今さら言うのも何ですが、“フェス”の楽しさの一つに「自分の中にない未知のアーティストに触れる機会」が挙げられると思います。フェスで初めて目にし「悪くないんじゃない?」とイナヅマが落ちる想定外の出会い。いつの間にか、自分の中の新境地になっている。新たな対象にハマってる自分が生まれてたりします。

「プロレス団体が主催する音楽フェス」にプロレス初観戦者が多数集結


昨日(11月6日)、プロレス団体・DDTが「DDTフェス2016 supported by ナタリー」 (東京・新木場STUDIO COAST)を開催しています。


「史上初、プロレス団体が主催する音楽フェス」と銘打たれたこのフェスには、とんでもなくスペシャルなアーティストらが出演。当然、フェスにはアーティストのファンが大挙して来場! 一方、プロレスファンがアーティストを生体験する貴重な機会にも成り得る。このクロスオーバーは、2016年だからこそ有効だという気がします。

この日の司会進行は、DDTのGM・鶴見亜門氏と前田亜美さんが務めます。


鶴見 プロレスを初めて観に来たという方、いらっしゃいますか? ……あっ、結構いらっしゃいますね。それでこそ、やった甲斐があるということですよね!
前田 これで今日プロレスファンになって、また観に来ていただければ。

ベッドインがハッスル「しば漬け食べた〜い!」


というわけで、音楽好きとフェス好きが混在した会場でライブが繰り広げられます。
●カワイイカンジジャパン☆DA


●レディビアード


●ベッドイン
そして、話題のベッドインが登場!



「今日のお客さんたちイカ臭くない!? だって、こっちの方から、チェリーボーイ、チェリーボーイ、J.BOY、ハマショー! バブルジョークですから、わからないことはパソコン通信で調べてくださいねぇ〜」(かおり)
「しば漬け食べた〜い!」(まい)
最後はスカートをたくしあげ、わざとTバックにした状態でお尻を見せながら去っていきました。たしかな演奏力と、たしかなパフォーマンス力です。

アーティスト同士の因縁をプロレスで決着させる


●マッチョ29


●カメレオ



なんと、マッチョ29とカメレオの2組は「マッチョvsビジュアル系」として因縁が勃発! アーティスト同士のいざこざをプロレスで決着する「カメレオ軍vsマッチョ29軍全面対抗戦」と銘打たれた一戦がこの日のオープニングマッチです。
▼大鷲透&赤井沙希&島谷常寛<カメレオ軍> vs 諸橋晴也&才木玲佳&レディビアード<マッチョ29軍>


途中でムキムキに見えるマッチョ線をボディに施したDDT・高木大社長が乱入し、アルティメット・ウォリアーばりのアクションでマッチョ軍に協力する一幕がありました。



武田真治、LiLiCo、ゴージャス松野が登場


●BLACK JAXX
ビッグなアーティストの登場は続きます。続いては、武田真治とDJ DRAGONによるユニット「BLACK JAXX」の出番!


武田 めちゃめちゃ?
客 イケてるー!
武田 すみません、団体の枠を超えてしまいました。



▼LiLiCo&ゴージャス松野 vs チェリー&ワンチューロ
第二試合には、芸能界からDDTマットに参戦しているLiLiCoとゴージャス松野が登場!



先輩風を吹かす松野をLiLiCoが立てるも、松野がなかなかいいところを見せることができず、LiLiCoが奮闘してなんとか勝利をゲットです。

▼石井慧介&ヤス・ウラノ&菊タロー vs KUDO&高梨将弘&ヨシヒコ
この試合は、DJステカセキングが流した曲によって選手の“プロレス魂”が喚起されてしまうという一戦。その名も「地獄のシンフォニー6人タッグデスマッチ」という形式です。


スタン・ハンセンのテーマ曲「サンライズ」が流れると、各選手にハンセンの魂が乗り移る! 場外戦になだれ込んでグチャグチャの展開になったり、左腕をふるってウエスタンラリアットをお見舞したり。


ジャンボ鶴田のテーマ曲「J」が流れるとジャンピングニーを見せたり、相手の技を受けるとオーバーリアクションでヨロヨロしてみたり。ミル・マスカラスのテーマ曲「スカイハイ」が流れると、ヨシヒコがフライングクロスチョップを披露!


最後は「炎のファイター」が流れた状況で卍固めが決まって決着です。

アップアップガールズ(仮)のために高山善廣が暴れる


ここからは、アイドル3連発です!

●BiSH


●アップアップガールズ(仮)



●NωA



▼高山善廣&平田一喜&岩崎孝樹withアップアップガールズ(仮) vs 大石真翔&勝俣瞬馬&MAO
DDTの所属レスラー3人によって結成された男性アイドルユニット「NωA」ですが、彼らのライブ中に高山組がアプガを従えて登場。新曲の披露がままならなかったNωAが「俺らが勝ったら新曲を歌わせろ!」と主張。一方、高山組が勝利したら11月8日に開催されるアプガ日本武道館公演の告知をたっぷりさせてもらうという流れで試合はスタートしました。



結果、高山組が勝利してアップアップガールズ(仮)がリングを占拠です。



●DISH//



▼男色ディーノ&渡瀬瑞基 vs 高尾蒼馬&彰人 with DISH//
端正な顔立ちで女子中高生を中心に女性ファンが多いダンスロックバンド DISH//。実は彼ら、8月23日にDDT両国大会にてリング上で挨拶をしている時、乱入したゲイレスラー・男色ディーノに唇を奪われるという辱めを受けています。雪辱を期し「ディーノとやらせてください!」と直談判したことで、この一戦は決定しました。

「只今より入場して参ります男色ディーノ選手はホモでございます。好みの男性客を見つけると襲いかかることがございます」という注意喚起のアナウンスが響く中、客席のイケメンにちょっかいを出しながら男色ディーノが姿を現しました。


事あるごとにディーノがDISH//へキスしようと迫りながら試合は進むも、結果的にディーノ組は敗北。



DISH//はリベンジに成功です。

プロレスの試合中に五木ひろしを熱唱する清水アキラ


●清水アキラ



超VIPが新木場STUDIO COASTにやって来た! いきなり「夏をあきらめて」を歌いながら研ナオコの扮装をした清水アキラが登場しました。


そのまま「メキシカンロック」(橋幸夫)へとなだれ込み、アキラさんのステージは終了。メチャメチャ面白かったのですが、もう終わり!? ……と思いきや、次の試合にもアキラさんは出場してくれる模様。

▼A.YAZAWAwithベッド・イン vs トランザム★ヒロシwith清水アキラ
試合中にいいタイミングでロックンロールが流れ、その時に選手はロックンロール魂を発揮しなければいけない「ロックンロールデスマッチ」の形式が取られた一戦です。まずは、A.YAZAWA組が矢沢永吉「止まらないHA〜HA」に乗って入場。



そのまま、矢沢の格好をしたアキラさんを先頭にトランザム★ヒロシ組も入場!


勢いは止まらず、矢沢の格好のままリング上で「はい、スミマセン。どこから来たの?」「舐めてもいいけど指だけは突っ込まないで」と、若者たちの前で商売の女性のものまねをおっ始めるアキラさん。A.YAZAWAにストンピングをカマされ、桶を持ったまま「大丈夫じゃね〜よ!」と退場してしまいました。





一方、ベッドインも負けてない。「ランバダ」が流れるとA.YAZAWAを挟んで妖艶に踊り出し、悶絶させてダウンを奪います。



その後は「夜空」(五木ひろし)が流れ、青ラメのジャケットを着たアキラさんが登場。「五木〜、五木ひろしだよ〜。五木ひろしだよ〜。あ〜あ、五木だよ〜。五木だ、五木だ。うん、村田だ!」と途中で村田先生に変身する凝ったアレンジを披露。


今度は「UFO」(ピンクレディー)が流れ、ピンクレディーの格好なのにアホの坂田のものまねをし続けるおなじみの至芸を見せるアキラさん。この曲はベッドインとのコラボも実現しています。


「与作」(北島三郎)の曲が流れると、サブちゃんにそっくりな歌声で「女房がにぎりっぺ プンプンプン」「臭いのいい屁だね ブリブリブリ」と、ひどいものまねばかりし続けるアキラさん。



「昴」(谷村新司)では真面目にものまねしてくれたのですが、もちろん鼻はセロテープで吊り上げてます。それどころか、この時はリング上にいる全員がセロテープで鼻を吊り上げており、不思議な一体感が生まれていました。最後は、アキラさんとののツープラトン・ブレーンバスターを決めたトランザム★ヒロシが勝利!

“ゴールデンスター”飯伏幸太は路上プロレスで出場


▼高木三四郎&飯伏幸太&樋口和貞&伊橋剛太 vs 佐々木大輔&石川修司&遠藤哲哉&マッド・ポーリー


新木場STUDIO COAST全面を使った路上プロレス形式で行われるこの一戦。高木大社長に続き“世界のゴールデンスター”飯伏幸太が入場すると、一際大きな歓声が起こります!



外に出てプールに落とし合ったり自転車に乗ったりして戦っている光景をモニターで見守る展開が続きますが、最終的には会場内に戻ってきてリング内できっちり決着がつきました。





大槻ケンヂが認める「今日、初めてプロレスとロックが完璧に混じり合った」


●筋肉少女帯
ついに、あの筋肉少女帯が登場!



「踊るダメ人間」の「ダメ ダメ ダメ ダメ人間 ダメ! 人間 人間」の「ダメ!」の箇所で両手をバッテンにクロスしてフロア中が跳ねる光景は壮観!


「いろんな団体がプロレスとロックの融合を試みてもイマイチ合わないところがあったんですけど、今日は完璧に混じり合ってます。鍵は、清水アキラさんだったんだよ! 爆笑したもんなぁ〜」(大槻ケンヂ)

そして、続いての曲。「僕が『日本を印度に』と言ったら『し〜てしまえ!』と言ってください」とオーケンが呼びかけた途端、沸きまくるフロア。もちろん「日本印度化計画」のスタートです!



そして、そのまま「タチムカウ -狂い咲く人間の証明-」に突入!


演奏する筋少の横から、竹下幸之介&入江茂弘組が姿を現しました。


以前よりこの曲を入場テーマに使う入江茂弘がアメリカ修行からいったん帰国し、DDTフェスに出場。要するに、入江組は筋少の生演奏をテーマ曲に入場したのです。結果、竹下幸之介&入江茂弘組は対戦相手のHARASHIMA&坂口征夫組に勝利!

最後は入江からオーケンへ「オリジナルテーマ曲を作ってくれませんか?」と直談判! 高木大社長から「先方のギャランティの話はついてるのか?」と確認が入ったらしいですが「そういう話は後でしよう。よし、やろう!」とオーケンは含みをもたせながら快諾!
会場中が「タチムカウ!」とコールしながら、この日のフェスは閉幕となりました。

たしかに過去も「ロック×プロレス」の掛け合わせは行われたことがあるものの、結局は両者のパフォーマンスを並べるだけ……という形で終わっていたように思います。しかし、オーケンも認めるように今回は完璧に混じり合った! この域までケミストリーが爆発するには、DDTがエンタメ路線で成功したこの時代まで待たなければいけなかったような気がします。
感動あり、プロレスあり、ロックあり、アイドルあり、清水アキラあり。お腹いっぱいですよ!
(寺西ジャジューカ)