株価3万円、期待膨らむ!

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日本株は、もはや「バブル」なのか――。2017年12月1日の東京株式市場は、日経平均株価が一時、1989年につけた史上最高値(3万8915円)からバブル崩壊後の最安値(2009年の7054円)までの下げ幅の「半値戻し」となる2万2985円を再び上回り、2万2994円31銭の高値をつけた。

 

前日の米ニューヨークの株高を反映したもので、終値も前日比94円07銭高の2万2819円09銭で引けた。4月17日に付けた年初来安値が1万8224円68銭。じつに4594円41銭もの高騰で、ささやかれはじめた「株価3万円」説が現実を帯びてきた。

強い米国経済、トランプ減税がドル高後押し

株式市場で、いったい何が起きているのか――。現在、日本株を買っているのは海外投資家が主力とされる。海外投資家は、9月の衆院選での与党大勝による安倍政権の安定化を高く評価。今後もアベノミクスが継続されることへの期待を強めている。加えて、国内企業の17年4〜9月期の決算発表が本格化し、好業績が相次いだ。株価急騰はその現れといえそうだ。

年初来高値(2万3382円15銭)を付けた2017年11月9日に東京証券取引所が発表した11月第1週(10月30日〜11月2日)の投資部門別株式売買動向(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興企業向け市場の合計)によると、海外投資家は6週連続で買い越し。その間の買越額の累計は2兆4871億円にものぼった。

株価(9月29日〜11月2日の終値)でみると、2182円84銭(10.7%)もの上昇だった。

一方でこの間、個人投資家は利益確定売りを続け、売り越していたから、それなりの利益を手にしたはずだ。

北朝鮮情勢などの地政学リスクへの警戒がくすぶるものの、「株価上昇の」大きな流れは続いている。そのけん引役は、米国経済の成長力であり、ドルの強さだ。日本株にとって「円安・ドル高」は企業業績を後押しする。

現行の米国経済は、雇用情勢が良好な状態を続けており、それが今後の賃上げや消費の増加、インフレへと結びつく。12月以降の追加利上げへの期待感も、ドル買いの材料にもなる。

さらには、年末までには米税制改革法案の行方もはっきりしそう。トランプ大統領が掲げる景気刺激策の効果が見えてくれば、強烈なドル買い材料につながり、米国株のいっそうの上昇余地も見込めそう。その勢いに乗れれば、日本株の上昇期待も高まるばかりだ。

「株価3万円」2019年3月末までに到達

そうした中で、「株価3万円」説もまた「沸騰」。株価3万円というと、あのバブル期を彷彿とさせる。2017年12月1日の日経平均株価の水準(2万2819円09銭)は、約26年ぶりの高値だが、その水準と3万円との間にはまだまだ大きな開きがある。

しかし、それでもインターネット証券大手のマネックス証券は、「2019年3月末までに、株価は3万円に到達する」と、予想している。

松本大社長は、アベノミクスの金融緩和が継続することを大前提に、こう説明する。

「これまで、株価上昇は『金持ち優遇』という批判がありましたが、近年はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオが日本国債の比率を小さくして、日本株の保有比率を増やしており、日本株の上昇は日本国民全体にプラスになるというコンセンサスができやすくなっています。株価上昇への米国と日本の一番大きな違いは、この社会的なコンセンサスにあり、それが米国化していくことで政府も株価上昇のための政策を打ちやすくなります」

さらに、1987年のブラックマンデー後からの約30年間、米国ではニューヨークダウ平均株価と上場企業の時価総額がともに約12倍になったのに対して、日本では時価総額が約2倍になったものの、日経平均株価はほぼ変わららない水準にとどまっている。松本社長は「日経平均は銘柄入れ替えが少なくて経済の成長をよく表していません。ただ、最近は銘柄が強制的に外されるようになったことで、インデックスとしても上がりやすい状況です」と分析する。

アベノミクスの継続と株価上昇に対する日本国民のコンセンサスの変化、日経平均株価の新陳代謝の3つが、「日本の株式市場に質的な変化をもたらしています」と松本社長は指摘。その結果、2019年3月末までに「株価3万円」に到達する、とみている。

改元が2019年5月1日でほぼ確定したことで、早くも同年のゴールデンウイークが超大型連休になると騒がれているおり、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は、2017年12月2日付の産経新聞に、「GWの経済効果は通常2000億円程度とされます。10連休が実現すれば大きく上回るのは間違いありません」とのコメントを寄せている。

19年10月に予定されている消費税率の10%引き上げが景気の腰折れ、それが株価の上値を押さえる要因になると危惧されるが、2020年には東京五輪・パラリンピックを控えており、そんな不安を吹き飛ばしてくれるかもしれない。