大人の本気を見せてやる!! 舞台『烈!バカフキ!』出演・豊永利行インタビュー「自分の目で見て確認してください(笑)」 
「大人が本気でごっこ遊びをする!」というコンセプトのもと、実力者揃いの俳優陣が大真面目にバカをするエネルギッシュな舞台『烈!バカフキ!』。2014年11月に俳優の大河元気が、初めて脚本・演出を手掛けた舞台『バカフキ!』の第2弾だ。出演者だけが発表され、開演ギリギリまで前情報が明かされなかったことでも有名な舞台。何の役で出演するのかも「秘密です♪」とニヤリと笑う、豊永利行にインタビューを敢行。今回はどんな展開になるのだろうかと予想しつつ、豊永自身の飾り気のない気作な人柄にまで切り込んだ。

撮影/後藤倫人 取材・文/花村扶美 ヘアメイク/大坪真人

ウルトラマンの抜け殻を見てしまったオレは…



――まずは、豊永さんが役者の世界に入ったキッカケからお伺いします。子どもの頃から、役者に憧れていたんですか?

憧れというか、小学生のときにヒーローものの舞台裏を紹介するテレビ番組を見ていたら、ヒーローのなかに人間が入っていることを知ってしまって(笑)。

――そのヒーローというのは?

ウルトラマンでした。頭にタオルを巻いたおっちゃんの腰に、べろーんってウルトラマンがセミの抜け殻のようにぶら下がっているのを見ちゃったんです(笑)。

――それは大変ショッキングな光景ですね…。

普通の子どもだったらショックを受けるんでしょうけど、僕はポジティブな思考回路を持っていたみたいで、“ということはオレもヒーローになれるんだ!”って思ったんですよね。あと、うちが母子家庭で、金銭面で苦しかったのが子どもながらにわかっていたというか。華やかな衣装が着られることにも憧れたし、お金持ちになれるのでは!?っていう非常にシンプルな動機もありました。

――そして10才で事務所に入り、子役の活動をスタート。

大きなステージに立ったのが11歳のとき。アルゴミュージカル『Sing for You, Sing for Me.』で、舞台デビューしました。ひとりっ子だったので、兄弟がいっぱいできたようで楽しかったですね。どこか遊びの延長という感覚でした。

――では、自分が役者だと強く意識したのはいつ頃からですか?

中1のときに劇団四季の舞台『美女と野獣』に出演させていただきまして。そのときに、大人の劇団員の方たちと同じレッスンを受けたんです。すごく厳しかったんですけど、“これがプロの世界なんだ”って痛感しました。

――中1で貴重な経験をして、そこから役者として食べていこうと覚悟を…?

中3から高1になる1年間、学業だけに専念していた時期があったんです。ちょうどその時期に、進路や将来のことを考えて、やっぱり芝居が好きだから続けていきたいって思ったんですよね。あとここまで来たら、オレはこの仕事しかできないだろうなって…。

――えっ、15才でそんなこと思います!?

僕、めちゃくちゃ飽き性なんですよ。熱しやすくて冷めやすいタイプなので、毎日同じ時間に通勤してデスクワークしてっていうルーチンワークはきっと耐えられないだろうなって。そこがいちばん大きかったかもしれないですね(笑)。



やりたいことは口に出すべし!



――豊永さんにとって、舞台の魅力はどんなところだと思いますか?

年々、変わってきてる気がします。10代の頃は、文化祭の延長線上にいるような感覚だったのが、次第にみんなとひとつの作品を作り上げて、それが成功したときの達成感を求めるようになりましたね。

――特に舞台は、お客さんの反応がダイレクトに伝わってくるから、それも醍醐味ですよね。

お客さんと同じ時間を共有しつつ、お客さんの日常を忘れさせるエンターテイメントの場だと考えるようになりました。たとえば、アミューズメントパークのような。あと最近、2.5次元の舞台がすごく流行ってるじゃないですか?

――おっしゃる通り、漫画原作の舞台、とっても盛り上がってますね。

そういう意味でもより一層、“中の人”を見せる場でもなくなってきたのかなって思うんですよ。原作のキャラクターをトレースしつつ、自分でしか出せない味を加えていくことが求められていて、自我だけで押し切るものではないんだなと。ようやく僕も大人になったのかなと思いますけど(笑)。

――豊永さんは、舞台のほかにドラマ、声優、歌手としても幅広く活動されてますよね。

いろいろなことに興味があるんです。あれもこれもやりたい!ってなっちゃう(笑)。でも感動や笑いが生まれたりするのは、舞台もドラマもアニメも音楽もすべて一緒じゃないかなって思っています。

――いろいろなところで豊永さんの活躍を見られるのは、ファンとしてはうれしいと思います。

それなら僕もうれしいです。でも、僕ひとりでここまでやってこれたわけじゃなくて、「歌を歌いたい」とか「ラジオをやってみたい」って言い続けてきて、それに応えてくれた方たちがいるから、多方面へ歩きだすことができたんだと思います。

――やりたいことを口に出してみるって大切ですね。

本当にそう思います。これからもやりたいことができたら、すぐに言うつもりです(笑)。



共演をキッカケにオファー「トッシーさん出てくださいよ」



――4月14〜17日上演の舞台『烈!バカフキ!』に出演されますが、脚本・演出の大河元気さんとはプライベートでも仲がいいそうで。

LAGRANGE POINTという2人組のアイドルユニットという設定で、元気くんと共演していて。一緒にやっていくうちに自分と似てるなって思うところが多くて、お互いシンパシーを感じていたんですよね。

――どういうところが似てるんでしょう?

笑いのツボや、おもしろいなって思うところかな? で、一昨年の11月に前作の『バカフキ!』をやるという話を聞いて「観に行けたら行くね」と言っていたのに、都合がつかず行けなかったんですよ。そしたら「DVDが出ました」って連絡をくれて。

――ご覧になった感想はいかがでしたか?

大爆笑しちゃいました。で、「デパートの屋上でやってるヒーローショーを、大人が本気で真面目にふざけながらやるっていいね!」って本人に伝えたら、「次回作も作ってるんで、トッシーさん出てくださいよ」って(笑)。

――それはどんなシチュエーションで?

確か、LAGRANGE POINTのレコーディング中の休憩時間でした(笑)。「スケジュール空いてたらやるよ〜」って軽〜いノリで答えたんですけど、そのあと正式にオファーをいただきました。

――出演が決まってから、プレッシャーなどはありませんでしたか?

最初はバカバカしさに爆笑しながら、ただただおもしろいなと思って観ていたんですけど、自分も出るっていうことがわかったうえで考えると、なかなかハードルが高いぞと。これは本当に実力がないとできない大変なヤツだ!!って強く感じましたね。

――実際、実力者揃いの俳優陣が集まっているわけですしね。

さらには“誰にも負けないぞ”っていうハングリー精神を持ってる方たちばかりなので、自分はどう挑むかっていう…正直、少しひよってしまいました(笑)。

――親交の深い藤原祐規さんも、前作に引き続き出演されますね。

前作でフッキーが主演だって聞いたときは、ついにフッキーの時代が来たか!と。元気くんなら彼のいいところを引き出せるだろうって思ったし、DVDを観て、やっぱりフッキーは天才だ!と確信しましたね。今回の舞台で、僕も元気くんやフッキーと絡めるのがすごく楽しみです。