まもなく迎える忘年会シーズン。そこで気をつけたいのが、最終列車の時間です。定刻に発車するのが基本ですが、発車時刻を過ぎても待っていてくれる場合があります。その、「待つ・待たない」の違いとは何なのでしょうか。

あちこちで「待って」の掛け声が?

 深夜、ある路線で遅延や運休が発生し、駅で最終列車への乗り換えや乗り継ぎが不可能になると、帰宅が困難になる場合があります。そのようなとき、各鉄道事業者が連携して、列車どうしを接続させることがあります。


終電近い時間帯の渋谷駅前。京王井の頭線ののりばに急ぐ人々のイメージ(写真出典:photolibrary)。

 たとえば西武鉄道では、山手線や東京メトロ線などとの乗り換え駅である池袋駅、高田馬場駅といったターミナルで、最終列車の発車を遅らせることがあります。

「『山手線が○分遅れているので、接続をお願いします』などと、JR東日本や東京メトロの運転指令所から依頼を受けて接続を実施しています。逆に依頼がない場合は接続せず、定刻に発車することもあります」(西武鉄道)

 自社線どうしが交わる駅でも接続を実施するほか、拝島線の拝島駅(東京都昭島市)など、JR線へ乗り換えられる終点の駅において、西武鉄道からJR東日本に接続を依頼することもあるそうです。つまり、「待つ・待たない」は、路線状況を鑑みながら、事業者間で声を掛け合って決められているのです。

「待ちません」明示する路線も

 一方、東京メトロや都営地下鉄では一部の駅で、JR線が遅れても接続しない旨を掲示しているほか、自社局の路線どうしでも、終電を接続させる路線としない路線が存在します。

「ダイヤの関係で、接続を行う路線と行わない路線が決まっています。もともと終電の乗り換え時間がわずかしかない路線どうしにおいては、接続を行いません」(東京メトロ)


都営大江戸線と交わるJR東中野駅では、終電の接続はしない旨が掲示されている(2016年11月、中島洋平撮影)。

 これから忘年会シーズン。深夜時間帯の利用が多くなり、週末に列車を増発する路線もあるなど、各事業者とも利便性の向上に努めています。しかし、そんなシーズンだからといって、終電も「待ってくれる」と思っていたら、痛い目を見るかもしれません。自分が使う路線を把握し、時間に余裕をもって行動したいところです。

【写真】日本一終電が早かった駅


2016年1月末に廃止された阪堺電車の住吉公園停留場。末期は朝時間帯のみ列車が発着し、平日は終電が午前8時24分と「日本一終電が早い駅」だった(2008年7月、恵 知仁撮影)。