多くの人が気にしないけど壊れると大変な「オルタネーター」って何?

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壊れるとエンジンすら動かない重要な発電機

クルマというのはガソリンなどの燃料を燃やして走るものだが、実際はそれだけでは走らない。電気も必要だ。電気系のなかでも、ライトやオーディオといったものは最悪なくても走ることはできるが、点火系は電気がないとスパークしないのでエンジンは動かないし、そもそもスターターモーターが回らないと始動もできない。

そのために装備されているのが、オルタネーターだ。発電機のことを指すのだが、オルタネーターを正式に訳すと、交流発電機となる。ちなみにその昔使われていたものはダイナモと呼ばれ、こちらは訳すと発電機になるが、その昔は直流しかなかったので、直流発電機を指すことが多い。

ここで、交流とはいえ、今のクルマでもプラスとマイナスの直流なのでは? と思う人がいるかもしれない。これは電装品変更の手間などを考えて、直流を使用しているためで、交流で発電して、それを直流に変換して使っている。

ちなみに電圧は以前であれば6Vで、それが1960年ぐらいから12Vへと変更されている。また近い将来にもっと高い電圧、たとえば48Vになるともいわれている。もちろん高ければ損失が減るし、作動もより確実なものにできる。

最近ではモーターとしてハイブリッドシステムに使われる車種も

実際のオルタネーターはボンネットを開けると、エンジンにくっついているので見えることが多い。作動自体はシンプルで、エンジンからベルトで駆動を取って回しているだけ。構造的にもモーターで、理科の実験でやったようにモーターを逆に回すと発電するという理屈を使っているだけだ。

とはいえ、エコ時代ともなるとオルタネーターにもさまざまな工夫がされている。一番の問題はつねにベルトで駆動しているということと、需要に応じてどんどんと発電していること。電気の需要が高まるとオルタネーターはがんばって発電するため、抵抗が増していく。そうなると、エンジンのロスに繋がって、燃費は落ちてしまうのだ。

それを防ぐために行われているのが、充電制御。不要な充電をカットしたり、加速時などはオルタネーターを止めてしまうわけだ。そのほか、内部構造を変更して、抵抗が少ないタイプも今や主流になっている。

またモーターの機能ももたせて(すでに紹介したようにモーターと同じような構造なので、簡単)、アイドリングストップからの再始動や走行時のアシストもするものも登場している。スズキや日産などが採用する、いわゆるマイルドハイブリッドがそれだ。

ますます役割が重要になっていくオルタネーターだが、メンテナンスはどうかというと、じつは消耗品でもある。メーカーに聞くと、耐久性は十分に確保しているというか、ブラシと呼ばれる端子などはカーボンでできているので減っていくし、充電制御の回路がパンクすることもある。ベルトの劣化も含めて、完全メンテナスフリーではないのが実際なので、点検などは定期的にしたい。

(文:近藤暁史)