以前、「ベトナムでAV女優が神格化されている」ということについて記事を書いたが、ベトナムのネットユーザーの男性諸君たちは本当に本当に日本のAVが好きらしい。というのも、インターネットの片隅で毎晩、「知り合い探し」と称して「AV作品当てクイズ」なるものが行われている…という噂をキャッチしたのだ。

今回は、そんな下ネタクイズで盛り上がる、ベトナムのネット文化について紹介したいと思います。

夜な夜なベトナムのネットで盛り上がるAVクイズと暇人たち。


その話は、ベトナム人の友人から教えてもらった。

友人「ある大きなfacebookページがあって、そこで毎晩クイズが出てるんですよ。JAVの作品を当てる」
私 「JAV?」
友人「日本のAVはこっちで『JAV』って呼ばれてます」

そうなんだ…。

日本だとAVはそのままAVだが、確かに英語でのネット調査(という名のおかず探し)で分かる限りでも、もはやひとつのジャンルとして確立されている節がある。そもそも日本以外のアジア諸国でAVの市場は無い(ことになっている)と言っても良いので、男性諸君にとって人気があってもおかしくはないことだ。しかし、クイズって?なんでそんなことになってるの??

友人から聞いた情報をまとめると下記の通り。

・Facebookページ名(和訳)は、「ツッコミしきれない人をツッコミしきれない人たちの会」
・2010年3月に開設、メンバー数は180万人以上という超大手のネタページ
・毎晩23時になると管理人によってお題が出される
・お題は作品の1シーンを切り取っただけの写真
・それでも答えが判明することが多い
・ネタとして、そのクイズは「知り合い探し」と呼ばれている

クイズに意味があるかと言われると、全くない。日本にもあるような、いわゆる「ネットのネタ」で、単なる暇つぶし。しかし、外国と聞くと観光ばかりをイメージしがちだが、その国のネットユーザーの嗜好なんて考えたこともなかったな。これはおもしろそう!という訳で、リアルタイムで張り付いてみました。

今夜のお題は…イ、イカ??




意味は分からないが、カヴァー画像の雑っぷりに「ふざけている」ということだけは伝わってくる。



上の画像をよく見ると分かるが、たった4分で139いいね!なんだこの異常な数字は。
どうでもいいが、こんな数字は年に一度の誕生日(しかも自分で書くやつ)に付くか付かないかだぞ。


ちなみに今がこれ、最終的に2,000近くのいいねが付いています。

私 「GIFの場合もあるのね」
友人「うん」
私 「なんて書いてるの?」
友人「えーと…日本でいう俳句なんですが…『ビールつまみのおイカさん ほらそこに美女三人 手を止めて宝石のような言葉を下す リンクある者よ共有せよ』」
私 「意味が分からない」
友人「2ちゃんねるのスラングだって外国人に説明できないでしょ」
私 「確かに」

お題の出し方は、ベトナム式の俳句を詠んでいたり、家族を探していますと書いていたり、管理人の気分とセンスによってまちまちだとのこと。ただし最終的に「リンクを共有せよ」、つまりこの画像やGIFを見て何の作品か当てろという結びで終わることがお約束。

これまで出た例では、


「みんな熱心に打ち合わせしています。」


「胸よりも、この美しさがどれだけの男を殺してきたのやら。」


「女性の魅力は目であって、男の視線の先にあるものではない。」


「子供は小さい頃から教育し 嫁は初日そわそわする日から調教する。」

私 「なぁ」
友人「はい」
私 「こいつ暇人やろ」
友人「言うまでもないですよ」

しかし、その暇人のお題が180万人以上のネットユーザーに届くのだから恐ろしい影響力。
ちなみに、この例の中で回答が出たものはふたつめだけで、正解率は五割くらいだとのこと。

出題された瞬間、煽る人たちに探す人たち




私 「コメントはどういう内容なの?」
友人「ほとんど『リンクをくれ〜」って書いてるか、友人にタグ付けして知らせてますね」

日本人のfacebookの使い方で友人をタグ付けするなら、コメントに返信する場合とか、アップする写真に写り込んでいる場合とか、知る限りそれくらいだという気がする。一方的にタグ付けすると嫌がられるんじゃないかと遠慮してしまうが、遠慮なくバンバンとタグ付けすることがベトナムのfacebookスタイル。

私 「回答する人はどうしてるの?」
友人「出題された瞬間から黙々と探してます」
私 「なんなんだ、そのストイックぶりは…」

JAVじゃなかった場合、ブーイングの嵐が起こる






私 「えーと…『いかレスラー』??これ知ってるよ!AVじゃないでしょ!」
友人「そうみたいですね」
私 「これどうなんの?」
友人「何もないです、これにておしまい」
私 「はっ?…はっ!?」

らしい。

出題した管理人はとくに正解だと宣言することもなく、「あー答え出た、もういいや」という感じで人が次々と去っていく。ベトナム人の国民性か、映画館へ作品を観に行っても、上映が終了するとエンドロール前に全員がさっさと立ち去ってしまうことが多い。なるほど、ネットでもその気質は同じという訳か…。

なお、AVじゃなかった場合は、「何のために検索したんだ、この野郎!」とブーイングの嵐が起こる(といってもそれも含めてネタだけど)。ついでに女優が美人じゃないときもブーイングが起こる。

ベトナムのインターネットは平和だ…。

日本のAVは知らない間に知らない国で、あさっての方向で楽しまれているのかもしれない


このfacebookページではほかにも定期開催のコーナーがあるのかと思いきや、それはこの「知り合い探し」だけらしい。ほかは時間を問わず、管理人がおもしろ画像やニュースを投稿して、メンバーがコメントして盛り上がる、という繰り返し。このことからも、JAVがいかに人気が高いということかお分かりだろう。

AVは大多数の人にとってただ観るものだと思っていたが(というかどう考えても普通はそうだが)、ベトナムのインターネットの一部では、それが夜な夜なクイズとして使われていた。これをクール・ジャパンと呼ぶと激しく異論を呼びそうなので否定も肯定もしないが、制作者の意図しない展開になることこそが、インターネットでコンテンツとして楽しまれる本質なのかなと思うのでした。
(ネルソン水嶋)