俳優として駆け抜けた2年間、坂口健太郎の強さと柔らかさ
ドラマ撮影のために染めた金髪が朝の光に輝き、柔らかく坂口健太郎の額にかかる。カメラマンの口から思わず「優しい…」という心の声がもれる。ポーズをとりながら「あくびならいつでもできるので、必要なら言ってください」という坂口の提案がおかしく、この人はきっと天然の人たらしだ、と思う。俳優デビューからわずか2年の間に数々の作品に求められてきた彼は、インタビュー中、「自分のことが好き」と寸分の嫌味なく口にした。自分を好きでいられる人は、人にも優しい。求められるのには理由があるのだ。

撮影/祭貴義道 取材・文/新田理恵 制作/iD inc.



役に対して「一番に寄り添える人でいよう」



――新作映画『君と100回目の恋』では、miwaさん演じる幼なじみでありバンド仲間の日向葵海(あおい)の運命を変えるために、タイムリープを繰り返す大学生・長谷川 陸を演じられています。完全オリジナルストーリーの脚本ですが、最初に読んだときの感想は?



盛りだくさんだなと思いました。まず大きい柱として葵海とのラブストーリーがあって、バンドの物語もあって。それから、時間が戻ったりするSFの要素もあったし、彼らの精神的な面を描く要素もあったりで、どういうふうにまとめて撮っていくんだろう? って思いました。

――時間を戻せる大学生という役柄も特殊ですよね。そんな盛りだくさんな要素の中で、坂口さん自身、演じるのが楽しみだと思った部分は?

葵海のことを大好きな陸っていう部分も好きなんですけど、それ以上に、すごくクールに見えて、だけど、自分の中の秘密を打ち明けていくうちに少しずつ変わっていく。そのメリハリを出せるのが、すごく面白いところだと思いました。陸って、いろんな感情を出せる男の子なんだろうなと思ったんです。



――陸は最初、何をやっても完璧でクールなキャラとして登場しますが、実は何度も時間を巻き戻してやり直していたりと、意外なかわいらしさが次第に見えていきます。撮影は順撮りでしたか?

いえ、もう(時系列が)バラバラでした。だから撮影中に、「このシーンの前は、どんな陸だ?」っていう瞬間がときどきあったりして、監督に確認しながら演じたことも。映画の中に「(時間を戻して)ズルをしてない陸はカッコ悪い」っていうセリフがあるんですけど、陸がすごくカッコ悪く見えていいと思ったし、そのカッコ悪さが逆にチャーミングに見えたらいいなと思って演じました。




――坂口さんの過去の発言やインタビューなどを拝見していると、よく「人との間に壁をつくるタイプ」だとおっしゃっていますよね。今回の役柄はそれとは逆で、好きな彼女のために命を賭してまでも頑張る一途な男の子ですし、バンド仲間とも気持ちをぶつけ合う。陸の感情はすぐ共感できましたか?

「陸はスゴいな」と思いながら演じていました。陸の感情を考えると、「大丈夫だよ」って手を差し伸べたくなっちゃうくらい、思い詰めていってたから。でも、陸になろうとしてはいなかったんです。わからないところもあったけど、それは自分と違う人をやるんだから、当たり前だっていうふうに思っちゃう部分もあって。ただ、陸に一番に寄り添える人でいようとはしていました。

――ちょっと俯瞰(ふかん)で、客観的に役を見ていた感じなんですね。

そうですね。あんまりやりすぎると痛々しい男の子になっちゃうだろうなと思っていて、可哀想すぎるふうには見せたくなかったから。ちょっと客観的に見ているくらいがよかったのかなって。それに、この作品はラブストーリーではあるんですけど、葵海と陸の愛が向き合ってる瞬間って、ほんとに5〜6分しかないんですよ。だから、その部分は“ラブ”を強く出すように。そのあんばいはけっこう監督たちに聞きながらやりました。



胸キュンシーンの舞台裏、「正面からのほうが絶対いい」



――miwaさんとの身長差ギャップを上手く使った、胸キュンシーンなどもふんだんに盛り込まれていましたが、月川 翔監督が「坂口さんにこうしてほしい」と思う所作だったのかなって想像しながら観ていました。

監督はわりと女子目線で僕のことを見てくれてたので、すごくキュンキュンしてくれてたんですよ(笑)。脚立に上がってキスをするシーンでちょっと面白かったのが、脚本には葵海の後ろから上っていって、葵海が振り向いたときに目が合って…みたいな書かれ方をしていたんですけど、もしかしたら正面からいったほうがキュンとするのかな? という話になって。

――そうだったんですね。

僕と監督ってやっぱ男じゃないですか。だから、「どうしようか…」と思って監督が女性スタッフに「どっちがいい?」って聞いたら、みんな「正面からのほうが絶対いい」って。それで正面からになりました。

――自由に作っていける現場だったんですね。ちなみに、坂口さんにキュンキュンしていた監督から、何かお褒めの言葉っていただきましたか?

監督は、すごく褒めてくれたんです。僕も自分のこと好きなんで、けっこう、自分のことを自分で褒めてるんですけど(笑)。



――(笑)。

「いやー、やっぱ、カッコいいっすねー」とか自分で言ったりしてるんですよ(笑)。逆に褒められると「いやいや、恐縮です…」ってなっちゃう。でも監督はすごく褒めてくれて、「カットをかけたくなくなる。ひとつの表情で何通りかの感情を坂口くんから感じる」って言ってくださったんです。僕は「カットかからないな…」と思いながらやってたんですけど(笑)。そんなふうに言われたのは初めてだったので、「ありがとうございます!」って思いました。



――なかなかカットがかからない…と言えば、脚立のキスシーンもけっこう長かったですよね。

そうですね。あれ、なにげに体勢キツいんですよ(笑)。どこかで支えててもいけないし、片手はmiwaを触ってたりするから、最終的にプルプルしはじめて。キスシーンって、してもチュッて1秒2秒じゃないですか。でもあのシーンは、キスのあとカメラが引いていくから、その間はしてるように言われて。「時間がとまった」みたいな感じでいいのかなって、自分なりに考えて演じていました。



――共演者の方々とは、バンド演奏の練習も一緒に重ねたと聞いています。関係の良さが演技にも表れたのでは?

そうですね。あと、僕も竜星(涼)も泉澤(祐希)も楽器自体が初めてだったので、クランクインの前にもちょこちょこ集まって練習はしていて。ロケ地の岡山に行ってからは、撮影が終わったらスタジオにこもって…みたいなことをずっとやっていたので、本当のバンドみたいな感覚になったんですよね。「大学終わったし、ちょっとスタジオ寄って帰ろうぜ」みたいな。お芝居をやりやすくするために(関係性を作った)っていうよりは、仲良くなっていったからお芝居が良くなったっていう感じかもしれないですね。




超多忙なスケジュール…ストレスとどう向き合う?



――最初に俳優としてお仕事された映画『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』からわずか2年です。今回W主演とはいえ、2年で主演映画ができるというペースに戸惑いは?

初めての主演でしたが、あんまり変わらなかったかもしれないですね、気持ち的には。(台本の)分量が増えたぐらいのイメージかも。

――では、あまり気負いもなく…。

そうでしたね。僕は「みんな俺についてこいよ!」っていうタイプじゃないから、まわりに固めてもらって、支えてもらってやれたっていう感じでしたね。



――立て続けに話題作に出演されていて、映画やテレビを観ながら、「坂口さん、こんなに出て疲れてしまわないかな」って親のような気持ちに(笑)。

ハハハッ。

――お芝居には感情の引き出しが必要だと聞きますが、まだ「ゆっくりインプットしたい」という感覚はないですか?

やっぱり、お芝居って出す作業だと思うんですけど、“出し疲れ”っていうのはあるなと思いました。ときどき、たとえば1週間どこかに行くとか、映画を観たり本を読んだり、何もない時間っていうのは必要だなと思いましたね。でも、気持ち的には「うわ、きっついなー」ってあまりないんですよ。

――タフですね。

たとえばこの『君100』は1カ月、岡山でロケだったんですけど、1日ドラマの仕事で東京に戻らなきゃいけなくて。朝まで撮って、新幹線で戻って、東京で仕事をして、取材を受けて、そのまま岡山に戻ってくる…みたいなスケジュールだったので、寝る時間が少なかったりしたけれど、けっこう元気でした。鬼のスケジュールだったときもあったけど、気持ちがしんどいことはあんまりなかったかも。




――それは現場が楽しいとか、やりたかったお仕事ができている充実感とか、ポジティブな気持ちで臨めているからでしょうか。

それもあるかもしれないですね。もちろんストレスはたまってはいるんだけど、“風のようなストレス”というか、流れていっちゃうような。ドローっとしたストレスはないかもしれないです。

――どんな仕事でも、経験を積むほど深さがわかってきて、怖くなることってあると思うんですけど、俳優業の難しさみたいなものを感じるようになったりは?

今回の作品でも、全部難しいとは思っていました。どうしても普段の僕の言い回しじゃなかったり、気持ちも違ったりするので、そこの難しさは最初からあまり変わってはいないんです。でも、いい意味で力を抜く作業ができてきたのかなと思います。最初のころのほうが気持ち的にもかたかったし、監督に言われたことや台本を忠実になぞることが、正解だと思っていたんですよ。そういう意味では、今のほうが自由になってきたのかな。



【プロフィール】
坂口健太郎(さかぐち・けんたろう)/1991年7月11日生まれ。東京都出身。O型。2010年、「MEN'S NON-NO モデルオーディション」に合格し、専属モデルとしてデビュー。2014年、映画『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』で俳優デビューを果たす。以後、映画やドラマの出演が続き、2016年は映画『残穢【ざんえ】−住んではいけない部屋−』、『64−ロクヨン−』、『高台家の人々』、『オケ老人!』、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)、『重版出来!』(TBS系)、『模倣犯』(テレビ東京系)など数多くの作品に出演。NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で知名度が全国区に。2016年に『かもめ』で初舞台も踏んだ。現在放送中のドラマ『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)に出演中。
【ブログ】http://lineblog.me/kentaro_sakaguchi/
【Twitter 】@kentaro_s_711


■映画『君と100回目の恋』
2月4日(土)から全国ロードショー!
http://kimi100.com/


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