日本のホテルチェーン・アパホテルの客室に、南京大虐殺を否定する書籍が置かれていたことが中国国内で波紋を呼び、両国政府が声明を発表するほどの騒動となっている。中国メディア・環球網は19日、14日にこの件を報じた同メディアの記者が日本の知り合いと電話で「激論」を交わしたことを明かす記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 日本のホテルチェーン・アパホテルの客室に、南京大虐殺を否定する書籍が置かれていたことが中国国内で波紋を呼び、両国政府が声明を発表するほどの騒動となっている。中国メディア・環球網は19日、14日にこの件を報じた同メディアの記者が日本の知り合いと電話で「激論」を交わしたことを明かす記事を掲載した。

 この記者は、14日にあるネットユーザーの情報をきっかけに記事を発表したという。「この件はそれで終わりと思っていたのだが、思いがけないことに事の始まりに過ぎなかった」とし、あるネットユーザーが実際にアパホテルで書籍を購入し、15日にその様子をネット上で公開したことで「瞬く間に拡散していった」と伝えた。

 その後、動画を見た日本人の知り合いから続々と意見が寄せられるようになり、18日にはある日本人と電話上で激しい議論を戦わせたとした。「アパホテルの『政治的な背景』は、あなたが中国人の価値観から出した結論だろう。こんなつまらない報道は、通常の商業行為を妨げるものだ」とする相手の意見に対し、記者は訝しさを感じつつ、「アパホテルは、分かっていながら中国や韓国の客の主張と相いれない書籍を、客の分からない言語で、客の許可を得ることなく置いた。それで何事もないかのように客からお金を取る。これが世界的に誉れのある日本式のおもてなしなのか」と反論したことを紹介している。

 さらに、「あなたは日本に留学経験がある。親日派とは言わないが、少なくとも知日派であるはずだ。なのに日本の自由主義や多様性の基礎を学べなかったのは、残念だ」と言われたとしたうえで、「その考え方は本末転倒だ。今回の件は自由主義や多様性とは関係ない。そして、政治と経済を切り離すべきだなどと言わないでもらいたい。アパホテルはすでに政治と経済をごちゃまぜにしているのだから」と回答したことを伝えた。

 記事はまた、このほかにも日本人から本件に対するフィードバックがあったと紹介。主に中国側の反応への支持派、穏健派、反対派の3つに分かれ、支持派は「中国人は宿泊ボイコットすべき」、穏健派は「中国人の感情は理解できる」、反対派からは「経営者は政治家ではない。中国人は政治と経済を混同して語るな」との主張が見られたことを伝えている。

 経済活動の自由という観点から言えば、ホテルにどんな本を置くかは法律に反しない限り経営者の自由。一方で宿泊客側にもホテルを選ぶ自由がある。今回の件で「アパホテルは右翼ホテルだ」と憤った人には、以後このホテルを利用しない自由がある。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)