済州の狙い通りと言えるカウンターから2失点。ホームでの第2戦は2点以上がベスト8進出には必要に。写真:徳原隆元

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[ACLラウンド16] 済州ユナイテッド 2-0 浦和レッズ
2017年5月24日/済州総合競技場
 
 浦和にとってアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で9年ぶりとなるベスト8進出に向けて、アウェーで迎えた済州との第1戦。柏木陽介は2トップ・2シャドー(インサイドハーフ)の2列目で先発し、普段よりも前目で相手の起点を潰しながら、前線に厚みを持たせて試合を進めようとした。しかし、その後方にできたスペースをことごとくカウンターで攻略され、0-2の敗戦を喫してしまった。
 
「相手の狙い通りにまず失点してしまい、監督から『(ボランチに)下がって』と指示があった。ただ、相手はカウンターを狙っているわけだから、そこまで下がってしまっても意味はなく、下がったり、上がったり、工夫してやっていて……でもカウンターを食らう場面が結構多かった」
 
 後半、浦和は攻勢を強めた。「向こうも疲れたなかで引いて、行けると思った。危ない部分もあったけど、良いところを出せた」と、柏木から興梠につなぐ縦パスなどからビッグチャンスを作り出した。しかし……相手GKのビッグセーブに阻まれ、ゴールを割ることはできなかった。
 
 そして試合終了間際、痛恨の2失点目――。しかも、またもカウンターから喫してしまった。
 
「相手もカウンターを狙っていたなか、監督からも『行け』という指示があった。カウンターを狙っているチームに対して円(前線、サイド、最終ラインに人が集中)で攻めべきではなかったのかもしれない」
 
 戦術面での駆け引きでも、相手に上回られてしまったと言えた。31日はホームの埼玉スタジアムで、済州との第2戦を迎える。2-0で延長戦に持ち込むか、さらに3-0で逆転に持ち込むのがひとつの理想的なスコアになる。相手に1点奪われれば、浦和は3点以上が必要になり、より厳しくなる。
 
「まず2-0が条件。ゼロで抑えられるチームになっていかないといけない。最近、意味のない失点が増えている。そこが強いチームになれない理由。昨季は失点が少なかった(総失点28でリーグ最少だった)。そうやって強くなっていけた。今は点を取れているけど、失点している。そこはチームとして、考えてやらないといけない」
 
 今季は敵陣で試合を進める時間を増やそうと、より前掛かりになる好戦的なスタイルを追求している。仙台戦の7-0、新潟戦の6-1、そしてACLのシドニー戦の6-1のように、ハマれば大爆発する。
 しかし、今季は無失点がまだ4試合(ACL、Jリーグで2試合ずつ)しかない。最近は8試合連続失点中だ。
 
「(済州は)カウンターの質は高いが、逆に言えば武器はそれだけ。だから上手い形でボールを動かせば、3点を奪える自信はある。そのカウンターから失点を食らわないことも大事になる。気を付けながらバランス良く、セカンドボールを奪いにうける準備もしないといけない。次の試合まで1週間あるので、修正して臨める」
 
 柏木はそのように語った。済州のような鋭いカウンターを武器とするチームは確かに最近は少ない。とはいえ浦和が攻撃的スタンスを貫くにしても、なにかしらの守備の修正は必要だ。その問題点が、済州戦の2失点によって、より鮮明になったと言える。

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取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)