山口蛍(撮影:浦正弘/フォート・キシモト)

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3日、日本代表はタイでの初めてのトレーニングを行った。コンディション調整を主にした内容はすべて公開され、1時間ほどで終了している。この日、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の感心は、露骨に特定の選手に対して向けられた。

選手はまずUAE戦の先発組、ベンチ組、そして負傷中の柏木陽介の3つに分けられた。それぞれ別にランニングを行う。その後、ベンチ組は2つの組に分かれてトレーニングメニューをこなした。監督は先発組の練習をコーチに完全に任せ、ベンチ組の一つの組に張り付いた。

監督の視線が送られていたのは、浅野拓磨、植田直通、太田宏介、武藤嘉紀、そして山口蛍の組だった。トレーニングの最中に一度だけ浅野を呼んで指示を出したが、その後の首の動きを見ていると別の選手を追っているのがわかる。どうやら監督が気にしているのは山口のようだった。

山口は今回の合宿の初日、8月28日に集合した際も他のメンバーから離れて1人だけコンディションの確認が行われた。そのときもハリルホジッチ監督は山口をずっと見つめ続けていたのだ。監督はタイ戦で山口を重要なオプションとして考えているのは間違いないだろう。

その後、ベンチ組に東口順昭、林彰洋を加えた12人で6対6、ゴールが2つずつのゲーム形式のトレーニングが行われた。監督は途中で浅野、武藤、宇佐美貴史、小林悠、原口元気のFW組だけを集めて指示を出す。そして練習は再開した後、ハリルホジッチ監督が大喜びしたように見える場面がやって来た。

1人だけ別メニューだった柏木がスパイクを履いて現れ、ベンチ組のトレーニングに参加したのだ。監督は柏木をフリーマンとして投入し、ずっと動きをチェックする。柏木が現れたときの監督の動きの速さから、「待ちわびた人物」だったのがうかがい知れた。

この日の様子なら、ハリルホジッチ監督は中盤の構成を変えたいのだと思われた。ただし、戦術練習ができるのは4日、5日の2日間だけ。UAE戦に向けて戦術練習ができたのと同じ日数しかない。今回もまた時間との戦いになっている。

【日本蹴球合同会社/森雅史】