これ、知ってた? 年収別「適正家賃」&少しでも“安く住む”秘策

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賃貸マンションやアパートに住んでいる人がよく気にすることは、「現在自分が払っている家賃が相場なのか」ということではないでしょうか。

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相場なのかどうかはインターネットで調べればすぐに分かりますが、相場より高ければ「大家さんに値下げ交渉をしよう」「今度の更新の時には引っ越しをしよう」と考えるのでしょうが、そう考える前に気にして頂きたいことは、「現在の住まいの家賃は収入に見合っているかどうか」です。

家賃は高いか安いかだけで判断される場合が多く、収入に見合った家賃なのかどうかを気にする人はそんなに多くありません。

家賃が収入に見合わないと、どんなところに影響が出てくるのかについては誰もが想像する通り、家賃以外の生活費に出るわけですが、それと連動するように、「家賃が高いと子供が増えない」と言われています。

今回は、年収別の適正家賃と、家賃が高いとなぜ子供が増えないのか、そして少しでも安く住むための秘策について、宅地建物取引士である著者がお伝えしたいと思います。

年収別の適正家賃を知っていますか?

勤務年数により年収が右肩上がりになっていった20年〜30年前の景気が良かった時代、「年間総家賃は年収の30%が適正」だと言われていました。

ところが、リーマンショックが起きた頃から年収は下がり続け、「年間総家賃は年収の25%が適正」だと言われるようになっています。

では、気になるのが実際はどうなのか?ということですが、国土交通省が出した「住居費支出割合(勤労者世帯)、家賃支出割合の推移」というデータを見てみましょう。

この集計結果によると、直近の平成27年度では、実収入446,557円に対して家賃が60,513円※となっており、収入に対する家賃の割合は、13.6%であることが分かります。(※民営借家全体の平均であり、建築時期及び入居時期は様々である。)

この数字を見て「少ない」と思った人も多いのではないでしょうか。

このデータはあくまでも平均として出しているデータですが、実際には、収入に対する年間総家賃の割合は20%〜30%が多いのが現実です。

30%以内に収まっているならまだ良いですが、30%を超えてくるとさまざまな影響が出てきます。

理想は、年間総家賃=年収の20%ですが、少なくとも年間総家賃は年収の25%に収まるようにすると良いでしょう。

家賃が高いと子供の数にも影響が

国土交通省が発表した調査データに、「各県別家賃と出生率の関係」というものがあります。

このデータは、全国の25歳〜34歳の賃貸物件にお住まいの世帯を対象に、1か月あたりの所得に占める家賃の割合と出生率についての関係を調べたものです。

その結果、家賃の支出が高い都道府県ほど出生率が低く、高額な家賃がその他の支出を圧迫し、出生率を下げていると考えられます。

実際に「各県別家賃と出生率の関係」にあるグラフを見てみると、家賃負担が所得の13〜14%に収まっている宮崎県、福井県、福島県が出生率1.5%であるのに対し、家賃負担が所得の21%を占める東京都については、1.1%に留まっていることが分かります。

全国の平均出生率が1.4%であることを考えると、家賃が高い東京都の出生率が低いことが分かります。

つまり家賃負担の大きさが、産まれる子供の数に影響を与えていると言えるのではないでしょうか。

少しでも安く住むための秘策とは

大学進学や就職、結婚を機に東京・大阪・名古屋などの大都市へ移る若者世代は年々増加しています。

東京都を例にしてみますが、「地方圏・東京圏における若年層の人口移動」からも分かるように、東京都の若年人口は年々増加。

有名大学や大企業が大都市に集中していることから、大都市に人が集まるのは当たり前ですが、先ほどもお伝えしたように都会は家賃が高いです。

都会に住む以上、高い家賃から逃れることは出来ませんが、家賃が高い地域で少しでも安く住めたら嬉しいですよね。

では、どこに注目したら少しでも安く住むことができるのでしょうか。

そのポイントは、「家賃交渉しやすい物件探し」と「毎月のランニングコスト削減」です。

家賃交渉しやすい物件

まず「家賃交渉しやすい物件」についてですが、極力以下の物件に目を向けてみてください。

北側や西側の物件 1Fの部屋 中部屋 空室期間が長い 同じ棟内に空室多数

以上のような物件であれば、家賃交渉がしやすいです。

北側や西側の物件はあまり選ばれることがないですが、日当たりが良い南側の物件と比べ、夏のエアコン代が安く済みますし、日差しが長く照りつける南側と比べ、床や畳、クロスの痛みが遅くなるというメリットもあります。

また、1Fや中部屋はあまり選ばれませんから、家賃交渉しやすいと言えますね。

そして、空室期間が長期にわたっていたり、同じ棟内に空室が多数ある物件も、物件オーナーからすれば早く決めたいと思っている物件であることが多く、家賃交渉がしやすいと言えます。

「人があまり選ばない物件を見つける」ことがポイントとなりますので、インターネットや不動産仲介業者をフル活用して、そういう物件を見つけてみてください。

毎月のランニングコスト削減

安く住むための2つ目のポイントは、「毎月のランニングコスト削減」です。

家賃だけではなく、毎月のランニングコストを抑えられる物件を選ぶことも安く住むためのポイントとなります。

そのポイントは、「インターネット使い放題」「マンション高圧一括受電サービスを導入しているマンション」「プロパンガス導入のマンションを選ばない」です。

■インターネット使い放題

まずインターネット使い放題ですが、今やWi-Fiが主流になっていますから関係ないと思われるかもしれませんが、パソコンは自宅しか使わないという人にはありがたいサービスだと思います。

Wi-Fiが主流といえども、物件によっては電波状況が悪いなどの影響がないとは言えませんから、自宅でインターネットが無料で使える環境は嬉しいですね。

■マンション高圧一括受電サービス

そして、マンション高圧一括受電サービスについてですが、こちらはまだまだあまり認知されていないサービスだと思います。

高圧一括受電サービスとは、マンション全体を1つの利用者と考え、一括して電力会社から電気を購入し、各家庭に流すという仕組みです。

高圧一括受電サービスの市場は拡大しており、2010年には約12万戸、2014年には約44万戸が契約しているというデータが出ています。

このシステムを導入しているマンションの住人は、毎月の電気代が5〜10%安くなるというメリットがありますから嬉しいですね。

■プロパンガス

最後にプロパンガスについてですが、都市ガスもプロパンガスもガスを利用するという行為については何ら変わりはありませんが、違いが出てくるのが料金です。

以下のデータをご覧ください。

●都市ガス

※1 基本料金 1,058円 + 従量料金 6,148円※2 = 合計請求額 7,206円

●プロパンガス

基本料金 1,500円 + 従量料金 6,600円※3 = 合計請求額 8,100円

※1:東京ガス(株)発表「東京地区2013年8月検針分(20m3〜80m3)」 ※2:単価141円×2.18×使用量20m3 ※3:単価330円×使用量20m3

上記は、関東地方のデータですが、同じ使用量でも1,000円前後違いが出ていることが分かります。

東北地方など、場所によってはプロパンガスの方が安い地域もありますが、都市部の場合は都市ガスの方が安い傾向にありますから、安く住むためには、極力プロパンガス導入の物件は避けた方がよいと言えますね。

まとめ

年収による適正家賃とは、年収の20%〜25%と言われています。

30%を超えてくると、家賃がその他の支出に影響を与え、出産や育児費用に充てることができず、子供が増えないという現実が。

夫の仕事の関係で、どうしても家賃の高い都市部に住まなければならない場合は、先にご紹介させて頂いた通り、少しでも安く住むためのポイントを参考に物件を探されることをおすすめします。

これからますます深刻化する少子高齢化社会。

子供が増えない1つの原因が「家賃の高さ」にもあることを知って頂き、1人でも多くの子どもが誕生してくれることを祈っております。

<参考>ガス料金相談センター「プロパンガスと都市ガスの料金比較」