国民的人気、という言葉がある。

食べ物なら寿司にカレー、アクティビティなら温泉か、スポーツならサッカーが近いかもしれない、タレントならSMAP?…それも最近までか。なにはともあれ、これらが嫌い!という人は確かに少ない。しかしながら、友人との会話でこんな言葉が出た。

友人「私ね、ジブリが嫌いなんですよ〜」

なんだって…ジブリがお嫌い!?

ジブリと言えば国民的アニメ映画である。私の実家にも幼い頃から「ラピュタ」と書かれたVHSが転がっていたし、家族で安心して観に行ける映画作品シリーズNo.1ではないだろうか。そのジブリが嫌いって、なんでよ??

友人「いやだって、みんなが好きだからって便乗するのはポリシーに反するというか」

友人だけど断言したい、なんたるあまのじゃく!しかも一度も観たことがないという。これまでの人生で何度もテレビ放映や友人からのお誘いがあったはず、それらを避けて大人になったことは逆にすごい。なお、友人はディズニーも好きではないが、それでいてディズニーシーで働いていたらしい。バイト仲間はみんなディズニー好きで、自分はまるで非国民のようで辛かったとのこと。いや、それはしょうがないだろ。バイト変えろよ。

ほかにもいるんじゃないか?みんなが好きなものが嫌いな人


ここでふと思う。ジブリに限らずとも、「みんなは好きと言うけど私は嫌い!」という人はもっとたくさんいるんじゃないだろうか。大多数が持ち上げる中で、嫌いだと言えば好奇の目を向けられ、非国民のごとき扱いを受ける。その苦しみたるや筆舌に尽くしがたい。

そこで周りの友人に聞いたり、SNSで●●嫌いを募ったところ、出るわ出るわ「実は嫌いエピソード」!みなさま、それぞれに強い思いがおありなんだろうと思います。そんな日陰の声たちを、世界が少しでも少数派にやさしくなることを願ってご覧いただきたい。

・今夜はカレーなので家出します
「カレーが生理的に受け付けない。新婚の頃に嫁がそれを知らずにつくったところ、帰宅するも匂いに耐え切れず折り返して家出。オフィスで寝た。」(40代・男性)

いきなり出ました国民食!個人の意見としてはカレーが大好きですが、あの色味?濃い匂い?ドロドロ感?…なんて理由を考えると私まで嫌いになりそうなのでやめておきます。世の中、カレー嫌いは一定数いるようです。インドは全ての料理がカレー味だと聞いたことがあるので、現地に滞在しようものならこの世の地獄を体験できますね。

この方はほかにも、経営する会社の社員がカレーを食べたのでオフィスを飛び出したり、ホームパーティに誘われずハブラれたと思ったら理由が「カレーパーティだから」だったり、子どもの将来を考えた奥様が本人の出張中を見計らってカレーをつくっていたことが後に判明したりなどいろいろとありました。心中お察ししますが…おもしろすぎるやろ!



・いつまでも浸かっちゃいられねぇ
「温泉、嫌いです。常夏の沖縄住まいなので温まる意味が分からないということもありますが、なによりも温泉に浸かっている時間がもったいなく、それなら他のことをしていたいから」(30代・女性)

普段日本と離れて暮らしている私には、一時帰国の際に温泉へ行けようものなら興奮必至ですが、このような意見もいらっしゃるのか!「時間がもったいない」という発想はなかった、リラックス系全般に言えますね。確かに、ベトナムだとマッサージが一時間1000円以下と安い店もあり、休日に利用する日本人が多いのですが、同じ理由で私もあまり行かないかなぁ。沖縄の気候には納得です。

・聖地出身だからこそ嫌いになった
「餃子です。宇都宮に住んでいて、初対面の人との会話で必ず餃子が出て来るので、話をぶった切るために『嫌い』と言い続けていたら本当に嫌いになりました」(20代・女性)

これは珍しいパターン!もう自己暗示じゃないですか。私もこの記事を書く中で、いろんな嫌いな理由に共感できるか考えてみたところ、そのうち本当に嫌いになってきそうだったので今ならこの話も分かります。

・スポーツ好き派とスポーツ嫌い派からなぜか嫌われるスポーツ「観戦」
「スポーツが好きでよくやるが、他人がやっている試合の観戦は全く楽しくない。オリンピックで金メダルを獲ったというニュースを見て『すごい』とは思っても、『感動をありがとう』とか言われたってそれは本人の問題だし」(40代・男性)

「スポーツ観戦が嫌い。スポーツが苦手なので感情移入できない。それに、『みんなで一丸となって応援』という雰囲気が気持ちわるい。東京オリンピック期間中は海外旅行を予定している」(30代・男性)

全く逆の理由からどちらもスポーツ観戦が嫌いとは、興味深い。スポーツそのものが国民的人気と言わないまでも、きっと同じような人が多いと思います。ちなみに私も後者の方と同じ理由でとくに興味はありません、サッカーを観ていても「おー」以外の言葉を発したことがない。よく分からないから。



・意外に多いフルーツ嫌い
「桃、メロン、マンゴー、『半分に切ってスプーンですくって食べるフルーツ』全般が嫌い。いちごやパイナップルは好きなので、じゅくっとした食感で甘ったるい味が好きになれないんだと思う」(20代・女性)

「甘酸っぱいフルーツはすべてダメ。いちごなんてゾクッとする」(20代・男性)

「いちごの、酸っぱい味とつぶつぶが無理。それとふにゃふにゃした食感がダメなので、キウイ、バナナ、マンゴー、メロン、熟した桃も。とろけるプリンも嫌い」(30代・女性)

「いちごとプルプルのプリンが嫌い」(30代・女性)

ここで思いのほか噴出したフルーツ嫌いの声、とくにいちごが一手に罵倒を引き受けました。あとはプリン、世の中には一定数のアンチ・とろけるプリン派がいる模様。どうでもいいのですが、筆者が住むベトナムのプリンは総じて固めなのでぜひ遊びに来てください。

・だって口の中が荒れるじゃない
「とんかつ。食べたときに熱さと衣のカリカリで歯茎にダメージを負うからです」(20代・女性)

これを読むまで気付きませんでしたが、私も同じだ!…といってもやっぱりとんかつは大好きなんですけど、私の場合には歯茎ではなく口の天井部分がポロポロになります。揚げたてのとんかつを食べたあとは舌でビラビラになった薄皮をこそげ取るまでが食事です。

それでもとんかつ周りでそんな話を聞かないので(そもそもとんかつについて話をする機会自体が少ないけど)、自分の口内が熱に弱いんだと思っていたんですが、意外にとんかつを食べるときに無意識に我慢している人は多そうですよね。

・ラーメンが人気すぎて逆に嫌い
「ほかにも美味しいものがたくさんあるのに、どうして必至にお店を巡ったりSNSに写真をアップするんだろう」(20代・男性)

「噛むという概念がなくて食べづらかった。最近克服しました」(20代・女性)

私は全然嫌いじゃないし、むしろ美味しいと感じる方なのですが、それでも確かにラーメン人気には「言うほどか?」とは思ってしまいます。ふたつめの理由は、かわいすぎるやろ。



・レジェンドでもつまらないと思うからしょうがない
「こち亀です。小学校の頃から『伝染るんです。』や『クマのプー太郎』などを読んでいて、一方のこち亀はパターンが分かりやすく子どもっぽく感じていました。連載終了時にこっそりと『こち亀 嫌い』で検索したけど、全く同意見がなかったのでそっとブラウザを閉じました」(30代・男性)

分かるなぁ…。

といっても私は全く違う理由なんですが、地元の大阪に住んでいた頃には『東京のローカルネタ漫画』のようにしか感じられず、しかも大阪弁が間違いだらけだったので(「〜したねん」とか、過去形に「ねん」は付けない!)、嫌いというよりは敵視していました。

こち亀好きで東京育ちの先輩に「大阪ってみんな銃で撃つフリしたら死ぬんでしょ?」なんてバカにされたこともあったので(まぁ半分事実だけど)、こち亀と東京生まれ東京育ちをいっしょくたにして腹が立っていた頃ですね。それからいろんな東京の方々と出会った今、全くそんなことはないです。あ、「したねん」、もし存在したらすみません…。

・練り物の食感と、なにより匂いが苦手。
「ソーセージ、サラミ、ハム、魚の練り物が食べられません。肉や魚そのものは大好きですが、すり潰して練られるとたちまち無理に」(20代・女性)

これは、あの人工っぽさでしょうか、食感が均一というところが要因かな。いや、でも匂いか、確かに特徴的な…なんてことを考えるとまた暗示に掛かってしまうのでこれ以上はやめよう。

・衛生面が気になって食べられない
「手ごねハンバーグや流しそうめんがダメです。手が直接触れて、無数の人の唾液がついた箸をくぐり抜けて食べなければ…というシチュエーションがもう無理」(20代・女性)

これはいけない!描写を聞いているうちに私までダメになりそうだ。ちなみにこちらの方いわく、「『手ごねハンバーグ』ではなく『手ごね(手袋はしてます)ハンバーグ』ならOK」とのこと。かえって想像させるわ!



・都道府県レベルでも存在する
そのほか、国民的人気〜とは違いますが、「北海道県民だけど、『水曜どうでしょう』も『北の国から』も観たことがない」という方もいらっしゃいました。大阪人なのに新喜劇や探偵ナイトスクープを観たことがない、みたいな感じかな。もし本当にそのレベルだったら、大阪出身の私は言葉を失うと思います。

嫌いだという人に「もったいない」は超禁句!


ここまで書いて、そういえば私も冷やし中華などの冷たい食べ物全般は好まないことに気づきました。「今日は暑いから冷たいものでも〜」って言われた日には、「なんで食事で冷たいもん食わんとあかんのじゃ!」と叫びたいものの、我慢できるなら黙っていそう…。

そういう考えに至ったところで、「こんなに美味しいのに」「こんなにおもしろいのに」は禁句なのでしょう。本人からすると「いや美味しくないでしょ・おもしろくないでしょ」としか返しようがないし、感性が違うからしょうがない。という訳で、世界が少しでも少数派に優しくなりますように!