ネクストジェネレーション・ATPファイナルズの出場権争いも最後の戦いへ

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ATPワールドツアーで活躍する若手選手で行うツアー・ファイナル「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」の出場権を巡る、ミラノで行われる大会へ向けたレースが終盤戦を迎えている。現在のところ、残っているのは4つの出場枠だ。

ATPワールドツアーの若きスターたちはこの「ATPレース・トゥ・ミラノ」の最終週に開催される「スイス・インドア」とウィーンの「エルステ・バンク・オープン」で最後の力を振り絞って出場権を奪い合う予定で、レースはさらに熱を帯びていきそうだ。

その点で、「スイス・インドア」は「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」の出場権をまだ手にしていない選手にとっては、苛烈な大会になること必至だ。特に、上位7選手が出場権を獲得でき、8枠目はイタリアで開催される21歳以下のトーナメントの勝者に与えられることから、限られた出場枠を争う競争も激化しないはずはない。

ただ、その中で、フランシス・ティアフォー(アメリカ)が最も苦しい戦いを強いられると見られている。現在の「レース・トゥ・ミラノ」順位は9位で、7位のダニール・メドべデフ(ロシア)を110ポイント差で追いかけてバーゼルに入る見通しで、スイスでの結果いかんで「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」への参戦が決まる。

しかし、ティアフォーがスイスで対戦する予定なのは、いわずと知れたロジャー・フェデラー(スイス)だ。「上海ロレックス・マスターズ」でタイトルを獲得して勢いに乗る、トップシードで、フェデラーの出身国の会場も、ティアフォーには逆風となるかもしれない。

実績面でも、ティアフォーは苦しく、「全米オープン」ではフルセット、「マイアミ・オープン」ではストレートで、フェデラーに敗れている。前評判を覆す結果を残さなければ、レース・トゥ・ミラノでいい結果を手にできそうもない。

さらに、ライバルも黙ってはいない。ティアフォーと準々決勝で対戦するかもしれない、デニス・シャポバロフ(スイス)も、「レース・トゥ・ミラノ」を争っている一人だ。ただ、シャポバロフは現在926ポイントの4位で、次の出場権獲得候補の筆頭につけている。「アンタルヤ・オープン」の覇者である杉田祐一(日本)に勝てば、シャポバロフの出場権獲得は確実となる。

890ポイントで5位につけているジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)が次の出場権獲得候補で、1回戦では予選勝者と対戦する予定。4ポイントの僅差で現在6位のボルナ・チョリッチ(クロアチア)は、25歳の地元スイス選手、ヘンリー・ラクソネン(スイス)と対決する。両選手ともに、準々決勝まで勝ち上がれば、出場権獲得の可能性をまだ残している。

またチョン・ヒョン(韓国)も「スイス・インドア」で好成績を残して、「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」の出場権を獲得したい意向だ。先週、7位から8位に順位を下げたチョンは、メドベージェフにつけられた12ポイント差を覆すために必死に戦うだろう。第1回戦の相手は、ATPワールドツアーのベテラン選手、パオロ・ロレンツィ(イタリア)である。

「クレムリンカップ」で準々決勝に進出し「レース・トゥ・ミラノ」の7位に躍り出たメドベージェフは、上位9選手中、今週のワールドツアーに出場しない唯一の選手で、フランスのブレストで行われるATPチャレンジャー・ツアー大会の「ブレスト・チャレンジャー」に参戦する。1回戦の対戦相手は、マッテオ・ドナティー(イタリア)である。

「ヨーロピアン・オープン」での準決勝進出が功を奏し、10位まで順位を上げたステファノス・チチパス(ギリシャ)も、「ブレスト・チャレンジャー」に参加する予定だが、たとえ優勝しても順位は10位のままなので、出場権獲得候補から脱落した形だ。

出場権獲得の可能性がある最後の選手は、現在17位のセバスティアン・オフナー(オーストリア)で、「エルステ・バンク・オープン」の1回戦では、リュカ・プイユ(フランス)と対戦する予定だ。

すでに出場権を獲得しているのは、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、アンドレイ・ルブレフ(ロシア)、カレン・ハチャノフ(ロシア)の3選手。ここにどんな若手選手が加わってくるのか、まだまだ注目だ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は3月に開催されたBNPパリバオープンでインタビューを受けるNEXT GEN Stars
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)