引退後には、指導者としての道をプランに入れているというシャビ。いずれは監督として古巣バルサの手助けをするのかもしれない。 (C) Getty Images

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 現地時間9月1日、欧州主要リーグで最後にスペインの移籍市場が閉幕した。フィリッペ・コウチーニョやアンヘル・ディ・マリアの駆け込み補強が噂されたバルセロナは結局、獲得できずにその時を迎えた。同日、スペイン紙『マルカ』のインタビューで、同クラブのレジェンドであるシャビ・エルナンデスが古巣に苦言を呈している。

 ネイマールを史上最高額の2億2200万ユーロ(約284億円)でパリSGに引き抜かれたバルサは、リバプールのコウチーニョやパリSGのディ・マリアの引き抜きに動いたが、リバプールの頑なな姿勢を崩すことはできず、ネイマールを引き抜かれたパリSGからアルゼンチン代表MFを獲得することも叶わなかった。
 
 結局、今夏の補強はDFネウソン・セメド(←ベンフィカ)、FWジェラール・デウロフェウ(←エバートン)、MFパウリ―ニョ(←広州恒大)、FWウスマンヌ・デンベレ(←ドルトムント)の4人で打ち止めとなった。

 シャビはマルカ紙のインタビューで、「良いサッカーをしているけど、もっとうまく補強できたはずだ。彼らは眠ってしまっていた。5、6年にわたり、バルサの戦術に世界で最もフィットするベストプレーヤーたちがいたからだ」と、古巣の夏のマーケットでの動向に不満を伺わせている。
 
「だが今、そのシステムに合う選手は(アンドレス・)イニエスタ、(ジョルディ・)アルバ、(リオネル・)メッシ、(ジェラール・)ピケ、ルイス・スアレス、(セルヒオ・)ブスケッツと、5、6選手だけだ。しかし、バルセロナにはシステムに合った11人が必要なんだよ。彼らはシステムにフィットしない選手たちを獲得してしまった」
 
 また、シャビは、「疑いがあるときは、家の中を見るものだ。バルサの全盛期には、少なくともカンテラーノの60%を育て上げていた」とコメント。下部組織の選手たちにも忍耐が必要としつつ、クラブがアカデミーの強化を図るべきと訴えている。
 
 過去4年でチャンピオンズ・リーグ(CL)を3度制したレアル・マドリーとの差は広がっているとの見方も少なくない。だが、シャビは、「サッカーが素晴らしいのは、どうなるか決して分からないからだ」と強調している。
 
「(ジョゼップ・)グアルディオラ監督の時代に僕はピッチで自分たちが上回っていると感じていたけど、4シーズンのCLで優勝したのは2回だけだった」
 
 さらに、シャビは宿敵が勢いに乗る一方で、「バルサが新時代の幕開けを迎えつつある」としながらも、「だからといってリーガ・エスパニョーラで優勝できないというわけじゃない。3冠を達成したシーズンも、1月の時点では誰もがルイス・エンリケの解任を望んでいたじゃないか」と続けた。
 
 では、当面のバルサに必要なものはなにか。シャビはこの質問に「忍耐」と、はっきりと答えている。
 
「僕らが3冠を果たしたシーズン、R・マドリーは何連勝したかな。1月の時点ではまるで無敵みたいだったが、最後に3つのタイトルを獲得したのは僕らだったんだ」
 
 クラブが選手たちをケアしなければいけない。彼らがハッピーでなければいけない。(ジョアン・)ラポルタ会長の時代みたいにね。もっと良い補強が必要だ。バルサは全てのスターたちが勝利のために団結しないといけない」
 
 偉大なる元司令塔の声は届かず、移籍市場最終日にスターを補強できなかったバルサは、「忍耐」をもって宿敵からタイトルを奪還できるだろうか。