マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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イエリッチ「彼なら当然」、捕ったファン興奮、イチローは“再凱旋”希望

 マーリンズイチロー外野手は19日(日本時間20日)、かつての本拠地セーフコ・フィールドで行われたマリナーズ戦の9回、最終打席に今季1号本塁打を放った。マーリンズの一員として初の凱旋シリーズを美しいアーチで締めくくるという、なんともドラマチックな演出を見せた43歳だが、チームメートは「彼なら当然」と称賛している。MLB公式サイトが報じた。

 3連戦の3戦目。6点を追う9回の第4打席、イチローは先頭打者として大きな拍手の中で迎えられ、「イチローコール」も起こる中で右腕・マーシャルの初球を強振すると、打球は右中間席に飛び込んだ。この時ばかりは敵地も大歓声に包まれ、再び大きな「イチローコール」が沸き起こった。

 マリナーズ時代、輝かしいプレーを見せてきた古巣でアーチを描いたイチローについて、MLB公式サイトは「イチローはいつもセーフコ・フィールドの観客を興奮させてきた。それは、もしかするとMLBでのキャリアで最後となるかもしれない今回の凱旋でも変わらなかった」と記述。「これは忘れられない特別な一打になりますね」という本人のコメントを紹介したが、チームメートは「イチローならば当然」と受け止めていたようだ。

 イエリッチは「彼が打った時はベンチに座っていたんだけど、『彼なら当然』という感じだったね。他に何を期待すればいいんだ?」と話したといい、数々の記録を打ち立ててきた日本のレジェンドに敬意を示している。

 記事ではイチローがベースを一周する際に、敵軍のロビンソン・カノとカイル・シーガーがアイコンタクトを送り、観客もスタンディングオベーションとなり、イチローがダグアウトに消えてからも「イチローコール」が続いたことを紹介している。

記念球捕ったファン興奮「僕の野球好きの魂はイチローによるところが大きい」

 試合後、ホームランボールを掴んだシアトル在住のケヴィン・シャノンさんは、マリナーズ関係者からの依頼を受け、歴史的なボールとイチローのサイン入りボールの交換に応じ、「イチローが大好きなんだ。自分が見てきた中で最も素晴らしい選手の一人だね。僕の野球好きとしての魂はイチローによるところが大きいよ」と話したという。

 また、地元紙「マイアミ・ヘラルド」は「マーリンズのチームメイトたちは、誰一人としてイチローがその一打を放ったことを驚きには感じていない。そして、マリナーズファンや野球ファン達もみな同様の気持ちだろう」と記しており、今季不振を極めていてもイチローが本塁打を放つことに何ら驚きはないようである。

 さらに、マーリンズ先発・ボルケスは「彼はキングだ。彼はこの球場でとても愛されている。今日、彼が本塁打を放ったのは、彼の友達、チーム、そして彼自身にとっても素晴らしかったね」と古巣でアーチを描いたベテランを称賛している。

 MLB公式サイトは「果たして、これがイチローのセーフコ・フィールドでの最後の試合になるのだろうか。しかし、彼にはまた違う考えがあるようだ」と記し、イチローの“再凱旋”を希望するコメントを紹介している。

「そうは思っていないです。戻ってくると思います。そう願っています」

 新旧のチームメート、ファンにとって特別な存在として変わらないことを証明したイチロー。しかし、未知なる道を歩み続ける43歳にとって、かつての本拠地で放ったホームランは、これからも打ち続ける未来の一つの通過点に過ぎない。