プロの将棋を見る場面といえば、テレビやネットでの中継など画面越しがほとんどだろう。そんなプロ棋士同士の戦いを、言葉通り「間近」で見れるイベントが11月3日に開催された。東京・東中野のお好み焼き屋「侍"(ざむらい)」で開催された「侍" ー秋の陣ー」というイベントだ。今回、定員20名という超限定イベントの取材許可を特別に頂くことが出来た。


店長の上野さんは、他にも「子供将棋スクール」「レディース将棋部」など将棋普及を目的としたイベントを数多くここ「侍"」で開催。今回のイベントも常連である田中悠一五段と上野さんの雑談がきっかけで開催に至ったという。

「将棋ファンにもっと近くでプロ棋士達を見てもらいたい。対局の時の表情や視線、体の動きなど一挙手一投足に注目して欲しい」とイベントの狙いを語ってくれたのは、今回のイベント準備を進めてきた阿久津八段だ。



ファンが至近距離で見つめる中「侍" ー秋の陣ー」 開幕


開催時刻が近づくと将棋ファン達がお店にぞくぞくと入ってくる。店内は6名用のテーブルが4つほどの規模の広さであり、そこにファン20名、棋士6名、ゲスト解説者・司会者などが立ち並び、対局前から店内の熱気は最高潮だ。
取材する足場も無い程にギュウギュウの満員状態となったところで、観戦記者で当イベント司会の内田晶氏の進行が始まり出場棋士6名から挨拶が行われた。出場棋士は(段位順に)、阿久津主税八段、戸辺誠七段、中村太地六段、船江恒平五段、田中悠一五段、佐藤慎一五段という名立たるプロ棋士達だ。
さらに、特別ゲストとして佐藤天彦名人、藤田綾女流二段が大盤解説を務める。将棋ファンにとっては夢のような空間でイベントは始まった。棋士のみなさんには、お好み焼きにちなんで『勝負メシ』についてもインタビューを行ったので、合わせてお読み頂きたい。

お好み焼き屋という異空間での対局が開始


お互いの息遣いや服の擦れ合う音が聞こえる程の距離でファンが将棋盤を囲む中、第一戦が始まる。トーナメント表は以下の様な組合せとなっており、上位段者の阿久津八段、戸辺七段がシード、第一戦は中村六段 対 田中五段、船江五段 対 佐藤五段の2局が同時進行で行われる。






360度を至近距離からファンに見つめられながら対局は進む。店内には、残り時間を読み上げる藤田女流二段の声と、駒を動かす音だけが響き、参加者は誰一人として音を立てないまま、真顔で集中するプロ棋士達の対局が続いた。
第一戦の勝者はそれぞれ、中村六段、船江五段の2人だ。
第二戦は、中村六段 対 阿久津八段、船江五段 対 戸辺七段だ。少しの休憩時間を挟み、そのまま第二戦が始まった。目の前で再び対局が始まると、ファンは棋士達の対局に食い入るようにして横から覗き込む。中にはこの異様な空間を360度撮影可能なカメラで撮っているファンもいた。結果は、中村六段が阿久津八段を、戸辺七段が船江五段を下し、決勝ラウンドは中村六段vs戸辺七段というカードとなった。

侍"ー秋の陣ー決勝戦 「侍」姿での決勝戦


全体の熱気も盛り上がる中、いよいよ決勝戦が始まる。戸辺七段、中村六段が取材陣からの勝負前インタビューを終え「侍」姿で登場すると会場のファンからどよめきが起こり、一気に決勝戦ムードへと変わった。


他のプロ棋士やファン全員の注目が集まる中決勝の対局が始まる。店内の大盤では佐藤名人・藤田女流二段の解説も同時に行われる。



全員が大盤解説と将棋盤へ視線を交互にやりながら、静かに2人の対局の行方を見守る。大盤解説の2人の解説以外は、取材陣も店員もファンも全員が一言も発することはない。対局開始から1時間以上が経過したころ、戸辺七段の口から「参りました」の声が響く。優勝者は中村六段に決まった。



決勝の対局後には、出場棋士達からそれぞれサイン入り色紙、実際当日の対局中にも使ったサイン入り扇子などがファンに手渡された。そしてイベント終了後には写真撮影が始まり、緊張も解れた棋士たちとファンが嬉しそうに記念写真を撮っていた。
憧れのプロ棋士達と同じ空間で過ごし、その真剣勝負を間近で見届けることが出来たファンたちは満足気にお店を後にした。




【関連情報】
◆将棋好きの店主・上野さんのお好み焼きが食べられるのは、東中野・本通り共栄会にある「侍"(ざむらい)」
侍゛ (ざむらい)
東京都中野区東中野5-5-7 セーリングビル 1F
JR中央線(各駅停車)【東中野駅】東口 徒歩3分
都営地下鉄大江戸線【東中野駅】徒歩6分
東京メトロ東西線【落合駅】徒歩6分

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