コンビニ業界に詳しいライターの日比谷新太さんが、業界の裏事情を徹底レポートする当シリーズ。前回のコーヒーの話題に続き、今回注目するのはコンビニのトイレ事情について。……しかし、いつもキレイにしてくださっている店員の皆さんには、本当に頭が下がる思いがしますよね。

コンビニにトイレが当たり前になった経緯

コンビニのトイレ事情は、ここ20年間で飛躍的に改善したのではないでしょうか。

以前ならコンビニでトイレを借りようとして、「すいません。トイレ貸してください」とお願いすると、店員さんはバックルームの扉を指差し、従業員専用のトイレを案内してくれたものでした。そこは商品在庫の棚など、まさに店の裏側が丸見えな環境で、また従業員のために設置されたトイレだったため、機能のほうも必要最低限でした。

ところが近年では、「お客さま用トイレ」が設置されているのが普通となり、とくに新規店舗なら「男性用」「女性用」で個室が分かれているのはもちろん、ウォシュレットも標準装備されています。

こういった傾向になったのは、確か2000年頃からではなかったかと記憶しています。それは、食料品や飲料などの物販がメインだったコンビニエンスストアが、以前にも取り上げたATMの設置をはじめ、公共料金の収納代行や宅配便、チケットの販売など、そのサービスを拡大することで、集客を大きく増やすことに成功したタイミングと重なります。“人の集まるところにトイレあり”ではないですが、その流れでトイレを設置する必要性が高まったのではと推測されます。

ちなみにコンビニにおけるトイレ利用のルールは、各店舗の店長さんの裁量で決定します。「ご自由にご利用ください」「一声かけてください」「お客さまの利用をお断りしています」など、店によって対応がまちまちなのはこのためです。これは、フランチャイズシステムが根幹にあることも大きいのですが、トイレ清掃は店舗側の負担となるため、トイレを自由に使ってもらうよう各本部から店側に強制することが難しいという理由もあります。

店員さんは見た!困ったトイレ利用者たち

このように24時間自由に使えるコンビニのトイレは、駅や公園の公衆便所などと比べてキレイなところが多いこともあって、広く利用されています。ただ、なかには困った利用者もいるようで……。そこで今回は、コンビニの現役店員さんやその経験者から聞いた「困ったトイレ利用者」を紹介したいと思います。

トイレで着替え?

便器にたどり着くまでに我慢できなかった方のものだと思われますが、トイレの中に使用済み下着が放置されるケースは、結構多いようです。次に個室に入ったお客さまからの指摘を受けて処分をする店員さんですが、「せめて、袋に入れてもらえれば……」というのが、偽らざる思いのようです。

●なぜトイレに……

万引き目的で店内の商品をトイレに持ち込み、手持ちのカバンなどに移し替えるというのはよく聞く話ですが、その反面で存在するのが、トイレの中にアダルトな男性雑誌を放置していくというケース。それは店内の在庫なのか、それとも持ち込みなのか。そもそもなぜ放置していくのか……など、様々な疑問がわいてきます。

●深夜の酔っ払い

深夜帯に入店してきた酔っ払いのお客さまによるトイレ利用。気分が悪くなって吐く際に、うまく便器に命中せず床に巻きちらすこともしばしば……。

●カップルが長時間……

これも深夜時間帯によくある話ですが、来店された男女のカップルが、二人そろってトイレの個室に入っていくことも。あまりにも長時間入室している場合は、防犯上の問題もあり、店員がドアをノックしに行くとのこともあるらしいですが、これがかなり気まずいということです。

コンビニのトイレは無料で誰もが使えるとはいえ、最低限のマナーは守って利用したいものですね。もっといえば、「トイレのついでに、何か飲み物でも買おうかな」というアクションを行ってもらえると、コンビニ側としては大変助かる、とのことでした。

 

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

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出典元:まぐまぐニュース!