iPhoneやAndroidの脅威となるか? Windowsスマホに日本メーカーの参入が急増する理由

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アップルのiPhoneと、ソニーやサムスンなどから多数製品が出ているグーグルのAndroidスマホ。この二大勢力が現在の市場を二分している。だが年内にも第三勢力の本命となる新たな製品が続々と登場しそうだ。

10月4日にマイクロソフトが行ったイベント「Windows 10 Partner Device Media Briefing」では、最新のWindows 10 OS搭載スマホの開発メーカー6社が紹介されたのだ。しかもこれは海外の話ではない。日本市場向けのWindowsスマホが6社から登場するのである。

実は今年になってマウスコンピューターから『MADOSMA』が発売されたり、フリーテルが『KATANA』シリーズを発表したりと、Windowsスマホの動きは少しずつ活発化していた。
今回発表された参入メーカーの中には、なかなか有力な3社も加わっている。
・パソコン大手のエイサー
・ソニーから独立したバイオ(VAIO)
・スタイリッシュなiPhoneアクセサリで有名なトリニティ
中でもソニーから独立したPCメーカーのVAIOがどんなWindowsスマホを出すのか、気になる人も多いだろう。
またトリニティは、これまでのスマホメーカーの製品とは一線を画する美しいデザインの採用が期待されており、海外でも大きな注目を集めている。


今年すでにWindowsスマホを出したマウスコンピューター。年内には他社からも製品が出てくる


WindowsスマホはこれまでiPhoneやAndroidスマホよりアプリが少なく、スマホとしての使い勝手も若干劣っていた。
だが年々アプリの数も増え、タイルを並べたような独自UIデザインの操作性も使いやすくなっている。
海外を見ても、Windowsスマホのシェアはまだ数パーセントとかなり低いながら実はヨーロッパでは着々とシェアを伸ばしているのだ。

調査会社カンターの各国のスマホのOS別シェアを見ると、日本とオーストラリアはiPhoneのiOSのシェアが非常に高く30%を超えている。またイギリスも同様に30%を越え、アメリカは30%弱、中国も約20%と、これらの国ではiPhoneを街中で見かけないことが無いくらいメジャーな存在になっている。
しかし実はこれら各国でもAndroid OS採用スマホのほうがiOSよりシェアは高いのだ。
Android OSは、ソニー、サムスン、LG、エイスース(ASUS)など、複数のメーカーが販売している。そのためメーカー別のシェア比較では、iOS(iPhone)が一番高いシェアとなっている。

ところが他の国を見ると、iPhoneのシェアが低い国も多い。しかもAndroidに大差をつけられているだけではなく、Windowsスマホとシェアが拮抗している国もあるのだ。

例えばフランスだ。
・iOSのシェアが15.4%
・Windowsスマホは13.1%
ほぼiOSとWindowsスマホOSが並んでいるのだ。

また、ドイツでも似た傾向がある。
・iOSが13.6%
・Windowsスマホは10.5%
こちらも、フランスと類似した傾向だ。

そしてイタリアではなんとiOSとWindowsスマホのOSシェアが逆転している。
・iOSが10.6%
・Windowsスマホは13.7%


赤枠はWindowsスマホのシェアがiPhoneと拮抗している国。フランスやイタリアというのは意外だ


Windowsスマホのシェアが高い国では、日本のようにキャリアがiPhoneを高い割引率で安く販売していない。
本来アップルのiPhoneの定価は高い。これに対抗するためマイクロソフトは中低価格のWindowsスマホを多数投入していることもWindowsスマホのシェア成長を後押ししているのだろう。
もちろんこれらの国でWindowsスマホを選ぶ消費者が多いのは、Windowsスマホが使いやすくなっていることは言うまでもない。

そしてWindowsスマホに追い風となっているのが「Windows 10」との統合だ。
Windowsスマホはこの冬、パソコンやタブレットと同じ最新OSである「Windows 10」が搭載されるのだ。
Windows 10では
・iPhoneのSiriのような音声認識システム「Cortana」が標準搭載される
・一部の国で不評だった地図アプリも一新される
・PCやタブレットと同じストアアプリの利用も可能となる

OSの開発元のマイクロソフトからは、Windows 10を最初に搭載したスマホとして『Lumia 950』が発売される。
Lumia 950にはTVにつなぐとPCのように利用できる周辺機器「Microsoft Display Dock」も発売される。
これさえあればWindowsスマホが簡単にWindows PCのように使えるようになる。
これはiOSやAndroid OSにはない、大きなWindows 10スマホのメリットだろう。


Lumia 950をTVにつなぎパソコンのように使えるMicrosoft Display Dock


このようにWindows 10スマホはスマホを超えた使い方が可能になる。手のひらに乗るパソコンとしてつかうこともできるのだ。そのためWindowsスマホに参入するメーカーが一気に増えようとしているのである。以下のメーカーにとって、Windows 10はスマホ参入への絶好のチャンスでもある。


・既存のパソコンメーカー
・今までスマホに手を出せないでいたメーカー
・Androidスマホでシェアを奪えなかったメーカー

現在のAndroidスマホは、すでに新興メーカーを含め多くのメーカーが参入している。
これから後発メーカーが成長できる可能性は低く、これから市場が伸びるWindowsスマホで市場参入を図るのは正しい戦略かもしれない。

もちろんWindows10搭載のスマホが市場でどれくらい支持を受けるかは未知数だ。
だがヨーロッパの一部の国ですでに十分シェアを奪っていることから、成功の可能性があることは実証済みと言えるだろうだろう。また、パソコンと同じ操作で使えることから企業や法人向け製品として大量に導入する会社も出てくるだろう。

Windows10スマホが登場したからといって、直ぐにスマホ市場が激変するということはないだろうが、大きく変わる可能性への第一歩となる可能性は十分にあるため、世界が注目しているというわけだ。

日本でのWindows10スマホを発表した6社から、どんな製品が出てくるのか楽しみにしたい。


山根康宏