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text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

もくじ

ー TVR 敵のレベルアップにどう挑む?
ー かつてのTVRと現在の「ギャップ」

TVR 敵のレベルアップにどう挑む?

TVRが新しいクーペを発表したが、それは復活に十分なモデルとなるだろうか?

TVRの新モデル、グリフィスは、高性能だが信頼性に欠ける諸刃の剣のようなV8エンジンを外部調達しチューニングしていた、グリフィスやキミーラの時代に戻ったかのようだ。

当時はアル・メリング氏が設計した6気筒と8気筒のエンジンに、しばらくして置き換えられたのだが…。

現状の経営規模と方向性を考えた場合、現実的な戦略だったのだろうが、今後10年間は厳しい状況に置かれることは間違いなさそうだ。

TVRは日常利用も可能なスポーツカーという、収益性も高いニッチマーケットを生み出し、成功させた。

それを上手く引き継いだのはポルシェ・ボクスターだとよく言われる。そして今TVRが目指しているところは、仕上げ品質やユーザビリティでより高い水準を求められる、ポルシェ911だ。

かつてのTVRと現在の「ギャップ」

そして基本に立ち返ったダイナミクス性能、際立つパワー・ウエイト・レシオを持った純粋な走りのためのモデル像も、TVRは模索している。

フロント・エンジン/リアドライブにマニュアル・トランスミッションを組み合わせ、切り替えが可能なトラクションコントロールやスタビリティコントロールを装備することで、第一線の性能を持つと自負する。

しかしTVRの新モデルが持つ課題は、シートに背中を押し付けられるような当時としては強烈な加速性能を持っていた旧モデルと、大きな違いを見いだせない点にある。

今のポルシェ911カレラ4Sは、0-100km/h加速をわずか3.5秒でこなし、日産GT-Rに至ってはより俊足だ。

四輪駆動やローンチコントロールなどが備わらなければ、TVRが肩を並べるのは難しいだろう。

かつてのTVRのように、巨人を打ち負かすことができる優れたモデルを生み出してほしいと思うが、それを期待するのは現実的ではなさそうだ。