中国政府は2025年までに製造業の高度化を実現し、製造強国となることを目指す「中国製造2025」を打ち出したが、これは中国製造業が人件費の安さをはじめとするコスト優位を失いつつあることが背景にある。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国政府は2025年までに製造業の高度化を実現し、製造強国となることを目指す「中国製造2025」を打ち出したが、これは中国製造業が人件費の安さをはじめとするコスト優位を失いつつあることが背景にある。

 中国は宇宙開発や原発、高速鉄道など、国が主導する分野においては高い技術力を持つものの、民間の製造業ではまだ技術力の低さが目立つのが現状だ。中国メディアの東方広播網はこのほど、安価な労働力を中国製造業はどうやって生き延びれば良いのかと疑問を投げかける記事を掲載した。

 記事はまず、中国製造業の問題点の1つとして、「大きな市場シェアを有する製品であっても、品質が低い」ことを指摘し、シェアがあるうちに品質を高める努力を怠ったことを批判。新しい製品の開発や研究開発に資金を投じず、中国製造業は今なお付加価値が低く、品質も低い製品の生産に終始していることを指摘した。

 続けて、中国のコラムニストがかつて「世界には斜陽産業などなく、あるのは斜陽の企業と人」であると指摘したことを紹介し、中国製造業にとって重要なのは消費者の心を捉えることのできる製品を生み出せるかどうかであり、中国人の心を捉えた製品こそ日本メーカーの温水洗浄便座だと指摘した。

 一方、中国でも近年は家電やスマホといった分野において、世界で通用する企業が現れているのも事実だ。だが記事は、「中国メーカーは品質面で消費者の信頼を勝ち取ることができていない」と指摘、中国メーカーが国外の大型展示会で巨大なブースを構えても人は訪れないのが現実であることを伝えたうえで、コスト優位を失いつつある中国製造業が生き残るためには「品質」を向上させる以外にないと論じている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)