での対応を目指すという。

●d払いアプリで何が変わる?

なおd払いは、大手流通各社での対応を進めるほか、個人商店のような小規模店舗で利用可能にする方針だという。そのために、リクルートのPOSレジアプリAirレジがd払いをサポートし、タブレットやスマートフォンでスマホに表示されたQRコードを読み込んで支払いができるようになるとのこと。

d払いアプリはiOSとAndroidに対応。アプリ内でdポイントカードを表示することも可能で、支払い200円につき1ポイントが付与される。また、インターネット上での決済で利用できる「dケータイ払いプラス」は名称を変更してd払いに統一。100円につき1ポイントのポイントが付与される。

ドコモの決済サービスは、1999年2月に開始したiモードでの情報料回収代行サービスを端緒として、2005年7月にはドコモケータイ払いを開始。12月にはおサイフケータイによる非接触決済サービスとしてiDを提供。クレジットカードのdカードも提供しており、取扱高は2016年度で2.6兆円に達している。しかし、日本ではクレジットカードに代表されるキャッシュレス決済が遅れており、海外に比べて半分以下。ローソンでは「80%が現金払い」(ローソン執行役員マーケティング本部長野辺一也氏)とほとんどが現金払いだ。

政府も2020年に向けてキャッシュレス決済の拡大を目指しているが、なかなか状況は好転していない。例えばローソンでは、混雑時のレジ行列を見て購入しない客がいる一方、「現金と非現金ではレジ処理のスピードが明らかに違う」(野辺氏)。さらに少額決済中心のローソンでは、レジには小銭が貯まり、それを紙幣に替えて売上を入金する作業が必要で、小銭の過不足確認も大きな手間になっているという。もちろん、24時間営業ならではの防犯対策という面でも現金は少ない方がメリットがある。

●今後の展開は?

そうしたコストがあるため、ローソンでは積極的にキャッシュレス決済への対応を進めており、決済手数料やシステム改修コストなどはあるが、それでもd払いへの対応によるメリットの方が大きいと判断。さらに、これまで現金払いでポイントカードも提示しなかった顧客が利用することで、購買行動のデータが取得できるようになる点も含めて、膨大な顧客基盤を抱えるドコモのd払いに期待を寄せる。

なお、決済手数料は非公開だが、最近のスマートフォンやタブレット向けのPOSサービスの手数料を参考に、競争力のある手数料を設定するという。

利用限度額はドコモケータイ払いの上限である1万円〜10万円で、未成年も1万円までは利用できる。

ドコモとしても、クレジットカードを普段利用している顧客に対してはdカードやiDを利用してもらう一方、クレジットカードを所有しない、クレジットカードを使いたくないといったユーザーに対してはd払いを利用してもらうことを狙う。

店舗側にとっては、クレジットカードや非接触決済へ対応するための大がかりなPOSの導入をしなくても、Airレジによってキャッシュレス決済に対応できるため、導入コストが低い。ドコモはこうしたメリットを訴求することでキャッシュレス決済の拡大に繋げたい考えで、決済手数料による収益の拡大を目指す。

今後、店舗がバーコードを店頭に張って、それをスマートフォン側で読み取って支払いをする方式にも対応を進めていくほか、購買履歴のマーケティングデータ活用に関しても検討する。ただし、購買履歴の活用に関しては現時点であくまで検討段階だという。