秋はきのこが美味しい季節……日本ではもちろん松茸ですよね!
世界的なきのことしては、キャビアやフォアグラと並んで世界三大珍味に数えられる「トリュフ」も、まさしく今が旬です。
魅惑的な香りで人々をとりこにしてきた“黒いダイヤ”こと「黒トリュフ」に、それを上まわる芳香を放つといわれる「白トリュフ」。
トリュフの何が、どう、スゴいのでしょう?
高そうだけど一度は食べてみたい……そんなトリュフについてご紹介します!

トリュフをたっぷりかけたチーズ入りラビオリ。超美味!


トリュフって何?

トリュフは30種類ほどあり、フランス語でtruffe、英語でtruffle、イタリア語ではtartufoといい、日本では「西洋松露(せいようしょうろ)」という名がついています。
きのことはいえ、ぱっと見は石ころのような塊。チャワンタケ類の仲間が進化する過程で地下に潜るようになり、丸くなっていったと考えられています。
ブナ科のコナラ、カバノキ科のイヌシデ、マツ科のクロマツなどの樹木の根から栄養をもらって共生し、樹の根元付近に埋まっています。
トリュフを探すのは従来メスの豚でしたが、見つけると食べてしまうため、現在は訓練された犬を使って収穫する方法が一般的です。
ちなみに、チョコレートのトリュフはこのトリュフをかたどったものだってご存じですよね。


トリュフの代名詞、黒トリュフ

トリュフはほとんどがヨーロッパ産で、フランスのプロヴァンス地方が本場、次いでスペイン、イタリアなどが生産地です。特に有名な黒トリュフはフランスのペリゴール産で、優雅な香りをもっています。
最近は中国・雲南省でも収穫されていますが、種類が違うため香りが弱いのだとか。年間を通して産出され、上質なものは秋から冬に採れたもので、断面は黒くマーブルのような模様があります。
料理には加熱して使うことが多く、黒トリュフを使うことで知られているのが「ロッシーニ風ステーキ」です。
美食家だった作曲家のロッシーニ(オペラ「セビリアの理髪師」などが有名)にちなんだメニューで、ヒレステーキの上にフォアグラと黒トリュフのソテーを乗せた贅沢な一品。結婚式などで提供されることがあるので、食べた人も多いのでは?
その他、リゾットや卵などと相性がよく、ソースにも利用されます。柔らかい香りなので、あまり感じない人もいるようです。

“黒いダイヤモンド”と言われる黒トリュフ。

“黒いダイヤモンド”と言われる黒トリュフ


さらに希少な白トリュフ

トリュフと違い、白トリュフは栽培ができないためすべて天然物。しかも秋から冬にしか収穫できないため、黒トリュフの数倍の値段で取り引きされます。
有名な産地はイタリアのピエモンテ州で、特に品質が高いのはトリノの南、アルバ産です。アルバでは、毎年10月中旬から11月中旬までの毎週土曜と日曜に「トリュフ祭り」が開かれ、白トリュフの見本市も行われます。この時ばかりは小さな街もトリュフの取引業者や観光客で大賑わいです。
トリュフが珍重されるのは、その香りの豊かさゆえ。
食べる直前に、生のまま薄くスライスしていただきます。一番美味しく味わえる料理はクリームタリアテッレに、なんと目玉焼き!
スライスする前から漂う強く豊潤な香り。たっぷり削られた白トリュフをソースやチーズと混ぜ合わせて食べると、得もいわれぬ妖艶な風味が口の中いっぱいに広がります。
これは食材というより嗜好品に近い存在かもしれません。
冬にかけてのこれからの時季、日本でもイタリアンレストランなどでは白トリュフを提供するところが増えているようですが、その分お値段が張りますので、そのつもりのお財布でお出かけくださいね。

イタリア・アルバ産の白トリュフ(タルトゥッフォ・ビアンコ)

イタリア・アルバ産の白トリュフ(タルトゥッフォ・ビアンコ)


もっと手軽に味わうには

そんな高級食材、手に入れるのはキビシイ……という人にオススメなのが「トリュフオイル」です。トリュフの香りをオリーブオイルに移したもので、手軽にあの香りが味わえるので重宝します。やはり黒トリュフより白トリュフを使ったオイルの方が高価ですが、オムレツやクリームパスタに数滴垂らすだけで料理がはるかにランクアップ! 贅沢な風味が漂います。小さなサイズもあるので、黒でも白でも一度、試してみてはいかがでしょうか。
その他、トリュフの香りのトリュフソルトもあります。

私たち日本人の大好きな松茸ですが、外国人が「マツタケ臭」と評することがあるように、トリュフの香りを「トリュフ臭」と感じる人も少なくないそう。生まれ育ちや嗜好によって香りや味覚の感じ方は千差万別なようですね。
トリュフを美味しいと感じるか、臭いと思うか?
一度は試してみる価値あり、です。