ルフィにそっくりだ。エログロダークファンタジーのくせに「ファイアパンチ」12話

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Web無料漫画配信サービスジャンプ+にて「ファイアパンチ」第12話が配信されている。トガタが少し羨ましい回。


トガタ、念願のアグニと初対面!


何話ぶりか、しばらくクビだけだったアグニが復活した。トガタは「燃えてる…」と、動画でしか見たことない炎人間との対面に喜びを隠しきれない。そしてカメラを回すネネトに細かく指示を出す。

アグニは目の前にいるトガタに「ここはどこだ?ベヘムドルグはどっちかわかるか?」と道を聞く。さっきまでクビだけでトランクにしまわれていたクセに、もうドマに復讐しようとしている。本当に復讐のことしか考えていない。

一つのことしか考えられないのはトガタも同じだ。ベヘムドルグの方角を聞かれているのに「キミの名前は?」と、映画のことしか考えていない。アグニが仕方なく「アグニだ。ベヘムドルグはどっち行けばいい?」と質問に答えても「なんで燃えてるの?痛くないの?」完全に自分の事しか考えていない。自己中ぶりはトガタの方が上のよう。

こんな子供には見せたくない エログロダークファンタジーに出てくるキャラクターなのに、 超全年齢対象マンガ「ワンピース」のルフィにそっくりだ。こういうくだりを見ると、アグニよりもトガタの方が主人公的に感じてしまう。

そうこうしている間にユダが現れる。トガタに電車から蹴り落とされた後、走って追いかけてきたらしい。アグニは死んだ妹ルナそっくりのユダに取り乱し、燃えてから初めて人間らしい表情を見せる。

「俺と妹は再生祝福者で、ドマっていう男に俺たちと村が焼かれて…妹は灰になって…」

自分の過去を語り初め、妹なのかそうじゃないのか、ユダに問いただす。しかし、ユダはこれを完全否定。それどころか、自国ベヘムドルグの敵であるアグニに対し 「死んで」と敵意をむき出しにする。

トガタ、ファイアパンチ第1話を読む


「復讐劇だ」「哀れだ」「完璧だ」トガタはアグニのドラマティックな過去にうっとり。両手を顔の前で組みまるで恋する乙女の様に眼を輝かせている。

こんな幸せがあるだろうか?一目惚れした男が中身も想像以上だったのだ。燃え続けるビジュアル。妹を殺された復讐劇。身に纏うのは仇の炎。そして敵の仲間は妹そっくり。ドキュメンタリーの題材としては完璧だ。映画監督が喜ばないわけがない。

トガタの気持ちになって気づいたことがある。それは僕たち読者がファイアパンチ第1話を読んだ時の感想と同じだということ。トガタも僕たちと同様にアグニのストーリーに惚れ込んだのだ。眼の前でアグニを拝めるトガタが少しだけ羨ましく感じる。本当に少しだけだけど。

最後にトガタが放った一言は「後は私がカタルシスを演出するだけだ」。近いうち、トガタ監督が何か大きなことをやらかすだろう。おそらくトガタはアグニの悲哀に惹かれているはず。何をしたらアグニが一番悲しむだろう?それを考えたらこの先の展開が想像できるかもしれない。

(沢野奈津夫)