iPhoneに迫る奇跡の成長を続けるファーウェイは、なぜ世界のメジャーなブランドになれたのか

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ライカのデュアルカメラを搭載したファーウェイのスマホ「P9」「Mate 9」が絶好調だ。
今や同社の「P9」「Mate 9」は「高画質カメラスマホ」の代名詞となるほど、スマホカメラの最高レベルと評価する人も多く、すこぶる評判が高い。もちろん「ライカ」ブランドの利用によるところも大きい。

今やファーウェイはスマホのシェアで世界3位、ほぼ毎月のように新製品を世界中で発表するなど、しっかりと大手メーカーの仲間入りを果たしたと言ってもよいだろう。

カメラだけではなくスマホの基本性能でも高く、しかも金属ボディーの美しい仕上げなどデザイン面でも、一流の製品を提供している。最新のファーウェイのスマホはiPhoneの横に並べても、そん色の無いほど完成度が高い製品だと言える。

しかし日本のファーウェイは、数年前まで「中国の名も無いメーカー」というイメージだった。

ではファーウェイは、どうして短期感で、ここまで成長したのだろうか?
それは一朝一夕で実現できたものではなく、ここ数年かけて行ってきた努力の結果だ。

1.ハイエンド製品を中心にした製品展開
ファーウェイのスマホは、元々、大手メーカーよりも安価な製品が多かった。
日本でもドコモやソフトバンクなどから発売された初期のスマホは、各キャリアの安売り対象になる製品が多いブランドであった。もちろん海外ではハイスペック・ハイエンドな製品も手掛けていたが、本体のサイズに厚みがあるなど野暮ったさは隠せず、スタイリッシュといえる製品は少なかった。

だが2013年に世界最薄スマホとなる「P6」の発表からファーウェイは変わり始める。
スマホ本体のデザインに注力するようになったのだ。

翌年、2014年の「P7」では「LTEスマホ最薄」であるだけではなく、スペックも大幅に引き上げられた。
このP7の投入以降、ほかのメーカーのように「年に1機種フラッグシップモデルを出し、他の機種を年間通じて出していく」という製品展開が確立する。

その結果、毎年春に発売されるPシリーズの最新モデルはソニーやサムスン、LGなど、他社のフラッグシップモデルと比較される製品となっていく。
こうしてファーウェイの「顔」となるモデルが生まれたことが、製品の開発に力が入る好循環を生み出したのはいうまでもない。


2014年登場のP7以降、他社と並ぶフラッグシップモデルを次々と開発


2.地道な技術の積み重ね
実は、あまり知られていないが、ファーウェイの特許出願数は世界一位なのだ(世界知的所有権機関調べ)。

売り上げの10%以上を毎年研究開発費に投じているほど、基礎研究には力をいれている。
さらにファーウェイは、スマホ本体だけではなく、基地局などの通信インフラビジネスも行っている。
つまりファーウェイは、ネットワークも知り尽くしている企業であるからこそ、
「電波の掴みのいいスマホ」
「高速通信のできるスマホ」
など、長年の研究成果をスマホに活かせるのだ。

今では子会社がスマホの心臓部のチップも製造するようになっており、その性能はクアルコムなど他社のチップに匹敵するほどだ。
ほかのスマホメーカーが、クアルコムのチップの供給量や価格によってスマホの製造が左右される中、ファーウェイは子会社品を利用するため、安定して新モデルを提供できるのだ。
さらに注目なのは、同社のチップにはスマホの通信性能を左右するモデムも内蔵されており、通信速度も高速で安定している。

P9などファーウェイのハイエンドスマホは、電源効率などを含めパフォーマンスが非常に高いのは、こうした総合的な開発力の高さを持っているからなのである。

今や同社の新製品の発表会では、iPhoneとの性能比較を堂々と行い、自社製品のほうが性能面で高いことをアピールできるほどだ。しかも誰でも実際にファーウェイのスマホを操作してみれば、それが嘘ではないことがわかる。

そもそもP9のカメラでライカとコラボレーションを行ったのも、ライカがファーウェイをパートナーとして組む相手と認めたからだ。高性能、高品質のスマホだからこそ、ライカの名前を使うにふさわしい製品という証なのだろう。


スマホ本体の性能も高い。ネットワークのビジネスも行っているため通信周りも強い


3.ブランド力を高めたPR戦略
街中に溢れる、ファーウェイP9を手に持つスカーレット・ヨハンソンの広告を見たことがあるだろうか。「。ファーウェイの広告には無駄な言葉は一切なく、モデルとスマホだけを使ったイメージで展開されている。

この広告は前述した「P6」のころから始められており、中国の二流メーカー、というイメージを数年かけて払拭することに成功している。もちろん、製品が一流品でなくてはこの手の広告も見掛け倒しとなってしまう。

ファーウェイのスマートフォンは、今も、年々性能と品質、そしてデザインや仕上げを向上させている。
それを消費者に発信するために、上品なイメージの広告展開を進めてきた。

その結果、今では、世界中の誰もが「高性能で安心して買えるスマホ」と思えるようになったのだ。

まだまだアップルには追い付いていないが、「ファーウェイのスマホも悪くないよね」と消費者が思うようになったことは、市場が成熟し、勢力図が固定化されつつ中で、実は、そうそうできない大きな変化といえる。

ファーウェイの次の新製品は、2月に発表されると噂されている。
果たしてどんな製品が出てくるのか楽しみだ。


展示会のブースのイメージも高級感がただよう



山根康宏