中村俊輔にとって、約8か月ぶりのフル出場。「短かった。あっという間だった」とコンディションは万全な様子だ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ開幕戦] セレッソ大阪 - ジュビロ磐田/2月25日/ヤンマースタジアム

 中村俊輔の磐田での初陣は、スコアレスドローに終わった。それでも中村にとっては、昨季第2ステージ5節・横浜-磐田戦(1-1)以来、8か月ぶりのフル出場。課題が見えたことを含め"収穫"は多かった。

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「短かった。あっという間だった。それだけ、しっかり準備をして臨めたからだと思う。90分プレーしたが、あまり疲れてもいない。ゾーンに入っていた」
 
 中村は新天地で飾ったデビュー戦をまず、そう振り返った。
 
「やりたいことの半分しかできなかったが、現状のベスト」
 
 C大阪相手に崩されるシーンはほとんどなかった。一方、磐田が作った決定機も限られた。決して満足はしていない。しかし、これが磐田と中村自身の現在地であると受け止めていた。
 
 立ち上がりは「相手が前から来るかなと思ったが、慎重にボールを回して様子をうかがう、開幕戦ならではの立ち上がりになった」。そして後半は「相手がエンジンをかけた」とオープンな展開になり、互いにチャンスを作り出した。磐田も終盤に右サイドを切り崩し、最後はムサエフが惜しい決定的なシュートを放った。
 
「お互いにボールを奪ったあとに帰陣するのが早かった。そのなかで、一回改めて引こうという対応もできていた。ただゴールに結びつける『個』が自分自身も足りないとい思った」
 
 そのように中村は課題を語っていたが、「勝点1以上の得るものは間違いなくあった。それを共有していきたい」と手応えを得ていた。
 
 磐田での背番号10をつけて臨んだ初の公式戦。「新鮮だった」と振り返ったが、”発見”もあったという。
 
「ただ環境を変えれば、いいとは思わない。しかしここには得るものがたくさんあり、自分に足りないものを、味方とのプレーや名波監督のひと言で気付かせてくれる」
 
 その環境のなかで、今、中村はいろいろなものを吸収し、また新たな領域を目指せていると言うのだ。

 試合開始3分、C大阪ゴールから約30メートルの地点で得たFK。そこから直接狙い、磐田の2017年のファーストシュートを放ったのが、中村だった。
 
 するとヤンマースタジアムの一画を埋めた磐田サポーターから、さっそく中村へのチャント(応援歌)が歌われた。もちろん初めて披露された"新曲"だ。
 
 中村はそのことを素直に喜び、来週のホーム開幕戦で「恩返しをしたい」と抱負を語った。
 
「自分の応援歌を歌ってくれて、あれはモチベーションが上がりました。来週のホームゲーム、さっそくファンやサポーターに恩返しするチャンスだと思っています」
 
 磐田は3月4日15時から、ヤマハスタジアムで仙台と対戦する。磐田の初ゴールを奪うのは、中村か、それとも……。確かな一歩を踏み出したサックスブルーの10番。その一挙手一投足に、さらに注目が集まりそうだ。
 
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)