シングルは序章…アルバムでさらに広がる福山 潤の世界



――6月にリリースされるアルバムには、またショートコントも入るということですが?

そうですね。今度も松原さんに書いていただいて、もう全部できあがっています。『多弁ヒーロー JUNJUN MAN』では、櫻井孝宏さんに女性の人質と怪人の役をお願いしましたが、アルバムのほうでも多分にやっていただきました。特に女性役を(笑)。

――櫻井さんにお願いしたのはなぜでしょうか?

櫻井さんとはもう10年以上の付き合いなんですが、作品に対するポジションの築き方や、ご本人のバランス感覚っていうのが……ちょっと常軌を逸してるものがありまして(笑)。どの世界にも、なかなかいないタイプだと思うんですよ。

――というのは?

たとえば『おそ松さん』って……実はなかなかわからないことなんですが、六つ子にいろんな個性があるなかで、それぞれのキャラクターが成り立っているのは、櫻井さんが長男のおそ松役をやったからっていう理由がものすごく大きいんですよね。



――なるほど。

誰かが陣頭指揮をとって、六つ子にキャラクターをつけていったわけではなくて、みんながそれぞれ「どうしようかな?」みたいに悩んでいたんですね。それで、おそ松を中心にすればいいんじゃないかって櫻井さんが提案して、個性をうまく消すような、ちょうど真ん中をやってくれて。でも個性がないわけじゃないっていう、絶妙なバランスでおそ松を演じたおかげで、みんながそれぞれの方向に振れたんですよね。

――そういう意味でのバランス感覚なんですね。

そうですね。それくらい、櫻井さんが初手でできるバランス感覚っておかしなレベルなんですよ(笑)。だから今回の企画も、女性を櫻井さんにやってもらうとすごくいいっていうだけじゃなくて、松原さんとしても、櫻井さんのバランス感覚を知っているので安心だったんでしょうね。アルバムでもふんだんに出ていただきましたので……かなり面白いものになっていると思います(笑)。

――『多弁ヒーロー JUNJUN MAN』の櫻井さんは、セリフが少ないのにすごい存在感で、大笑いしました(笑)。

ですよね。あの人の女性は絶品だなって思いました(笑)。女性に聞こえないんですけど、女性じゃないですか、なんか。よくわかんないですけど(笑)。だから、どうしても櫻井さんにやってほしかったんですよ。



――ツッコミの感じも面白かったですね。

「え? 気持ち悪いコイツ」とか言ってるじゃないですか(笑)。ああいうところがやっぱりスゴいなあって。今度のアルバムも歌とコントが並列で、ひとつの作品になるっていうのが、僕はどうしてもやりたかったんですよね。なので、まだアルバムのことをお話しないまま、シングルでまずはやってみて。やっとその全容が話せるようになりました(笑)。

――楽しみですね。

ええ。スネークマンショー(※1970年代後半に放送されたラジオコント)みたいな雰囲気を、真っ向からやったら面白いんじゃないかなあって思っていて。今の声優ファンの方って若いので、そういう人たちに触れてもらって、こういったジャンルのものも過去にあったんだよって、知ってもらえたら嬉しいなあと思いますね。

――じゃあシングルのほうは、まだ序章ということで(笑)。

序章ですね、ええ(笑)。アルバムは、よりバラエティに拡散したものが、ひとつにまとまる爽快感みたいなものを出したいなあと思っています。いろんな角度に飛んでいくものになっているので、楽しみにしていただけると幸いです。





職人にもスターにもなれる…声優は「芸能界の何でも屋」



――ところで、福山さんは今年が声優活動20周年ということですが、改めて、声優とはどんな職業だと思いますか?

読むということに関しての、何でも屋だろうなって思います。声を使うものだったらすべてがテリトリーなので。こう言ったら怒られるかもしれませんが、声優って、エンターテインメント界における、完全なる隙間産業だと僕は思っています。でもそれが、すごく面白いんですよね。

――どういうところが面白いのでしょうか?

職人にもなれるし、スターにもなれる。角度を変えてみると、自由人にもなれるでしょうし。つまり、自分をプロデュースすることで、自分の思い描いているものに近づくことができる職業が、声優なんじゃないかなあと思っています。だから、「芸能界の何でも屋」っていう言い方をしていますね。

――声優になる前や、声優を目指していた頃はどう思っていましたか?

僕は職人だと思っていましたね。職人になりたかったんですよ。表には出ないけれど、なんかこの声知ってるっていうところに、カタルシスとカッコよさを感じていたので。それで、職人になりたいと思って業界に入って、それをある作家さんに言ったら、「職人じゃなくて、スターにならなきゃダメだよ」って言われたんですね。



――なるほど。

それは嫌だなあって思いながらもやってきて、今いろいろと表に出させていただいていて……自分がスターだなんて思っちゃいないですけど、「もしかしたらあの人は、こういうことを言ってたんじゃないかなあ?」って感じることはあります。表に出たからこそ、できることもあるのでね。当時それも言われずに、自分の思い描いた方向に進んでいたとしたら、全然違うタイプになってたんじゃないかなあとは思いますね。

――そのギャップに悩んだりとかはしましたか?

あ、それはないですね。ただ、普通に街を歩いていて声をかけられるようなレベルになるなんて思っていなかったので、「なるほど、予想外のことが起こるもんだなあ」って(笑)。でもそのぶん、いろんなことを堂々とやらせてもらえるようになったので、それはもう致し方ないのかなあと思います。



――本来は裏方思考に寄っている感じでしょうか?

そうですね。紗幕があって、シルエットになった状態で何かをするのが好きなんで。だから、表に出すぎることがいいとは思ってはいないんですけど。かといって、出なさすぎるのもよくないので、いいバランスを自分のなかで模索できたらなあって思っています。ギャップっていったら……キャー! って言われるたびに、「え? 俺そんな?」っていうのは常にありますけどね(笑)。

――毎年たくさんの作品にご出演されていますが、福山 潤としてのニーズってどこにあると思いますか?

それが、多分にわからないんですけど(笑)。さきほど、声優業界って芸能界の隙間産業だって言ったじゃないですか。さらに、僕自体が隙間産業だと思ってるんですよ。

――というのは?

アニメーションにおいて、どういうキャラクターが主人公になるかって、世情に影響するんです。たとえば高度経済成長期の日本では、気持ちの強い、まっすぐ進んでいく熱血漢が主人公になることが多かったんですよね。それが、バブルがはじけてロストエイジの世代になってくると、「僕らはどう生きていけばいいんだ?」って、ナイーブな子たちが描かれるようになってきて。

――なるほど。

それで、たまたま僕が多く主人公をやらせてもらっていたときって、「日本はどこに行くんだろう?」って、よくわからない時代だったんですね。だから、主人公も熱血漢からナイーブな子まで、何でもありのバラバラで。共通項があるとすれば中肉中背、年齢も上すぎず下すぎず。肉体的に求められる声に、あまり特徴がないのが重要だったんですね。だからそこにたまたま僕がいた、っていう(笑)。偶然です。なので、隙間産業なんですよ。

――福山さん自体が隙間産業というのは、そういう意味なんですね(笑)。

そうですね(笑)。でも、その時代にバラエティに富んだキャラクターをやらせてもらったからこそ、いろんなことができるようになって……変態とか(笑)、おかしなキャラクターができるようになったので。僕にこういう役をやらせたら面白いんじゃないかって期待を持ってもらえたことが、最大の要因かなあとは思いますね。まあ、運がよかっただけなんでしょうね。

――そうでしょうか?

僕って特別個性が強いわけでもなく、特別うまいわけでもなく、特別トリッキーなわけでもないので……ただそれが、同じバランスだったっていう偶然でしょうか。僕にいろんな役をやらせてみて、みなさんに遊んでいただく。そういう意味でのオモチャになれたっていうのが、大きかったのかなと思いますね。



スマホゲームの課金にハマらないようにしたい(笑)



――最後に少しプライベートにも触れたいのですが、最近何かハマっていることはありますか?

すごく引くことを言いますね。スマホゲームの課金です(笑)。

――神谷(浩史)さんも同じことをおっしゃっていました(笑)。『モンスターハンター』にハマって課金されていると…。

え? 神谷さんも?(笑) なんだー、先に取られちゃったかあ。だから逆に言えば、課金にハマらないようにしたいです。本当に正月はヤバかったですね。「課金が止まんねえ! なんで指紋認証なんてつけたんだよ。簡単に課金がしやすいじゃないか!」って(笑)。パスワード入力だったら、ふと我に返れるじゃないですか。

――ちなみにタイトルは何ですか?

『誰ガ為のアルケミスト』ですね。自分が関わっていないゲームをやってみようかなと思って、止まらなくなりまして(笑)。まだやってるんですけど、もう課金はしてないです。あと最近、『ファイアーエムブレム ヒーローズ』を始めましたね。自分がもともとキャラクター(ロイ役)を担当していたので。

――ゲーム以外にはありますか?

ちょっと前までは筋トレにハマっていたので、そこに戻りたいですね。

――怪我をされてしまったそうで。

怪我のせいで全然できなくなっちゃって。怪我からはもう復帰したんですが、今度はトレーニングする時間がなくて。だから、ジムに行く癖をもう一度つけたいなあって思っています。もう怪我のサイクルにハマるのも嫌なんで……っていうネタも、ちゃんと今度のアルバムに入っていますので(笑)。

――あ! 最後…。

ええ、キレイにまとめました(笑)。



【プロフィール】
福山 潤(ふくやま・じゅん)/11月26日生まれ。大阪府出身。A型。1997年に声優デビュー。文化放送Eventアニメグランプリ2006最優秀男性声優賞、初代声優アワード主演男優賞、アニメージュ第30、31回アニメグランプリ声優部門2年連続グランプリ、東京国際アニメフェア2009声優賞、第3回声優アワード海外ファン賞を受賞(史上初の賞を設立)。主な出演作に『コードギアス 反逆のルルーシュ』(ルルーシュ)、『おそ松さん』(松野一松)、『暗殺教室』(殺せんせー)、『青の祓魔師』(奥村雪男)、『デュラララ!!』(岸谷新羅)など。2009年より個人名義活動を始め、FlyingDogより2013年までに合計4枚のアルバムを制作。
【ブログ】http://ameblo.jp/junfukuyama/

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■受付期間:2017年3月13日(月)12:00〜3月19日(日)12:00

■当選者確定フロー
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・当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し)のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
・当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月21日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。3月24日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。

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